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酒日和

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 世の中には2種類の人間がいる。

 昼間から酒を飲める人間とそうじゃない人間だ。

 宿の部屋まで持ち込んだ酒とつまみを手にニヤニヤしていた。

 窓から外を眺めると日が高い。

 時計を持っていないからはっきりしないが正午過ぎだろうか。

 酒を買いに行った時は、若返り設定のせいで買えないかと思ったがこの世界のお酒は20歳になってからではないようだ。

 わりとなんでも大丈夫ですよという楽天家の妖精シーも、これには若干引き気味でジト目でこちらをみている。

 そんな目でみられてもなぁ。

 部屋にきてすぐ呼び出してもらったネット小説の表示を、ぽちぽち操作しながら酒を飲む。

 ファンタジー世界にありがちな酒、エールの少し苦味の効いた味が口の中に広がる。

 小説の表示通りツギノ街まできたものの元の世界に戻れる様子はない。

『もー、ダンジョン行きましょうよー』

 シーのこの台詞は既に何度か繰り返されていた。

 小説に先の行動の指示がないから相談したところこの有様である。

 ダンジョン都市にきたのだからダンジョンに行く、冒険者としてはごく当たり前の行動ではある。

 しかし、現代日本人の自分である。

 魔物が徘徊する洞窟になど好き好んで入るものか。

 ダンジョン攻略の裏技でも設定されていたら向かってもよかったのだが残念ながらそんな設定はつくってはいない。

 小説みる以外にアニメか動画でもみれんかなぁと操作を続けていた表示に新たな言葉が紡がれた。

 ダンジョンへ向かう。

 なんだかんだ薄々勘付いてはいたのだが、ダンジョンに向かわなければならないようだ。

 


 
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