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カイン2

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ルーナに会ってから2年、私の弟であるルイスも加わり、私達4人はかなり親しい関係となっていた。

最初の頃はやはりヴォルの背に隠れてばかりだったルーナだが、少しずつ慣れてきたのかだんだんと私やルイスにも普通に接することが出来るようになっていた。
その度に得体の知れぬ喜びを感じたが、友人が心を開いてくれることが嬉しかったのだろう。

そして、いつも共にいる私達の様子を見た父上達が、歳が同じルイスとルーナの婚約話を持ち出してきた。
父上から言い出した事のようで、公爵家であるルーナの父は断れなかったようで、ルイスの婚約者となることが決定した。


「ル、ルーナ……その、婚約者として改めてよろしく頼む」

「はい、ルイス様。
よろしくお願いします」


2人は友人であったこともあってか特に抵抗することはなかった。
だが、何故だろうか。
胸が痛い。
祝うべきことだと分かっているのに、何故私は素直に喜べないのだろうか?


「カイン、お前あいつらが婚約すること知ってたのか?」

「いや、知らなかったさ。
……なぁヴォル。
何故、私は2人を祝福出来ないんだろうか?
2人を見ていると、胸が痛いんだ。
何かの病気か?」

「……お前、やっぱルーナのこと好きなんだろ」


私がルーナのことを好き?
そんなの当然だろう。


「好きだぞ。
友人だからな」

「いや、友人とかじゃなく、恋愛感情のほうだっての」


ヴォルは呆れたように口にした。
だが、私がルーナに恋愛感情を抱いている、だと?
まさか。

確かに、ヴォルとは全く似ていないルーナに好感を抱くこともある。
優しくて可愛らしい笑顔に守りたいとも思う。
だが、だがそれは妹のような思いで恋愛感情ではないはずだ。
そうであってはならないのだ。
ルーナはルイスの婚約者となってしまったのだから。


「何を、言ってる?」

「ま、俺としてはカインを応援してんだけどな。
さすがにお前の弟の方じゃ、ルーナは重すぎる」


シスコンのヴォルがそんなことを口にするとは思ってもいなかった。
あのヴォルが、ルーナを手放すなど……。
いや、それよりもなんと言った?
ルーナは重すぎる、だと?
やはり、ヴォルとルーナは何か私達に隠しているのか。
それも、とても重要な何かを。


「重い?
おい、ヴォル。
お前は私達に何を隠している?」

「……さあな。
これは俺が言っていいことじゃないんでな。
悪いが親父に聞いてくれ。
はぁ、お前がルーナの婚約者になってくれれば良かったんだけどなぁ」

「……分かった。
今は聞かないでおこう」

「悪い」


ヴォルが父親を出してくるということはそれだけ重要なことなのだろう。
ならば、私は2人から直接聞きたかった。
この2人が何を隠しているのかは知らないが、いつか2人が私に話してくれるまで待っていよう。


「お兄様、カイン様!
お茶の用意が出来たようです!」


ルーナはただただ純粋な笑みを浮かべ、私とヴォルを呼んだ。
その表情に胸の奥が暖かくなるようなきがした。
あの笑顔がルイスのものになるのだと思うとどす黒い感情が湧き上がってくる気さえする。
それを隠すように私は笑みを張り付けた。


「あぁ、今行く」

「ん、分かった」


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