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懐かしいお菓子

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 お茶会のメンバーは主催者のエイダ様、私の他にあとお二人。ゼルビー辺境伯夫人サマンサ様とベルジュ伯爵令嬢エミリア様だ。
 サマンサ様は黒目に髪の毛はプラチナブロンド。領地は日差しが強いと聞くのに肌は抜けるように白い。エミリア様はいわゆる金髪碧眼で、お人形のように可愛らしい。
 四人とも同年代ではあるが、あとの二人も何故この場に招待されたのかが分かっていないようだった。

「さて。揃ったわね。それでは始めましょうか。クロエ、支度を」

 クロエという侍女がてきぱきとお茶の準備を進めていく。エイダ様の飲み物が違うのは妊娠中だからなのだろう。

「本日のお茶は、わたしくしが王女時代に好んでいたもので、今回特別に用意したお菓子によく合うのよ」

 王家に入っていたお茶なら味に間違いはないだろう。とても楽しみだ。

「お菓子はちょっと食べにくいかもしれないから、気を付けてね」

 出されたお菓子を見てみた。細長くチョコレートのようなものでコーティングされているようだ。
 一口食べてみる。中身が崩れる感じに覚えがあった。

(これ、ル〇ンドだ……)

 これめちゃくちゃ好きだったのよね。こぼさないように慎重に食べていると、エイダ様が驚きの声をあげた。

「アメリア様、食べるのがお上手ね! わたくしこれを初めて食べた時、ボロボロこぼして恥ずかしかったのよ」

 サマンサ様、エミリア様のお二人を見てみると、うん、それなりに苦戦しているようだ。それはそうよね。私も知らなかったら、味なんか分からいくらい動揺してたと思うもの。まさか懐かしいお菓子に会えるだなんて。出されたお茶も美味しい。さすが王家ご用達。

「エイダ様、酷いですわ! 詳しく教えてくださらないなんて」
「ふふ。一応注意はしたでしょう? 皆様も道連れにしたかったの」

 最年少のエミリア様がエイダ様に不満をぶつける。だがきついものではなく、お二人とも微笑んでいる。私とサマンサ様も自然と笑顔になった。これで一気にこの場が和やかになる。さすが元王族。雰囲気を作るのがうまい。

 でもごめんなさい。気になって仕方がないから聞かせてもらいます。

「それで、エイダ様。どうしてわたくしはお茶会へ呼ばれたのですか? 何か理由があるのでしょう?」

 エイダ様と私はほとんど面識がない。それなのにいきなりお茶会に呼ばれる覚えがない。何か特別な訳がある筈だ。
 私がそう言うと、サマンサ様も深く頷いた。同じように考えているのだろう。

「やっぱりそうよね。分かったわ。このお茶会の目的を話します」
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