大阪のつむじ風

献残屋藤吉郎

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大阪のつむじ風

復讐シリーズ

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「小説」、、大阪のつむじ風

御影守の仲間というか同志のスクープ記者徳山萌は仙台で。。。
人生落後して、その後、しばらく大阪に旅した。
その大阪暮らしの中で知り合い、意気投合した男に
坂口勝という、いい男がいた、、、
その男から久しぶりに連絡があり
スクープ記者の徳山は大阪へ向かった。
大阪の風は久しぶりだったが徳山萌にはすぐに馴染んだ
本当に懐かしい、心休まる風だった
久しぶりに会った二人は大阪北新地の馴染の寿司屋に
「元気だったか、、、生きてたのう、、、萌。」
徳山も答えた。
「ああ、、、何とか生きてるよ、、、人生に這いつくばってな」
「しかし、懐かしい、、、会えてよかった、、、」と
坂口も徳山萌の手を握った。
それから酒も進み、話も昔の大阪時代に走った。
そして、坂口が言い出した。
「俺な、、、今、困ったことがあるんだよ、、、」
「萌には昔から世話になってた、女のことだけど、、、かっこ悪い
話だけど、、、騙されたんや、、」
坂口は昔から女には好かれた、さほどに美男ではないが、
気持ちが気に入れられた、、、
その男が女に騙されたぐらいで悩むような奴ではない、、、
徳山萌はよほどのことがあったようだと思った。
実は坂口は5年ほど前から
惚れた女ができたらしい。。。。
そして、マンションを5000万円で買い、女名義にしたらしい。
商売がしたいという女のために、北新地でクラブを開かせた、、、
その資金に1億円を投じた。
開店当初は盛況だった、、、新しい女たち、、、新しい色香にぎわう店内、、
いい気分で、その女も感謝してか、、、坂口にも尽くしたらしい。
しかし、人とは変わるもの、恐ろしい、、、、
以前は坂口に対しても
心から感謝してるように接して、いつも愛想よく振舞っていた
商売が軌道に乗り、金回りも前より良くなって
女は変わった、、、、
坂口の言うことを聞かなくなった。
女は自分の思うように仕事を増やしていった、、、
お店も増やし、、、5年間の間に北新地のほかに、大阪南にも、、、と、、、
クラブだけでも5店舗にした。
仕事が拡大し、繁盛することはいいことなのだが、、、何をするにも
独断でやるようになった。
クラブ経営が軌道に乗り、資金的に余裕が出てきたので、、、
小口の金貸しを始めた。
最初は無許可で、、、金貸しも水商売の人たち相手に、、
金貸しも許可取得して始まる、、、
始まって1年もしないうちに、何とか軌道に乗って
面白いように利益が出てきた、、、
彼女は正規の利息で、、まともに貸し付けで儲かる
金融業を覚えてしまった。
夜のクラブ経営も、昼の金融業も軌道に乗って
忙しく動き回った、、、水を得た魚のように、、、
そんなこともあって、彼女は有頂天になり、
少々、我を忘れた感があったので、、、
坂口が心配になり、「かって兜の尾を閉めろ」と、、
諺を持ち出して、注意すると、、、、
「今が昇り路、、、出来るときにやらないと。」
と、鼻であしらわれた「私のやることに文句があるなら、いやなら、、、やめれば。」
とまで言われてしまった。
坂口は黙った、、、惚れた弱みというか、、、
側で見守ってやらないと、、、と、心から感じた。
坂口のこれまでの人生経験や商売感から危ないとも思った。
坂口が思ってたより、彼女の商売は上手く回り始めた。
しばらく様子を見ようと、、、
いざとなれば自分が彼女を守ってやろうと、、、、
そんな坂口だったらしい。

2.女の勇み足
夜のクラブ経営よりも、昼の金融業が面白くなり、
商いも少々、的外れな行為をするようになってきた。
最初は水商売の女相手のつもりで始まったのだが、、、
大口に貸し付け、、、不動産を担保にとってのと、、、
また、信用での手形割引まで手を広げた。
不動産担保を取るようになり、不動産取引業の許可まで取得していった。
そして、金額的に大きな、、、
手形割引を始めた。
この手形割引が最終的には命取りになった。
彼女は女社長となり、大阪の金融業界で、、、名前が売れ出したころ
「大阪の金融クイーン」と言われて、、、
いい気になって、クラブ経営で設けた資金をもとに
金融業界へ走った。
もともとはクラブ経営の手腕で、男を手玉にとっての商売
早い話が、、、騙し商法ではないか。
そんな女経営の甘さがあり、、、
金融の貸し付けが大きな取引になっても、取り立てはどうにかなる。
と、、自負していた。
自分が貸し付けて、騙されることは一切考えずに。。。
必ず、貸したものは返してもらえると、、、
危険な安心感を持っていた。
女特有の自惚れであった。
世の中には初めから騙しに取り掛かるやつがいる
計画的に罠に嵌める奴がいるものだ。
その甘い罠に準備をして、時間をかける
そんな悪にかかれば、彼女はいい餌かもしれない
クラブの客で、この1年間、金払いのいい、、、
不動産屋の木村社長がいる、、、
彼は女好きするタイプの、、甘いマスクの男だ
そして、坂口の彼女も満更ではなかった。
クラブに通い始めて1年ぐらいか、、、罠を含んだ儲け話に
耳を傾け、、、その話に乗ってしまった。
北海道の土地がらみの手形割引で、、、
不渡りになったとしても、、、土地を差し押さえて、、、
転売またはリゾート地として、スキー場としても、、
儲かる話が出た。
そして、その土地を確認してからでも遅くないので
見た後に、納得したら手形割引をしないかと、、
木村社長も半分割り引くので、残りの半分をどうだろうと、、
金額は5億だ。
彼女も金額は大きいけど、木村社長も半分、持つのだから安心と
思ってしまったのであった。

3.甘い罠の始まり
木村社長の誘いで、北海道の土地を見に行くことになった。
場所はニセコの近辺だった。
スキー場も近くにあり、ゴルフ場も併設されていたので、、、
坂口の彼女も安心したようだ。
近くには温泉もあり、融資してもすぐに元は取れそうだった。
木村社長の地元の市会議員も今回の事業には参加するので、、
現場は山ばかりだったが、、、
開発整地すれば文句なしだった。
坂口の彼女は冬の雄大な北海道を見て
銀世界を見て
リゾート計画の果てしない夢を
追っていた、、、
そして、坂口が止めたのも聞かずに
10億円を融資したのだった。
まだ、形のできていない山に
彼女は夢を見たのだった。
大阪に戻った彼女は資金準備をした。
大きな甘い罠が待っていると
少しも疑わず
人とはなんかの弾みで、いったん信じたことの
恐ろしさを彼女も、また、理解していなかった。
今回の罠には、木村社長たちの周到な時間をかけた
計略が潜んでいた。
初めから悪人たちの仕掛けた蟻地獄に落ち込み
まんまと、、、10億円は騙された。
坂口の彼女が騙しと気づいた時には
木村社長たちは北海道へ引き上げ
後でわかったことは木村社長たちは北海道の
田舎のやくざ組織だつたということだった。
融資した10億円はパクられたのだ
土地を調べたら、持ち主は別人で
土地謄本も契約書も、、、すべて、偽造だった。坂口の彼女は甘かったのであった。
時間をかけて大阪まで、出かけてきた木村社長のずるさ
罠を賭ける人間の巧みさに
まんまんと乗せられてしまったのであった。
すべて、後の祭りだ、、、、
懐から出た金は戻らない。
坂口の彼女は地団駄を踏んで悔しがった。
坂口も話を聞いて驚いた。
しかし、何か方策を考えないと、、、今までの苦労
今までやってきたことが、何もかも泡となってしまう、、
坂口は一瞬、思った。
泡どころか、、、商売を整理しても足りずに
借金が残ってしまうと。。。。
坂口は自分の経験と知恵を絞って、、、
彼女を救ってやろうと、、、被害をすくなくしないと、、、
心から思った。

4.女の執念
北海道から戻った、坂口の女は2,3日は考え込んでいた。
そして、強気の女はとりあえず動いた。
「もう一度、北海道へ行って木村社長たちを探して、
あってくるから、、、」と、、、
言って、坂口には自分が帰ってくるまで動かないでと言い残して
彼女は北海道へ向かった。
坂口は無駄なことだなと思いながら
とりあえず、彼女の好きなようにすればいいと、、、
その結果で自分がやれることをすると、坂口は決めた。
今更、慌てたところで、金が戻るわけでも無いので、、、
彼女の結果報告を聞いてからと、、、
彼女は寒い雪の中を探し回った
事務所、住居と知っている限りの住所を頼りに、、、
歩き回った。
そして、たどり着いた。
木村社長たちは小樽の街にいた。
札幌で開発事業を計画して、、事業をせずに小樽へ
初めから事業はしないつもりだから金だけ騙して、、、
小樽で木村社長たちは遊んでいた。
坂口の彼女から騙した10億は、、、満々とパクられて。
木村社長が、、詐欺師が豪遊していた。
見つけた木村社長に彼女は詰め寄った。しかし、せせら笑われた。
「おお、、坂口ママか、、、良くここまで来たな」
「今さら、金返せと言われてもな、、、事業は失敗したので、、
金は一銭もないよ、、、、」
「心配するなよ、、、別の事業で取り戻して、儲けて見せるから。。。
時間をくれよ」
金を騙しておいて、悪びれた様子もなく、戯言を吐いた。
「次の事業を見せるよ、今度の現場は大丈夫だから、、、
2,3日泊まっていきなよ、、、ホテルを予約するから」と言って
木村社長は彼女に言葉巧みに、、、言い聞かせた。
木村社長たちにはとんでもない計画があった。
初めから金をとれるだけ引っ張って
返済しない覚悟で、、、、彼女を追い込んでしまおうと、、、
彼女が自殺をして、この罠を終了させると、、、
その悪辣な連中の罠に嵌められたのだ。
そして、その計画は彼女が北海道へ戻ってきたら履行すると
初めから決めていたのだった。
世の中には悪い奴はいるものだ
徹底した悪魔に取りつかれた人間が、、、
彼らの計画で、坂口の彼女は自殺させられた。
後始末が見事で、警察の取り調べでも「自殺」と
まるで、人を騙して人を、殺すことが当たり前という
ふざけた人間たちがこの世には
いるという、、、
彼女の自殺が警察から知らされた坂口は、、、
後悔した。
一人で行かせなければよかったと、、、
坂口は考えた。
間違いなく、木村社長たちに殺されたと
騙されて、金までむしり取られて、命まで取られて
絶対に許せないと、心から煮えくりかえった。
「香、、、敵(かたきは必ず取ってやる、、、」
坂口はすべてをなくしても、すべてを賭けて。。。

5.男の意地
坂口は調べた。
木村社長たちの素性を、、、徹底した調べた。
徳山萌の線からも、相竜会若頭白木大二郎のにも
その結果、筋道の通ったやくざではなく、
北海道の質の悪い愚連隊崩れとわかった。
坂口は北海道へ飛んだ。
徳山萌と打ち合わせして、、、
相竜会の白木大二郎の承諾のもとに動いた。
木村社長たちと会うときには、「相竜会」を名乗った。
坂口に会った木村社長たちは慌てた。
とんでもないやくざ組織と関わったものと
日本最大の組織暴力団「相竜会」に
坂口に迫られた
坂口香が自殺したときの状況を聞かせてくれと、、、木村社長たちは自分たちが殺しておいたのだから
話の隙ができた。
坂口も百選錬磨の裏道も歩いてきた男、、、
木村社長たちの話に嘘を見抜き、攻めた。
「いい加減な話や、返事はするなよ」と、、、
坂口も睨みを聞かせた。
「いいかな、命を賭けて話してるんだから、覚悟を決めて
話してくれよ」
木村社長たち3人は坂口の凄さに身震いを覚えた。
「本当のことを、言ってくれないなら、場所を変えてもいいんだから、、、」
木村社長たちは、本当のことを言えば殺される、、、
言わなくても殺されると思った。
木村社長も少しは遊んだ人間だから、同じ事なら、黙って、やられた方が
なんか逃げ道があるのではと。。。
思っていた。
坂口は間違いなく、この三人が香を殺したと思い、
次の瞬間、彼らに考える隙を与えることなく、、、
隠し持っていた拳銃を放った。
三人とも逃げる暇もなく、その場に倒れた。
木村社長の事務所で。。。
坂口は自分についた返り血を始末して
その場を去った。
そして、東京に戻った坂口は香の墓に向かった。
坂口は結果を報告して、
自分も墓前で果てた。。。。。
墓に参る前に、徳山萌に連絡をして、事の仔細を報告し、
今回の礼を尽くして
別れをしたのだつた。
徳山萌は坂口が彼女の墓前で果てたこと、、、、
北海道での暗殺事件を後で知った。
男と女にはいろいろあって、、、
憎まれ口をたたきながら、本当は心からお互いを
愛しんでいる。
惚れた男のやさしさが、、、女の業を癒しているような。。。
大阪の街から「つむじ風」が消えた。
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