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九、
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母が、庭の花に水をやっていた。明るい髪が、日差しを浴びてきらきらと輝いていた。その光景を眺めていた世川は幸福感に満たされていたが、やがて、これは夢なのだと気がついた。母が庭の花に水をやっていたことなんてないし、そもそもこの家の庭で花を育てていたことなんて一度もない。第一、母が庭の手入れなどするわけがないのだ。
作り物の幸せなワンシーンをつまらないような虚しいような気持ちで見ていると、やがて母親の持っていたじょうろが斧に変わっていた。斧を握っている女も、母親の風貌ではなくなっている。老いた女で、鋭い目を世川に向けていて、今にも襲いかかってきそうな雰囲気だった。しかし世川は何故か、その女を母親だと思い込んでいる。
女が斧を振り上げて、世川は逃げようとする。だが足がもつれて上手く走れずに、肩に強い衝撃を感じた。その瞬間に、目が覚めた。
カーテンの隙間から差し込む光が滲み、狭い寝室の中はうっすらと明るい。壁掛け時計を見ると、短針の位置が十を過ぎている。世川は疲労と安堵から来るため息を吐き出し、額の汗を拭った。全身が汗で濡れているのは、気温のせいなのか訳のわからない夢のせいなのか判断がつかない。
寝室を出て真っ直ぐに流し台に向かい、蛇口を捻った。グラスに注いだぬるい水道水を、喉を鳴らして一息で飲み干す。窓ガラス越しに庭に目を向けると、生い茂った雑草が気持ちよさそうに風にそよいでいる。
世川の母は、美しかった。小学生の時の授業参観で他の生徒の親を見たとき、自身の母との容姿の差に驚いたほどだ。誰一人として、母ほど若々しくて綺麗な父母はいなかった。世川は母のことを誇らしく思ったが、肝心の母が授業参観に来ていないので、その誇らしさを誰に提示することもできなかった。
世川は綺麗な母のことが好きだったが、母は自身の息子に興味を示さなかった。食事は用意してくれるし、服や文房具など必要最低限のものは与えてくれたが、例えば怪我をして泣いていても熱を出して苦しんでいても、母は取り合ってはくれない。
家に帰ってくること自体が少なく、在宅時にここぞとばかりに構ってもらおうとしつこく話しかけると、ぶたれることもあった。それで世川が泣くと、綺麗な顔を歪めて、心底嫌そうな顔をする。
母が笑顔を見せるのは、男を家に連れてくる時だけだった。男は長期間(と言っても、半年から一年ぐらいだが)変わらずに同じ人物であったかと思えば、気づけば知らない顔になっていて、短いスパンでまた別人になるということもあった。母が男を連れ込むとき、世川は決まって狭い寝室に閉じ込められた。古い木造住宅の一室には鍵なんてついていなかったが、母が「絶対に出てくるなよ」と言えば、世川はそれに従う他なかった。
母は、居間で男と過ごすときに、頻繁にセックスをした。世川は、性行為が何を目的に行われるのかを理解する前から、母と男のセックスを何度も目撃していた。居間と寝室を隔てているのはドア一枚だけだったため、世川は母の言いつけ通り部屋から出ずとも、居間の様子を伺うことが可能だったのだ。きっと、覗き見していることがバレれば、母に怒られる。そう思って、見つからないように息を殺して覗いていた。幸いにも、母も相手もその行為に熱中していて見つかったことはなかったが、思い返せば、息子に見られていようがいまいが、どうでもよかったのかもしれない。
長ったらしい性行為を終えると、母は決まって換気扇の下で煙草を吸った。相手が喫煙者だと、二人で並んで吸った。そして、世川には向けたことのない屈託のない笑みを男に向けるのだ。その顔は、化粧を終えたての母の整えられた顔よりも、よっぽど美しく見えた。
世川はグラスを流し台に置いてから、テーブルの横の何もないスペースに目を向ける。母はいつもここに布団を敷いて、男とまぐわっていた。
一ノ瀬と初めて関係を持ったのも、同じ場所だ。
いつだかの自分の血が染み込んで黒く汚れたフローリングから、ドアを開けっ放しにしている寝室へと視線を移す。四畳ほどの、狭くてカビ臭い部屋。幼い頃の自分が、閉じ込められていた部屋。
世川は、一ノ瀬と居間で寝ている時、ふと、あの頃の自分が寝室から覗いているような気がする時がある。
「世川くんのお母さんって、どんな人?」
何度目かの通話の最中、新島が言った。
新島とは、直接話すよりも電話で話すことの方が圧倒的に多かった。彼女を目の前にすると緊張してまともに話せなくなるという理由と、彼女と話しているところを宮田に見られてはまずいのではないかという思いがあったのだ。
校内ではあまり顔を合わせないようにしておきながらも、避けていると思われないように電話で連絡を取るようにしていた。宮田の反応が気がかりではあったが、新島という輝かしい存在を手放したくない気持ちもあった。ご機嫌とりのようだと思ったが、ただ世川自身が安心したいがための行為でもあった。
受話器伝いに他愛もない会話を交わしていると、新島が昨晩見た悪夢の話を聞かせてくれた。大学からの帰り道、電車に乗っているとどこからともなく熊が出没し、襲われて生きたまま食べられる夢を見たのだと言う。夢の中なのに痛みがあって怖かった、と新島が言い、世川は先日夢の中で斧を振り下ろされたことを思い出した。なんとなしにその話をしてみせたところ、新島が興味を示したのだ。
「実際に斧持って追いかけてくるような人じゃないんだよね」
新島の声は笑っていたため、世川も「そんなことはしないけど」と笑いながら返したが、絶対にしないとは言い切れなかった。あまりにもしつこく話しかけ続けていたら、斧とはいかずとも、包丁ぐらいは持ち出していたかもしれない。世川は卑屈な笑いを飲み込んで、新島の問いへの答えを用意する。
「あの人は、明るくて元気な感じの人だったな」
僕とは正反対で。世川が言うと、新島は「そうなんだ。なんかだが、おしとやかで上品な人を想像してたよ」と意外そうな声をあげる。
「上品とは程遠いかな。でも、すごく美人ではあった」
「ふぅん、どんな感じなんだろう。世川くんに似てる?」
「どうだろう、あまり似てないと思う」
「じゃあ、世川くんはお父さん似なんだね」
そうかもね。と曖昧な返事をする。父親の顔は知らない。おそらく母も、どれが世川の父親かわからなかったのだろう。
幼い頃は考えもしなかったが、今になって、よくあの母親が一人で子を産む決意をしたものだと感心する。だが思い返してみると、母は昔「気づいたときにはもう、二十二週を過ぎてたのよ」と可笑しそうに男に話していたことがあった。母が己の腹の中の存在にもう少し早く気づいていたら、世川は存在していなかったに違いない。
「新島さんは?」
「私?」
「うん。新島さんのお母さんは、どんな人?」
世川は新島に話を振った。新島の母親に純粋な興味があったし、他所の母親についてあまり知らないため、普通の家庭の母親とはどういうものなのか知りたかった。少しの沈黙があり、新島が答える。
「真面目で……、頑固な人?」
言葉尻が上がっていた。お母さんについて聞かれることなんてなかなかないから、説明するのが難しいね。新島が言う。眉を八の字にして困った調子で笑っている顔が想像できた。
「そう考えると、私のとこも正反対かな」
「真面目なところは同じじゃない?」
「え、私、真面目なのかな。あんまり言われたことないなぁ」
「いや、悪い意味ではなく」
世川が慌てて弁解すると、新島は「わかってるよぉ」と笑いをかみ殺した声で言う。家族に聞かれるため、あまり大声を出せないと以前言っていた。
「私、よくいい加減って言われるから、嬉しい」
「僕は新島さんのこといい加減って思ったことはないな」
「えぇ、本当に? 皆によく言われるよ。やっぱり世川くん、少し変わってるよね」
あ、いい意味でね。新島がそう付け加えた。
世川からすれば、新島のどこがいい加減なのかわからない。山形と宮田と飲み物の話題で何故か険悪になった時も、新島は張り詰めた空気をもろともせずに明るく振る舞い、誰を悪者にすることもなく、誰の機嫌を損ねることもなく、それどころかやや面倒臭い性質の山形のフォローを完璧にこなしてその場を収めたのだ。側から見れば考えなしに明るいだけの少女と取れるかもしれないが、世川にはその行動全てが彼女の計算で行われているものに映った。
それに、告白してきた時の真摯な態度も、その後の気遣いだって、どれを取ってもいい加減だとは思えない。新島の言う「皆」は、新島の何を見ているのだろうと疑問に思った。それとも、新島が「皆」に対し、自身がいい加減な人間として映るように振る舞っているのだろうか。
「そのうち、家に遊びにきてね」
新島の声で、世川は没入していた世界から現実に連れ戻される。些細なことをきっかけに、自分の世界に入り込んで周りが見えなくなる。新島について、世川と新島の周囲で認識がずれていたって、どうだっていいことだ。新島は優しくて可愛らしくて、周囲から人気がある美しい容姿の女である。その揺るぎない事実があるのだから。
小さくかぶりを振って電話機に焦点を合わせ、考えなしに「うん」と返事をしてから、遅れて新島の言葉を反芻する。家?
「きっと世川くんのこと、私の家族も気に入ると思う」
「そうだと、いいけど」
そうか、付き合うということは、彼女の家族に会うことだってあるのか。世川は戦慄した。まだ、ろくに新島と二人で会ったこともないのに、もう家族に会う話が出てくるだなんて。少し話が早すぎやしないかとも思ったが、交際経験もなく、そういった話にも疎い世川には、早い遅いを判断する自信がなかった。それに、彼女の言う通り真面目な親なのだとしたら、まず両親のお眼鏡にかなう必要があるのかもしれない。
粗相のない振る舞いをしなければ。世川は漠然とそう思った。彼女に気に入られていても、彼女の家族に嫌われてしまっては、いずれ新島本人にも愛想を尽かされてしまうかもしれない。そうなっては、“勿体ない”と思ったのだ。
しかし、世川は他人の家族への礼儀作法など知らない。愛嬌やコミュニケーション能力に長けていれば乗り切れるのだろうが、絶望的に持ち合わせていなかったし、得ようと努力をしたこともない。せめて失礼のないように、誰かに振る舞いを教えてもらわなければ、まずい。
まず一ノ瀬の顔が思い浮かんだが、世川はすぐにそれを打ち消した。アイツが礼儀作法など知っているわけがないのだ。あるのは、不思議と心を許してしまう話術や相手の懐にするりと潜り込む懐っこさなどで、世川が習得できるとは到底思えない。そうなったら、頼めるのは宮田ぐらいしかいなかった。
新島と付き合い始めたことを伝えたときの、宮田の曇った表情を思い出す。新島には伝えない方がいいだろうか。新島に伝えたところでその理由がわかるとは限らない。
またもや世川の思考がトリップする。するとその意識を、またもや新島が引き戻す。
「世川くん、もしかしてすごく間に受けてる? ごめん、冗談」
「え、あ。間に受けました」
「あはは、ごめんね。まぁ、そのうち呼べって言われるかもしれないけど……、まだまだ先の話だから、安心して」
「少し、身構えた……」
新島のクスクスという笑い声が耳の奥で振動する。人の笑い声は苦手なはずだった。大抵の場合、自分に向けられた嘲笑だ(例えそうではなくとも、世川にはそう聞こえる)からだ。でも、新島の笑い声は心地がよくて、いつまでも聞いていたいとすら思わせた。世川はほっと息を吐き出す。じんわりと、安堵が胸の中に広がった。同時に、喉の奥で堰き止めていた言葉が口をついて出た。
「そういえば、新島さん、宮田には話してなかったんだね」
言ってからハッとしたが、新島は特に気にした様子もなく「うん」と返事を返す。
「ということは、世川くんから話してくれたんだ」
「まずかった?」
「え? 全然! 私から言うのは少し恥ずかしかったから、助かるよ。いつまでも隠しているのも、なんだか変だし」
新島の言葉に、世川は再び安堵する。
「二人は、いつからの知り合いなの」
この際だと世川が気になっていた疑問を口にすると、新島は
「宮田とは、予備校の時に知り合ったんだ」
懐かしいなぁ。高三の夏ぐらいだったかな、初めて喋ったのは。記憶を遡っているらしく、彼女の声は弾んでいた。
「そうなんだ、仲が良いから、もっと長い付き合いなのかと思ってた」
「そんなことないよぉ、全然」
新島は少し恥ずかしそうにそう言って、それから、そろそろ親に文句を言われそうだから切るねと声を潜めた。おやすみと言い合い、受話器を置く。世川はやっと肩の力を抜いた。
また、些細なことを気にしすぎただけなのだろうか。宮田の反応を懲りずに脳内で再生し直す。しかし、それはオリジナルの映像に、世川が自分で編集を加えているように思えてきた。宮田は本当にあの時、こんな顔をしていたのか?
考え始めたら、間違いなく自分の考えすぎだと思えてきた。くだらないことをうじうじと気にしていないで、祖父への返事を書き、提出期限の近いレポートを進めなければならない。
書きかけの便箋が広げられたテーブルに戻り、ボールペンを握る。すると今度は、一ノ瀬の顔が脳裏にちらついて仕方がなくなった。世川はペンを指に挟んだまま、肘杖をついて頭を抱える。
「病気なのかもしれない」
誰に言うともなく、世川は呟いた。コンロの脇に置かれた赤い煙草のボックスが目に入る。あれを一ノ瀬が今すぐに取りに戻ってこないだろうか。世川はそうなることを願ってみたが、その日も、次の日もその次の日も、一ノ瀬が訪ねてくることはなかった。頻繁に銘柄をころころと変えて、いつも煙草をそこら辺に置いていく男。どんな銘柄でもあれば吸うし、無くしたら新しいものを買い与えてもらえる男。そんな奴が、わざわざ一つの煙草を取りに戻ってくるはずもないのだ。
それから、一週間が経った。一ノ瀬は一度も世川の前に姿を表さない。
気まぐれな奴だが、一週間以上全く顔を見せないのは珍しい。世川は、このまま一ノ瀬が自分の前から姿を消すのではないかと無性に不安になった。この程度で不安になる自分にも不安になった。
そんな時、大学構内で愛美の姿を見かけた。
世川は、愛美が以前一ノ瀬の話を持ちかけてきたことを思い出して、勝ち筋を見出したような気になった。彼女ならば、彼女の周りの女たちならば、一ノ瀬の所在を知っているかもしれない。自動販売機の前で難しい顔をしている愛美に声をかけると、彼女は「あ!」と特段大きな声を出して驚いてみせた。
「ちょっと聞きたいんだけど」
世川が急く気持ちを抑えて切り出すと、愛美はそんなことはお構いなしに「世川さ、新島と付き合ってるんだって? 新島から聞いたよ」と顔を近づけて言う。おそらく周りに聞こえないようにという配慮のためらしいが、声のボリュームは変わっておらず、愛美の声が周囲に丸聞こえであることは間違いなかった。
「うん、そうなんだけど、それより聞きたいことがあって」
「それよりって! これより大事な話はないでしょうに」
愛美は新島と世川の関係に興味津々らしく瞳を爛々と輝かせており、こちらの話を聞いてくれそうにない。世川はふと、ボタンが点灯している自動販売機に目をやり、「買わなくていいの?」と指を差した。愛美は「あ、忘れてた」と言って色とりどりの飲み物が並ぶそれに視線を戻し、コーラを購入した。ガタンと音を立てて落下したペットボトルを取り出している愛美は、落ち着きを取り戻している。その隙に本題へと入る。
「愛美って、一ノ瀬と連絡は取れる?」
「は?」
一ノ瀬って、あの? 愛美が怪訝な顔をする。世川は頷いた。
「最近、連絡が取れなくて。心配なんだ」
「私は連絡なんか取ってないから、知らないけど……」
「誰か、連絡取れる人知らない?」
「わからないけど、聞いてみようか。誰かしらはいるかもしれないし」
誰かが、一ノ瀬がよく出入りしている家を知っているかもしれない。よく行く飯屋や居酒屋などを知っているかもしれない。そうだったら、こちらから接触を図れる可能性がある。
しかし、それを知っている人間が存在したのならば、そいつは世川よりも一ノ瀬と親しいということになるのだ。そんな人間が現れてしまったとすれば、きっと世川は、醜い嫉妬心が心の中で獰猛な獣のように暴れ回るのを自覚せざるを得なくなる。惨めで我儘でどうしようもない自分を、直視しなければならなくなる。だが、そうなったとしても、一ノ瀬に会いたいと思った。
「ありがとう、もし何かわかったら、教えて欲しい」
「うん。それはいいけど……」
愛美はコーラのペットボトルを手に、不服そうな顔で世川を見た。
「新島に、あいつを会わせたりしないでよ。あの子、箱入り娘なんだから。変な世界に引き摺り込まないでよね」
「そんなことしないよ」
慌てて否定する。愛美は疑わしげな目を向けてくる。
一ノ瀬と新島は、世川の中で全く別の世界に生きる二人だった。この二人が交わることなんて未来永劫ないと思っていた。しかし、もしも一ノ瀬と新島が並んで歩いていたとしたら。世川はそのシーンを想像し、相当に人の目を惹くだろうなと思った。どちらも、整った容姿を持っているのだから。
性格的にも、相性がいいのではないかと思う。どちらも人の話を引き出すのが上手いし、こちらが気を許してしまう雰囲気を持っている。だというのに、何故か世川の中で、一ノ瀬と新島が仲良く談笑している様子がイメージできなかった。
「絶対よ? じゃないと協力はしないから」
愛美が口を尖らせる。世川は想像の中の二人に蓋をする。
「うん。だから、よろしく」
悪いけど、と手を合わせると、愛美は「わかった」と表情を和らげた。それからペットボトルのキャップを外し、しゅわしゅわと微かに音を立てて弾ける炭酸を一口飲み込んで、続ける。
「でも、世川もちゃんと、つるむ奴を考えた方がいいよ。新島と付き合ってるなら、尚更さ」
愛美はそんな心配をするほどに新島と仲が良いようだった。世川は返事をするのも面倒臭かったため、適当に微笑んだ。
その、翌日の夜。世川がアルバイトを終えて店を出ると、店の前に何者かがしゃがんでいた。驚いた世川だが、それが誰だかわかると、喜びが驚きの感情を瞬時に追い抜いた。
「一ノ瀬」
世川が声をかけると、彼は顔を上げる。それは間違いなく、一ノ瀬だった。彼は「お疲れ」と片手を上げると、
「最後に、会いにきた」と言った。
続
作り物の幸せなワンシーンをつまらないような虚しいような気持ちで見ていると、やがて母親の持っていたじょうろが斧に変わっていた。斧を握っている女も、母親の風貌ではなくなっている。老いた女で、鋭い目を世川に向けていて、今にも襲いかかってきそうな雰囲気だった。しかし世川は何故か、その女を母親だと思い込んでいる。
女が斧を振り上げて、世川は逃げようとする。だが足がもつれて上手く走れずに、肩に強い衝撃を感じた。その瞬間に、目が覚めた。
カーテンの隙間から差し込む光が滲み、狭い寝室の中はうっすらと明るい。壁掛け時計を見ると、短針の位置が十を過ぎている。世川は疲労と安堵から来るため息を吐き出し、額の汗を拭った。全身が汗で濡れているのは、気温のせいなのか訳のわからない夢のせいなのか判断がつかない。
寝室を出て真っ直ぐに流し台に向かい、蛇口を捻った。グラスに注いだぬるい水道水を、喉を鳴らして一息で飲み干す。窓ガラス越しに庭に目を向けると、生い茂った雑草が気持ちよさそうに風にそよいでいる。
世川の母は、美しかった。小学生の時の授業参観で他の生徒の親を見たとき、自身の母との容姿の差に驚いたほどだ。誰一人として、母ほど若々しくて綺麗な父母はいなかった。世川は母のことを誇らしく思ったが、肝心の母が授業参観に来ていないので、その誇らしさを誰に提示することもできなかった。
世川は綺麗な母のことが好きだったが、母は自身の息子に興味を示さなかった。食事は用意してくれるし、服や文房具など必要最低限のものは与えてくれたが、例えば怪我をして泣いていても熱を出して苦しんでいても、母は取り合ってはくれない。
家に帰ってくること自体が少なく、在宅時にここぞとばかりに構ってもらおうとしつこく話しかけると、ぶたれることもあった。それで世川が泣くと、綺麗な顔を歪めて、心底嫌そうな顔をする。
母が笑顔を見せるのは、男を家に連れてくる時だけだった。男は長期間(と言っても、半年から一年ぐらいだが)変わらずに同じ人物であったかと思えば、気づけば知らない顔になっていて、短いスパンでまた別人になるということもあった。母が男を連れ込むとき、世川は決まって狭い寝室に閉じ込められた。古い木造住宅の一室には鍵なんてついていなかったが、母が「絶対に出てくるなよ」と言えば、世川はそれに従う他なかった。
母は、居間で男と過ごすときに、頻繁にセックスをした。世川は、性行為が何を目的に行われるのかを理解する前から、母と男のセックスを何度も目撃していた。居間と寝室を隔てているのはドア一枚だけだったため、世川は母の言いつけ通り部屋から出ずとも、居間の様子を伺うことが可能だったのだ。きっと、覗き見していることがバレれば、母に怒られる。そう思って、見つからないように息を殺して覗いていた。幸いにも、母も相手もその行為に熱中していて見つかったことはなかったが、思い返せば、息子に見られていようがいまいが、どうでもよかったのかもしれない。
長ったらしい性行為を終えると、母は決まって換気扇の下で煙草を吸った。相手が喫煙者だと、二人で並んで吸った。そして、世川には向けたことのない屈託のない笑みを男に向けるのだ。その顔は、化粧を終えたての母の整えられた顔よりも、よっぽど美しく見えた。
世川はグラスを流し台に置いてから、テーブルの横の何もないスペースに目を向ける。母はいつもここに布団を敷いて、男とまぐわっていた。
一ノ瀬と初めて関係を持ったのも、同じ場所だ。
いつだかの自分の血が染み込んで黒く汚れたフローリングから、ドアを開けっ放しにしている寝室へと視線を移す。四畳ほどの、狭くてカビ臭い部屋。幼い頃の自分が、閉じ込められていた部屋。
世川は、一ノ瀬と居間で寝ている時、ふと、あの頃の自分が寝室から覗いているような気がする時がある。
「世川くんのお母さんって、どんな人?」
何度目かの通話の最中、新島が言った。
新島とは、直接話すよりも電話で話すことの方が圧倒的に多かった。彼女を目の前にすると緊張してまともに話せなくなるという理由と、彼女と話しているところを宮田に見られてはまずいのではないかという思いがあったのだ。
校内ではあまり顔を合わせないようにしておきながらも、避けていると思われないように電話で連絡を取るようにしていた。宮田の反応が気がかりではあったが、新島という輝かしい存在を手放したくない気持ちもあった。ご機嫌とりのようだと思ったが、ただ世川自身が安心したいがための行為でもあった。
受話器伝いに他愛もない会話を交わしていると、新島が昨晩見た悪夢の話を聞かせてくれた。大学からの帰り道、電車に乗っているとどこからともなく熊が出没し、襲われて生きたまま食べられる夢を見たのだと言う。夢の中なのに痛みがあって怖かった、と新島が言い、世川は先日夢の中で斧を振り下ろされたことを思い出した。なんとなしにその話をしてみせたところ、新島が興味を示したのだ。
「実際に斧持って追いかけてくるような人じゃないんだよね」
新島の声は笑っていたため、世川も「そんなことはしないけど」と笑いながら返したが、絶対にしないとは言い切れなかった。あまりにもしつこく話しかけ続けていたら、斧とはいかずとも、包丁ぐらいは持ち出していたかもしれない。世川は卑屈な笑いを飲み込んで、新島の問いへの答えを用意する。
「あの人は、明るくて元気な感じの人だったな」
僕とは正反対で。世川が言うと、新島は「そうなんだ。なんかだが、おしとやかで上品な人を想像してたよ」と意外そうな声をあげる。
「上品とは程遠いかな。でも、すごく美人ではあった」
「ふぅん、どんな感じなんだろう。世川くんに似てる?」
「どうだろう、あまり似てないと思う」
「じゃあ、世川くんはお父さん似なんだね」
そうかもね。と曖昧な返事をする。父親の顔は知らない。おそらく母も、どれが世川の父親かわからなかったのだろう。
幼い頃は考えもしなかったが、今になって、よくあの母親が一人で子を産む決意をしたものだと感心する。だが思い返してみると、母は昔「気づいたときにはもう、二十二週を過ぎてたのよ」と可笑しそうに男に話していたことがあった。母が己の腹の中の存在にもう少し早く気づいていたら、世川は存在していなかったに違いない。
「新島さんは?」
「私?」
「うん。新島さんのお母さんは、どんな人?」
世川は新島に話を振った。新島の母親に純粋な興味があったし、他所の母親についてあまり知らないため、普通の家庭の母親とはどういうものなのか知りたかった。少しの沈黙があり、新島が答える。
「真面目で……、頑固な人?」
言葉尻が上がっていた。お母さんについて聞かれることなんてなかなかないから、説明するのが難しいね。新島が言う。眉を八の字にして困った調子で笑っている顔が想像できた。
「そう考えると、私のとこも正反対かな」
「真面目なところは同じじゃない?」
「え、私、真面目なのかな。あんまり言われたことないなぁ」
「いや、悪い意味ではなく」
世川が慌てて弁解すると、新島は「わかってるよぉ」と笑いをかみ殺した声で言う。家族に聞かれるため、あまり大声を出せないと以前言っていた。
「私、よくいい加減って言われるから、嬉しい」
「僕は新島さんのこといい加減って思ったことはないな」
「えぇ、本当に? 皆によく言われるよ。やっぱり世川くん、少し変わってるよね」
あ、いい意味でね。新島がそう付け加えた。
世川からすれば、新島のどこがいい加減なのかわからない。山形と宮田と飲み物の話題で何故か険悪になった時も、新島は張り詰めた空気をもろともせずに明るく振る舞い、誰を悪者にすることもなく、誰の機嫌を損ねることもなく、それどころかやや面倒臭い性質の山形のフォローを完璧にこなしてその場を収めたのだ。側から見れば考えなしに明るいだけの少女と取れるかもしれないが、世川にはその行動全てが彼女の計算で行われているものに映った。
それに、告白してきた時の真摯な態度も、その後の気遣いだって、どれを取ってもいい加減だとは思えない。新島の言う「皆」は、新島の何を見ているのだろうと疑問に思った。それとも、新島が「皆」に対し、自身がいい加減な人間として映るように振る舞っているのだろうか。
「そのうち、家に遊びにきてね」
新島の声で、世川は没入していた世界から現実に連れ戻される。些細なことをきっかけに、自分の世界に入り込んで周りが見えなくなる。新島について、世川と新島の周囲で認識がずれていたって、どうだっていいことだ。新島は優しくて可愛らしくて、周囲から人気がある美しい容姿の女である。その揺るぎない事実があるのだから。
小さくかぶりを振って電話機に焦点を合わせ、考えなしに「うん」と返事をしてから、遅れて新島の言葉を反芻する。家?
「きっと世川くんのこと、私の家族も気に入ると思う」
「そうだと、いいけど」
そうか、付き合うということは、彼女の家族に会うことだってあるのか。世川は戦慄した。まだ、ろくに新島と二人で会ったこともないのに、もう家族に会う話が出てくるだなんて。少し話が早すぎやしないかとも思ったが、交際経験もなく、そういった話にも疎い世川には、早い遅いを判断する自信がなかった。それに、彼女の言う通り真面目な親なのだとしたら、まず両親のお眼鏡にかなう必要があるのかもしれない。
粗相のない振る舞いをしなければ。世川は漠然とそう思った。彼女に気に入られていても、彼女の家族に嫌われてしまっては、いずれ新島本人にも愛想を尽かされてしまうかもしれない。そうなっては、“勿体ない”と思ったのだ。
しかし、世川は他人の家族への礼儀作法など知らない。愛嬌やコミュニケーション能力に長けていれば乗り切れるのだろうが、絶望的に持ち合わせていなかったし、得ようと努力をしたこともない。せめて失礼のないように、誰かに振る舞いを教えてもらわなければ、まずい。
まず一ノ瀬の顔が思い浮かんだが、世川はすぐにそれを打ち消した。アイツが礼儀作法など知っているわけがないのだ。あるのは、不思議と心を許してしまう話術や相手の懐にするりと潜り込む懐っこさなどで、世川が習得できるとは到底思えない。そうなったら、頼めるのは宮田ぐらいしかいなかった。
新島と付き合い始めたことを伝えたときの、宮田の曇った表情を思い出す。新島には伝えない方がいいだろうか。新島に伝えたところでその理由がわかるとは限らない。
またもや世川の思考がトリップする。するとその意識を、またもや新島が引き戻す。
「世川くん、もしかしてすごく間に受けてる? ごめん、冗談」
「え、あ。間に受けました」
「あはは、ごめんね。まぁ、そのうち呼べって言われるかもしれないけど……、まだまだ先の話だから、安心して」
「少し、身構えた……」
新島のクスクスという笑い声が耳の奥で振動する。人の笑い声は苦手なはずだった。大抵の場合、自分に向けられた嘲笑だ(例えそうではなくとも、世川にはそう聞こえる)からだ。でも、新島の笑い声は心地がよくて、いつまでも聞いていたいとすら思わせた。世川はほっと息を吐き出す。じんわりと、安堵が胸の中に広がった。同時に、喉の奥で堰き止めていた言葉が口をついて出た。
「そういえば、新島さん、宮田には話してなかったんだね」
言ってからハッとしたが、新島は特に気にした様子もなく「うん」と返事を返す。
「ということは、世川くんから話してくれたんだ」
「まずかった?」
「え? 全然! 私から言うのは少し恥ずかしかったから、助かるよ。いつまでも隠しているのも、なんだか変だし」
新島の言葉に、世川は再び安堵する。
「二人は、いつからの知り合いなの」
この際だと世川が気になっていた疑問を口にすると、新島は
「宮田とは、予備校の時に知り合ったんだ」
懐かしいなぁ。高三の夏ぐらいだったかな、初めて喋ったのは。記憶を遡っているらしく、彼女の声は弾んでいた。
「そうなんだ、仲が良いから、もっと長い付き合いなのかと思ってた」
「そんなことないよぉ、全然」
新島は少し恥ずかしそうにそう言って、それから、そろそろ親に文句を言われそうだから切るねと声を潜めた。おやすみと言い合い、受話器を置く。世川はやっと肩の力を抜いた。
また、些細なことを気にしすぎただけなのだろうか。宮田の反応を懲りずに脳内で再生し直す。しかし、それはオリジナルの映像に、世川が自分で編集を加えているように思えてきた。宮田は本当にあの時、こんな顔をしていたのか?
考え始めたら、間違いなく自分の考えすぎだと思えてきた。くだらないことをうじうじと気にしていないで、祖父への返事を書き、提出期限の近いレポートを進めなければならない。
書きかけの便箋が広げられたテーブルに戻り、ボールペンを握る。すると今度は、一ノ瀬の顔が脳裏にちらついて仕方がなくなった。世川はペンを指に挟んだまま、肘杖をついて頭を抱える。
「病気なのかもしれない」
誰に言うともなく、世川は呟いた。コンロの脇に置かれた赤い煙草のボックスが目に入る。あれを一ノ瀬が今すぐに取りに戻ってこないだろうか。世川はそうなることを願ってみたが、その日も、次の日もその次の日も、一ノ瀬が訪ねてくることはなかった。頻繁に銘柄をころころと変えて、いつも煙草をそこら辺に置いていく男。どんな銘柄でもあれば吸うし、無くしたら新しいものを買い与えてもらえる男。そんな奴が、わざわざ一つの煙草を取りに戻ってくるはずもないのだ。
それから、一週間が経った。一ノ瀬は一度も世川の前に姿を表さない。
気まぐれな奴だが、一週間以上全く顔を見せないのは珍しい。世川は、このまま一ノ瀬が自分の前から姿を消すのではないかと無性に不安になった。この程度で不安になる自分にも不安になった。
そんな時、大学構内で愛美の姿を見かけた。
世川は、愛美が以前一ノ瀬の話を持ちかけてきたことを思い出して、勝ち筋を見出したような気になった。彼女ならば、彼女の周りの女たちならば、一ノ瀬の所在を知っているかもしれない。自動販売機の前で難しい顔をしている愛美に声をかけると、彼女は「あ!」と特段大きな声を出して驚いてみせた。
「ちょっと聞きたいんだけど」
世川が急く気持ちを抑えて切り出すと、愛美はそんなことはお構いなしに「世川さ、新島と付き合ってるんだって? 新島から聞いたよ」と顔を近づけて言う。おそらく周りに聞こえないようにという配慮のためらしいが、声のボリュームは変わっておらず、愛美の声が周囲に丸聞こえであることは間違いなかった。
「うん、そうなんだけど、それより聞きたいことがあって」
「それよりって! これより大事な話はないでしょうに」
愛美は新島と世川の関係に興味津々らしく瞳を爛々と輝かせており、こちらの話を聞いてくれそうにない。世川はふと、ボタンが点灯している自動販売機に目をやり、「買わなくていいの?」と指を差した。愛美は「あ、忘れてた」と言って色とりどりの飲み物が並ぶそれに視線を戻し、コーラを購入した。ガタンと音を立てて落下したペットボトルを取り出している愛美は、落ち着きを取り戻している。その隙に本題へと入る。
「愛美って、一ノ瀬と連絡は取れる?」
「は?」
一ノ瀬って、あの? 愛美が怪訝な顔をする。世川は頷いた。
「最近、連絡が取れなくて。心配なんだ」
「私は連絡なんか取ってないから、知らないけど……」
「誰か、連絡取れる人知らない?」
「わからないけど、聞いてみようか。誰かしらはいるかもしれないし」
誰かが、一ノ瀬がよく出入りしている家を知っているかもしれない。よく行く飯屋や居酒屋などを知っているかもしれない。そうだったら、こちらから接触を図れる可能性がある。
しかし、それを知っている人間が存在したのならば、そいつは世川よりも一ノ瀬と親しいということになるのだ。そんな人間が現れてしまったとすれば、きっと世川は、醜い嫉妬心が心の中で獰猛な獣のように暴れ回るのを自覚せざるを得なくなる。惨めで我儘でどうしようもない自分を、直視しなければならなくなる。だが、そうなったとしても、一ノ瀬に会いたいと思った。
「ありがとう、もし何かわかったら、教えて欲しい」
「うん。それはいいけど……」
愛美はコーラのペットボトルを手に、不服そうな顔で世川を見た。
「新島に、あいつを会わせたりしないでよ。あの子、箱入り娘なんだから。変な世界に引き摺り込まないでよね」
「そんなことしないよ」
慌てて否定する。愛美は疑わしげな目を向けてくる。
一ノ瀬と新島は、世川の中で全く別の世界に生きる二人だった。この二人が交わることなんて未来永劫ないと思っていた。しかし、もしも一ノ瀬と新島が並んで歩いていたとしたら。世川はそのシーンを想像し、相当に人の目を惹くだろうなと思った。どちらも、整った容姿を持っているのだから。
性格的にも、相性がいいのではないかと思う。どちらも人の話を引き出すのが上手いし、こちらが気を許してしまう雰囲気を持っている。だというのに、何故か世川の中で、一ノ瀬と新島が仲良く談笑している様子がイメージできなかった。
「絶対よ? じゃないと協力はしないから」
愛美が口を尖らせる。世川は想像の中の二人に蓋をする。
「うん。だから、よろしく」
悪いけど、と手を合わせると、愛美は「わかった」と表情を和らげた。それからペットボトルのキャップを外し、しゅわしゅわと微かに音を立てて弾ける炭酸を一口飲み込んで、続ける。
「でも、世川もちゃんと、つるむ奴を考えた方がいいよ。新島と付き合ってるなら、尚更さ」
愛美はそんな心配をするほどに新島と仲が良いようだった。世川は返事をするのも面倒臭かったため、適当に微笑んだ。
その、翌日の夜。世川がアルバイトを終えて店を出ると、店の前に何者かがしゃがんでいた。驚いた世川だが、それが誰だかわかると、喜びが驚きの感情を瞬時に追い抜いた。
「一ノ瀬」
世川が声をかけると、彼は顔を上げる。それは間違いなく、一ノ瀬だった。彼は「お疲れ」と片手を上げると、
「最後に、会いにきた」と言った。
続
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