未完の物語の中に転移する物語

ヘルプ

『助けてください』

　そう部屋の中からきこえてきた。

　なので急いで駆けつけて自分は声をかける。

『あのー、教えられた部屋から声がきこえるんで部屋間違ってないですかね』

　宿屋のおばちゃんは間違えてないという。

　気味が悪かったのでおばちゃんに先導してもらって部屋の扉を開ける。

　中には誰もいない。

　おばちゃんは受付へと戻っていった。

　部屋の中を見回してみても人はいない。

　幻聴だったのかと思いベッドに仰向けに寝転がると目があった。

　それは空中に浮いていた。

　蝶の羽を持った小さな女の子が浮いていた。

　やばい、幻覚だ。

　相当疲れているらしい。

　そのまま目をつぶった。

　一つ深呼吸をしてもう一度目を開けた。

　女の子はかわらず浮いていた。

『助けてください』

　部屋の前できこえてきた声だ。

　これが現実世界であったならば、自分はいつの間にか薬をきめちゃったやばいやつなんだろうがここは異世界である。

『妖精ですか？』

　自分の質問にうなずく妖精。

　まぁ異世界だしこんな事もあるかと納得し妖精の話に耳を傾けるのであった。