未完の物語の中に転移する物語

ツギノ街

　朝になって、ツギノ街へ向かう行商人をさがした。

　F級ではランクが低くて護衛依頼は受けられなかったが、直接交渉してなんとか無料でのせてもらえる事ができた。

　1度野営を挟んで2日かけて到着である。

　街道沿いは滅多にモンスターがでる事はなく、ファンタジー世界ではお約束の盗賊襲撃イベントなんてものも起こらずあっさりと着いた。

　この辺りの治安は良いのである。

　入り口には門番がいたが、冒険者プレートをみせると大して確認される事もなく中に入る事ができた。

　はじまりの街は人の往来が少なく、冒険者ギルド前だけ日雇い労働を求める人とすれ違うような状態であったが。

　こちらは路面にお店が並んでいる場所なんかもあって常に人が歩いている。

　人といっても、たまに尻尾や耳のある亜人やら耳が尖っているエルフ耳をした人達も見かけ、すれ違う人が驚いたりはしていないのでいろんな人種がいる街なのであろう。

　街並みを眺めながら、事前に都市間移動したら冒険者ギルドで登録するという話をきいていたので向かう。

　人通りはあったのだが、今は昼なのもあってかギルドは閑散としていた。

　入り口から1番近くにいた受付に声をかけて手続きをする。

　前の街と同じでメガネを掛けたお姉さんであった。

　この街にきた理由をきかれて、まさか元の世界に戻りたいからですなんていったら頭の痛いこだと思われるのでお金を稼ぐ為とかなんとか誤魔化した。

　そんなやつは多いのか特に何もいわれず。

　ダンジョンに潜るならソロはやめた方が良いですよと忠告を受けた。

　この街はダンジョンを内部に抱えたダンジョン都市であり、一獲千金を夢見てやってくる冒険者もいるらしい。

　設定した自分だからわかるが一獲千金できる程のダンジョンはこの街にはないのだが。

　受付もそんな大したダンジョンではないんですけどねと苦笑していた。

　今から何か仕事をしてもよかったが、別に働く為にきた訳でもないし1度腰を落ちつけたかったのもあって宿の場所を訪ねて向かった。