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朝焼けはコバルトブルー

復讐シリーズ

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「小説朝焼けはコバルトブルー  「献残屋藤吉郎」

ある一人の男の物語り。。。。。
いつも朝方にベットに入る。この男の仕事は「殺し屋」だ
日の中はほとんど自分が築いた我城で過ごし、、夜になると獲物を狙う。
午後3時を過ぎると目を覚ます。その男の行動は闇に包まれていた。友達も
なく起きてからは一緒に暮らしているボクサー犬の「小虎」と散歩が日々の
日課だ。
彼(殺し屋)の我城は筑波山ろくの奥まった森林の中にあり、その山道は彼
専用の道であり、他人が入ってくることは滅多にない。
その山道は彼のトレーニング道であり、常に鍛錬されたからだを維持訓練し
ていた。
彼には決まって5時に電話が入る。
その電話内容で彼(殺し屋)は行動を起している。すぐに行動する場合と、
しばらく考えて行動する場合がある。請け負う殺しによって調査が必要であ
り、失敗は許されないからだ。

1)殺しの序曲
殺し屋は「虎の牙」と呼ばれている。
仕事はいつも電話で始まり、依頼者と会うことはない。依頼者はいつも一人
の人間だからだ。名前は「影の総裁」と名乗り、依頼者と本人かどうかは暗
証番号で確認している。
「殺しの009」だ。
常に影の総裁から連絡があってから、「虎の牙」は依頼事項を確認し、その
あとで虎の牙は行動を起す。
依頼事項の終了確認は影の総裁が確認している。成功報酬についてはその都
度に受け取り方が変更になった。その方法は虎の牙からの指示に従った。
虎の牙と影の総裁が直接に会うことは避けた。
虎の牙が「殺し」を請け負うようになったのは、彼が二十歳の時に喧嘩でや
くざな男を殺してしまい、奇跡的にその死体が出なかった。それは船の上で
の喧嘩で、殺した男が海に落ちてしまい、出てこなかったので、当時の虎の
牙は死体は海に沈み、魚の餌になったものと。。。。
その時に人を殺したら、その始末は餌にすることがいいんだと、、、
そんなことで、今も殺しの後始末は「餌」に。。。。
あるやくざ組織の話であるが、、、九州地方の組織暴力の組員がロシアから
の麻薬の密輸の話を警察で話してしまい、その見返りで保釈になったが、そ
の組員は殺されニワトリの餌になった、、、残酷な話ではあるが、その組員
は殺されミンチにされて、この世から姿を消した。
実際に殺され、行方不明になっている話はいくらでもあるような、、、
例えば、殺され、ドラム缶にコンクリート詰めにされたり、産業廃棄物処理
施設に埋められたり、焼却されたり、いろいろだ。死体が出てこなければ殺
人は成立しない。人の世は恐ろしい。

2)殺しの鉄の掟
虎の牙が殺しを請け負うには掟、決め事があった。
一つ。標的に非があること。
二つ。依頼者とは会わない、影の総裁からの依頼で、虎の牙の指示で動く。
三つ。依頼後、調査の後に、虎の牙の合意が得られてから始まる。
四つ。作業終了の確認は依頼者「影の総裁」がする。
五つ。報酬の支払いは「虎の牙」の指示で、その都度に方法を変える。
以上を守ることが原則であり変えることはない。
「殺しの標的」に非が認められない場合は、どれだけの報酬が示されても
「殺しは請け負わない。非が認められたなら、報酬に上限はなく、虎の牙は
引き受けるからであった。また、依頼者である「影の総裁」もそれを理解し
ていた。
「影の総裁」は新宿区鶴巻町の貸しビルの中で「なんでも屋相談請負業」営
んでいた。古びたビルの一室に事務所兼住まいを構えている。電話番と賄い
をしている女性一人が通い、普段は留守番をしている。
「影の総裁」の名前は御影守、普段は事務所に出入りしている仲間と麻雀を
していることが多い。彼の事務所には机と応接セットがおいてあり、寝室に
は麻雀セットが置いてある。麻雀セットだけは電動式で、椅子も応接セット
よりも上等なものが置いてあった。
彼の仕事はなんでも屋であり、トラブルや人生借金問題で困って居る人たち
が訪ねて来るような。。。。
麻雀仲間には特ダネスクープ専門の記者の徳山萌と警視庁新宿警察生活安全
課の安田敬一郎警部補がいる。みんな怠け者で仕事が嫌いな、世の中のはじ
けた奴ばかりだ。それでいて特異な事件には首を突っ込みたがるよう
な、、、、麻雀のメンバーには一人足りないが、他にも暇人が毎日訪ねて来
る。
最近、一人の男がよく訪れる。身元は知れないが金の支払いが綺麗な男で、
良き麻雀相手になった。怠け者たちからは好かれていた、どう見ても遊び人
風であったが、彼らには一向に差し付けなかった。
令和3年12月も、もうすぐ終わる24日、午後には「なんでも屋相談請負
業」の事務所にはじけた奴が3人集まり、最近訪れ麻雀仲間に加わり、雀卓
に座った。新しく加わった男は伊達寅之助と名乗っていた。
「4人揃ったから、始めるか、、、」と、なんでも屋相談室の賄いの彩さん
に声をかけた。暇人の長い時間つぶしの麻雀が始まった。
麻雀をしながら、いつもの世間話が進み、特ダネ記者の徳山萌が、、、
「室長、最近なんか、銭になるようなネタは無いかな、、」
麻雀仲間では御影守を室長と呼んでいた。
御影守が、、、
「一つあるけどな、、、つい、昨日のことだけど、面白い話があったので、
みんなに今日話そうと思っていた。
と言いながら、昨日相談を受けた話を始めた。
茨城県の八郷町の桜井という、元町長をした人からの相談事だった。
息子が建設会社を経営していたけど、談合で騙され、事業に失敗してしまっ
たこと。そして、倒産をし、多額の借金をしてしまい、挙句の果ての自殺、
その上に取引先の息子と自分の孫娘の婚約が破談になり、娘までも自殺に追
い込まれた悲劇を聞いた。
八郷町の桜井氏は何とか息子の借金は弁済したが、可愛い孫娘まで犠牲に
なった事への恨み事から「談合」という卑劣な罠に嵌めた。競争相手を法的
手段に訴えようと弁護士を立て、刑事事件にした。
刑事事件、民事事件で訴訟を起こしたが揉み消されてしまった。
その悔しさを晴らしたいと御影守に依頼してきた。
騙した側の会社も二部上場であり、その談合のもみ消しに力を貸した政治
家、さらには警察、検察官僚の圧力、そして、倒産に追い込んだ反社会勢
力、いわゆる「やくざ」を許せないと御影守は思った。
世の中の力弱い人間、精一杯生きようとしている人間、正々堂々と法治国家
の秩序の中で、ルールを守って生きようとしている人間を無視して、国家権
力や金力で恐怖暴力で社会の秩序を押し曲げて通る人間をグループを許せな
いと御影守たちは思っていた。

3.復讐の代行
茨城県八郷町の桜井氏より依頼をうけとることなった御影守は依頼内容をま
とめて、虎の牙の連絡をまった。
連絡は一方通行で御影守からは連絡することはできなかった。定期的に先方
からの連絡待ち、それも安全に、後々のことを考え警戒した、証拠を残さな
い方法で連絡が来るのであった。
し、「影の総裁」の決められた携帯電話に掛けられ、一つの依頼仕事がおわ
ると、その電話は破棄することになっていた。あくまでも連絡ごとで証拠を
残さないためであった。
今回も虎の牙の指定する方法で連絡を取り、虎の牙の調査が終わり、
了解の連絡が来たら復讐代行の始まりであった。
御影守のなんでも屋相談室に今回はいつもの特ダネ記者の徳山萌、不良刑事
(新宿警察安全課)安田敬一郎が集まり、今回の依頼ごとの打ち合わせをし
ていた。二人には「影の総裁」の仕事を話していた。そして、了解もしてい
た。なんでも屋相談業の請負をしていると、それらの仕事をしているように
もとられた。しかし、実際は橋渡しであり、あくまでも仲介だけであって、
実際仕事はしていない。
それでも金を受け取って、業を斡旋しているので早くても遅くても同罪で
あった。そのために「影の総裁」の仕事は三人の秘密であった。
裏稼業だ、、、、
相談もおわり、昼食を食べているとこに珍しくやり手と言われている民亊専
門の弁護士青田明が訪ねてきた。
「しばらくだね、、、彩さん、俺にもあんたの美味しいかつ丼を食わせて欲
しいな、、、」
と、言いながら、弁護士青田明がさんにんが囲んでいる雀卓に座った。
「面白い話、、、ないかね」
青田明弁護士は何かを嗅ぎ分けるように麻雀牌をいじる始めた。
現在進行中の請負があることを悟られないように、雑談をしながら麻雀を始
め、四人の同じ空間の時間は過ぎた。時間が経つのは速いもので、気が付け
ば外は冬の夕暮れ、空腹を覚えるような、、、
誰ということなく、御影守の一階の居酒屋呑兵衛おやじに、、、
「腹減ったな、、、飯でも。。。」ということになった。
飲みながらの話となり、、、、
弁護士の青田明弁護士が執拗に聞き入った。
「本当に何もないの、、、なんかありそうだな。、、あるなら俺にも一枚か
ませ欲しいな」
「何をおっしゃいますか、、、青田先生は何かとお忙しいでしょう」と、、
特ダネ記者の徳山萌が皮肉った言い方で言葉を返した。
「何も今はないよ、、、あれば相談するから、なんでも屋相談室の仲間では
ないか」と、御影室長が話を濁し、その晩の飲み会は終わった。
欲深な弁護士青田明から翌日の朝、早く御影事務所に電話が入った。
「御影室長、、起きたね、大事件が、、、民友党幹事長の大畑丈太郎が暗殺
されたよ。世の中少しは変わるかな、大物政治家の暗殺だ、これから忙しい
な」と、電話の向こうで青田明がざわめいたいた。
御影守は青田明弁護士から連絡のあった前にテレビニュースで、その事実を
知った。内心、御影守は、、やったな、虎の牙が。」
いよいよ復讐代行が始まったと思った。次は何が起こるか、興奮を覚えた。
さすが「虎の牙」だと、、、、
その日は御影事務所に特ダネ記者の徳山萌も、警視庁新宿警察の安田敬一郎
も集まってきた。そして、生活安全課の警部補安田敬一郎も少し興奮したよ
な面持ちでやってくるなり、俺たちにも応援の声がかかったよ。
「さすが、大物政治家の暗殺事件だよ、俺も少しは警察に貢献したような度
を見せないとな、、、忙しきなるよ、情報はいれるよ」
そして、特ダネ記者の徳山萌も警察回りが忙しくなると言いながら、どこ喜
んでるようであった。
御影守もニュースに、世の中の動きに自己アンテナを張りめぐらさない
と、、、、曲がり間違えば、同罪なのだから。

4.殺しの序曲
御影守は影の総裁たちが段取りした「復讐の代行」が、暗殺者「虎の牙」に
より、始まったことを確認できた。
最初の復讐の的である衆議院議員の民友党大畑丈太郎が暗殺された。
虎の牙はわざわざ目立つように、世間が大騒ぎするように、人前での銃殺の
道を選んだ。その暗殺の手段は、本来は秘密裏にするのが虎の牙であった
が、あえて世の中を騒がせ、政府がとる行動、すなわち「もみ消し」の出来
ないようにしたのであった。
その意図は御影守もよく理解した。
これで世間は、政府機関が闇から闇にすることを隠すことができなくなっ
た。暗殺事件が起きた翌日には「号外」が出た。そして、報道機関が一斉に
報じたのであった。
衆議院議員の補欠選挙の応援演説の大衆の面前で狙撃されたのだ。
この法治国家の日本で白昼堂々と。。。。
狙撃手の虎の牙の射撃技術は1000m離れたところから、命中できるもの
であり、獲物の額を一発で仕留めていた。即死状態で、、、、
幹事長の大畑丈太郎をガードしていたエスピーも何もできなかった状況で
あった。
事件あった夕方、さぼり警部補の安田敬一郎が御影事務所に夕食を一緒に食
やってきた。後もから特ダネ記者お徳山萌も合流した。勿論居酒屋呑兵衛
「おやじ」で、、、、話題は暗殺事件であり、さぼり警部補安田の話で警視
庁は大騒ぎであり、特ダネ記者徳山萌も記事集め、情報集めに忙しく動いて
いた。
「ところで室長、、、虎の牙とはの関係はどうなってんの、、、信頼関係は
大丈夫かな、、、どういう知り合いなのかな」
さぼり警部補の安田敬一郎が聞いてきた。
「御影室長との関係を話してくれいかな」
御影守も、安田敬一郎と徳山萌には虎の牙について、話しておこうと考えて
いたところで、、、10年前まで九州福岡の筑豊地方で建設機械販売業をし
ていた。当時は山歩きが好きで、全国各地の山々を巡っていた。そな時に山
梨県の大菩薩峠、雲取山を含めて縦走をしていた。その期間に運悪く悪天候
に襲われ、経験不足、知識不足から遭難にあってしまった。遭難などに合う
べき山々ではないが、恥ずかしくも大雨に襲われ道に迷って困っているとき
に、虎の牙に助けてもらったことがあった。
虎の牙は当時も山男らしく、山には詳しく、登山にも知識が豊富であった。
その後の付き合いで、虎の牙は武道家であることを知り、彼の武道を極める
鍛錬の一種で登山もしていることを知った。
また、彼の家を訪ねたこともあった。筑波山ろくに居を構えて、常に心身と
もに日本古来の武道に励んでいた。
彼の家族が筑波山ろくの八郷に牛を放牧して牧場を経営していた。そこでの
取れたての牛乳の美味しかったことを、今でも覚えている。
平和な、のどかな田舎暮らしの素晴らしいところであった。ところが、ゴル
フブームにより、虎の牙の実家の牧場が計画地に含まれ、買収交渉となり、
都会のゴルフ嵐に巻き込まれてしまった。虎の牙の家族は買収を断り、反対
したのであるが、あの手この手と攻めまくられた。
近在の有志からも、嫌がらせを受けて、最終的には銀行からの融資も止めら
れ、経営破綻を起してしまい、牧場も閉めることになった。
経営が破綻しただけならいいが家族崩壊がおきた。子供たちの学校での虐
め、近所付き合いはじかれ、住むことが困難になり、逃げだすことになった。
虎の牙の父親は生活に行き詰まり、自殺に追い込まれてしまった。
当時の虎の牙は、家族も住む家もなくなり、武道の鍛錬どころではなかった
しまった。虎の牙の考えたことは復讐であった。何もかも奪ったゴルフ場施
設に復讐をしてやろうと、、、、しかし、何をしていいかわからなった
そんな時に御影守が相談を受けた。
本当に復讐するなら、ゴルフ場側なのか、誘致を持ち込ん地域住民の生活
に、居住地に働きかけた、有力者、当時は行政のトップ、町長に対しての責
任の償いをさせるのかだった。
御影守は地域住民の迷惑や思惑を考えずに、地域行政の利益、当事者の利権
利益だけを考えた、行政のトップと、その関係者、そして、ゴルフ場側に責
任を取らせることして方向性を決めて、助言した。
まずは当事者側と行政側との間に贈収賄の噂があったので、その事実を確か
めるために、その事実を告訴する。御影守も協力して、両者について調べ
た。
告訴した結果、贈収賄の事実が認められ、勝訴した。
しかし、法律的は勝訴したけれども、虎の牙側には何も残らなった。
すでに、家族は離散して崩壊しており、父親は自殺して、もとに戻ることは
無かった。
法治国家の日本では、やってしまったことは戻らない。後の始末は法律的に
 形はついても、元の形には戻らない、なんとも後味の悪い結果だけが残
る。矛盾した世の中の仕組みであった。
虎の牙には納得がゆかなかった。相手の攻めぐわいで、父親の命はなくな
り、家族は崩壊したのだから、相手にも。。。
喧嘩両成敗の古来からあるように「死」を与えて当然と思うのであった。
虎の牙は考えた。思った。
与えられた「死」を相手のにも「死」を。。。。
そんな過去を持つ虎の牙と御影守は10年間、側で見守り、考えた方に方向づ
けしてきた。決め事に疑問を持っていた。いつしか、この世の矛盾に少しだ
け楯突くようになっていった。
「わかったかな、俺と虎の牙はそんな絆からかな、、、」
三人は虎の牙の動向を見守り、今後の動きを慎重にすることを、連絡を取り
合うことを確認したのであった。
「しかし、復讐の代行で誰からやるのかなと思ったら、いきなり、幹事長手
とはびっくりしたよ」
と、三人とも口をそろえた。

5.「虎の牙、爪を鋭く」
今朝のテレビニュースで流れてきたのは警視庁の副総裁田島省吾、検察庁の
刑事局長林正一の二人の狙撃事件であった田島副総裁は自宅玄関前で狙撃
で、額に一発の銃弾を受けた。そして、林局長は検察庁玄関での銃弾で額を
撃ち抜かれていた。どちらも一発に銃弾で。。。
この狙撃事件で今朝は大騒ぎであった。
御影守の仲間の安田敬一郎も招集がかかり、新宿警察安全生活課に戻ること
になった。暇な警部補であっても非常時とみて、あたふたと戻っていった。
スクープ記者の徳山萌も会社に戻ると言って、二人は出ていっあ御影守も事
務所に戻り、何かと忙しくなってきたような、そんな気持ちに包まれてき
た。
事件の起きた警視庁も検察庁も大騒ぎであり、警視庁内では上層部が集まり
、救急車で運ばれた、田島副総裁の処置が行われ、すぐに特別捜査班が設け
られた。また、検察庁からも連絡が入り、合同の緊急会議が開かれた。
警視庁長官からも特別な指示の指示を受けた「特別捜査班」も準備に入た。
特別捜査班の捜査一課長の鬼島三郎が直接陣頭指揮を執ることになった。
「今回の件は警視庁及び全国の警察関係の総力を挙げて捜査に当たる。勿
論、幹事長狙撃の件も含めて、警察の威信にかけて犯人検挙を目指す。」
と、特別捜査班の捜査一課長より強い指示があった。
警察および検察庁として立て手続きに狙撃事件が発生し、しかも、重要人物
が狙撃それたのであるから、警察の面子にが丸つぶれであった。
何が何でも非常態勢で臨んだ。
新宿警察生活安全課の安田敬一郎警部補にも命令指示は伝わった。
これらの状況が起こることを虎の牙は想定したうえでの狙撃行動であった。
「これは大変なことになった。」
と、内心身が締まる思いがした。自分たちで仕組んだ「復讐の代行」であっ
たが、、、、、
「早く、仲間たちに知らせ、、、対策を取らないと。」
そんなことで御影守とスクープ記者の徳山萌に新宿警察生活安全課の安田警
部補は連絡を取り、会う約束をした。

6.反撃の兆し
新宿警察生活安全課の安田敬一郎警部補は御影守とスクープ記者の徳山萌と
居酒屋呑兵衛で落ち合うことにした。会ってから三人は誰かれともな
く、、、、
「凄いな、、、動きだしたら早いよ、、こっちサイドも落ち落ちしてはいられ
ないぞ。」
「そうだな、覚悟を決めてやらないとな」
三人は今日の虎の牙の動きを見て、やるべきことはやらないと、、、と思っ
た筈だ。
新宿警察生活安全課の安田は「俺の方も忙しくなるから、当分は出てこれない
連絡は取らないでいよう、、、念のために」
「そうだな、何かと会わない方がいい、、、と思う。緊急事態が起きたら、
連絡しながら時間を取ればいいよ」
と、スクープ記者の徳山萌も相槌を打った。
御影守もそう思った。
しかし、御影守は気になることがあったが、それは自分で調べることにし
た。
三人は軽く飲みながら食事を済ませて別れた。
御影は時の民友党幹事長大畑が、そして、警察官僚が二人とも狙撃されたの
だから、警察もそんなに馬鹿では無い筈。何かの捜査目標を見出したに違い
ない
今回の特別捜査班の中で、明智壮一郎警部が捜査の実務指揮を執っていた。
警視庁きっての敏腕警部との噂もあり、大学時代ある御影守は、その噂も
知っていたので少々気になった。
今回の幹事長大畑にしても、銃撃された警察官僚二人には黒い噂があった。
そのことから、警察でも黒い噂のもとから捜査するはずだと。。
御影守は見たのであった。
御影守は今回の「復讐の代行」の依頼者に気を配らないと、注意しないと、
ならないとつくづく思った。今回の相手は警視庁特別捜査班の明智壮一郎警
部であるから、、、御影守は明智の性格を知っているので、気は抜けない
と、、、
これから、もっともっと事の成り行き
を見ながら、慎重に行動しないと、、
御影守はこれからの事を考えて、その日は床に就いた。
次の朝、テレビニュースで相竜会会長が新宿で暴漢に襲われ死亡したとい
う。
関東きっての広域暴力団の組長であり、政治家、経済界に影響を及ぼす影の
暴力組織で、何かと黒い噂の取引には絡んでいた。
御影守はこのニュースを見て、まずいと、、、思った。
いつか、政治家、警察官僚、やくざの絡みが、黒いドロドロした組織ぐるみ
の犯罪が浮き彫りにでてくると、、、
あの明智壮一郎なら、たどり着くのではと脳裏をかすめた。

7.反撃
御影守は筑波山ろくの麓、青空のもとを車で一人走っていた。そして、柿の
木のある大きな瓦葺きの屋根の門を潜って、車を止めた。すっかり秋になっ
て、肌寒さを感じた。
「復讐の代行」の依頼者、桜井宅を訪れた。今回が最後の訪問であり、御影
守は詩集確認を兼ねて。。。。
「桜井さん、依頼通りに進んでいますが、間違いなく、復讐の代行は最後ま
で行っていいですね」
「はい、、よろしくお願いします」と。。。
「ところで、桜井さん、これからが大変で、、、いろいろと警察やそのほか
の関係者たちからの取り調べや報復が始まるかもしれません。気を付けてく
ださい。ああ、、、それから私どもの方は心配ないですから、、、」
御影守は詳しく細かい話をして、約束は必ず守り、実行することを約束し
た。
そして、今日で連絡を取ることを辞めることも。。。
何かあれば、御影守から連絡を取ることにした。
相竜会本部でも大騒ぎをしていると、スクープ記者の徳山萌から御影守に
連絡が入った。
相竜会本部では若頭の白木大二郎が幹部を集めて怒鳴りまわしていた。
相竜会本部では、若頭の白木大二郎が幹部を集
めて、怒鳴りまわしていた。
「馬鹿野郎、、、町岡、手前が付いていて、なんてざまだ、、、」
「とにかく、相手を探せ、何が何でも、警察よりも先に見つけろよ」
相竜会本部では組員総動員で犯人を追いかける指示が出た。
しかし、新宿で飲んでいる席で暴漢に襲われ、そのまま鮮やかに姿を消した
暴漢を見つけることは困難だった。相竜会が他の暴力組織との争いがあるな
ら、すぐに襲った暴漢を割り出すことは出来たが、争いは無く、組織関係は
平穏だったので、、、
若頭の白木大二郎も手を打つことは出来たのだが、まるっきり、流しの暴漢
だったので、兎に角、警察ではないけど聞き込み情報に頼るしかなかった。
若頭の白木大二郎は組織以外のトラベルを調べ始めた。その考えは正解だっ
た相竜会自体が経済やくざと言われるようになっていたので、企業関係のト
ラブルでの恨み絡みではないかと、、、、
最近起きた企業との関係事業会社を調べた。贈収賄絡み、談合から、取り立
てトラブルで憎まれた関係の事件を、、、、
いくつかあり、そのうちの大きな談合がらみのトラブルで、相竜会が潰した
会社があった。その会社を調べていけば、今回の狙撃事件にたどり着くので
はと、白木大二郎は考えた。早速、白木大二郎は相竜会顧問の弁護士事務所
に連絡をとり調査を依頼した。
そのころ、警視庁の特別捜査班の明智壮一郎も今回の相竜会会長の狙撃事件
を踏まえて、一連の幹事長、警察官僚との銃殺を組み合わせてみた。
とかく黒い噂のある人物とやくざ組長の関係から、企業絡み、復讐ではない
かと、、、
明智壮一郎もこれらの関係の事件を考えてみた。それらの恨み事件で、人を
殺すような復讐劇を組み立て、考えたのではないかと調べてみた。

8.依頼者の反撃
復讐の代行を依頼したつくば市の桜井平左衛門も、ニュースなどから狙撃事
件や暴漢の流れを見て、復讐の代行が進んでいることを知り、行動を起した
以前から、訴訟を起こしている「株式会社つくは、代表取締役桜井翔」の談
合贈収賄事件の告訴を越したのであった。検察庁贈収賄事件、公正取引委員
会に、、、しかし、証拠不十分で棄却されたのであった。今回は関係者の暗
殺事件¥が起きて、それに伴った証拠を提示して、事件に絡んだ人物、幹事
長大畑丈太郎、警視庁副総裁田島省吾、観察庁刑事局長林正一、相竜会会長
久保一機と実名がはいり、ニュースでも報道されたので、うやむやには出来
なかった。
訴訟を起こしやことで、桜井平左衛門は覚悟を決めた。
当然、警察や相竜会から反撃があると、、、
桜井平左衛門はわが子とその家族、そして、会社を、その社員たちを陥れた
人物を組織を許すわけにはいかないと、、、、
桜井平左衛門の持つべきすべてを賭けて臨んでいた。
桜井平左衛門も元をたどれば「博徒つくば一家」の末裔であった。
先祖は筋の通った一家であったが、三代前から農業に家業を変えたのであり
その身内や家族は近在に散らばっていた。従って、桜井平左衛門の一声で、
気骨のある農業人が集まった。
相竜会の若頭白木大二郎は今回の企業トラブルの相手は「株式会社つくば」
と検討をつけて、その調査を顧問弁護士事務所に依頼して、その調査を受け
取った。調査内容をみて、、、
「そうか、、、あの時の談合贈収賄で潰した会社か」と頷いた。
それにしても、銃撃、狙撃と見事な暗殺復讐と感心しながら、実行した奴は
凄いと思った。うかつには行動、反撃は出来ないと思い、相手の反撃に備え
た。
相竜会の若頭白木大二郎はこれまで、幾度となく白刃の下を潜ってきた男で
あり、これだけの暗殺をする人間はよほど、訓練されたもので、まれに増し
た度胸と頭をもっているものであり、うかつに動けば返り討ちになってしま
う。よく調べて行動することに越したことは無いと、彼もまた、覚悟を新た
にした。
警視庁特別捜査班の明智壮一郎も今回の一連の事件の流れから、桜井平左衛
門の談合贈収賄の訴訟絡みと関係が有るとみて、
「これは厄介な事件になったな」と内心不安を抱いた。
そして、この復讐劇はかなり巧妙で、用意周到なものであり、相手は相当に
切れ者であるような、、、、
明智壮一郎警部も厄介であると、、、この手ごわい相手に立ち向かう覚悟を
決めた。

9.復讐の代行、、、仲介者
御影守とスクープ記者の徳山萌、そして、新宿警察生活安全課の安田敬一郎
警部補は居酒屋呑兵衛に集まっていた。
「だいぶ、復讐の代行は進んだみたいだな、、、、」
「警視庁特別捜査班も復讐劇とみて、その方向で動き出したよ」
「相竜会も復讐の相手、今回の狙撃相手に目星をつけたみたいだ」
「みんな、狙いを株式会社に的を絞ったみたいだな」
「虎の牙の狙い、目的はひとつなって、これからが本番だ」
どうなるか、見ものだが、こっちサイドにも火花は飛ぶと思うので、注意し
ていこうか、御影守たち三人も一段と気を引き締めていくことで再確認し
た。
株式会社つくばが談合贈収賄で告訴したのは一部上場企業の住善建設株式会
社であり、その事実が明らかに報道されてから、日本の建設業界が騒がしく
なってきた。談合に加わったであろう、または歪んだ関係が表沙汰になっ
て、銃撃事件や暴力沙汰になり、関係者四人も暗殺された。このことによ
り、法治国家の日本としては、警察、検察が正式に捜査して、法律の判断を
仰がなければならないことになった。
従って、関係各所はいい加減には、握り潰しが効かなくなっていた。
情報開示が義務となり、マスコミ等により、一般に広く知らしめることに
なった。
これだけ関係各所の重要人物、官僚担当や暴力組織のトップが暗殺されたの
で、国家や警察立法関係だけの事件解決の開示だけでは済まないような、一
般国民にも報じなけらばならない事態になった。
御影守たち三人は、復讐代行の事態が現在の日本で、建設業界で抜き差しな
らない状況に置かれたことのよって、依頼人桜井平左衛門の目的が70%達
成されたと思った。虎の牙の作戦は成功したと、、、、
最後の仕上げがどうなるか、虎の牙才覚がの楽しみになってきた。
警視庁特別捜査班の明智壮一郎は捜査班の人員をそれぞれに分けて捜査を開
始した。
「告訴を起こした桜井平左衛門宅は俺が行くから、大木と松山は茨城のつく
ばへ行くための準備をしておいてくれ。」
「住善建設への聞き取り、帳簿その他の関係書類の差し押さえ、没収は岡本
たち10人で行ってきてくれ。」
残りは引き続き関係者の捜査聞き取りをしっかりやるように。。。。
警察の捜査は着実に進みだした。
そして、明智壮一郎警部は相竜会への捜査は自分が行くことを告げた。
明智壮一郎警部は二人の部下を連れて、桜井平左衛門の門を潜った。
旧家らしく、立派な門構えであり玄関も広く、庭には錦鯉の泳ぐ池もあり、
手入れが行き届いていた。玄関先にたち、家人が出てくるのを待ちながら、
思ったことは家の構えから見て、人物も礼儀正しい威厳のあるものを想像し
た。
「どちら様かな、、、」静かな口調で対応してくれた。
明智壮一郎警部は事情を説明して、対応してくれた白髪の老人にその家の客
間に案内された。客間について始めて、桜井平左衛門と名乗り、事の仔細を
聞かされた。
明智壮一郎警部も事前に調査していて、桜井平左衛門という人物を理解はし
ていたので、簡単には話の内容を認めてもらおうとは思っていなかった。
これから時間をかけて攻めないと、今回の狙撃事件の絡みについて。。。
「やったとか、、、」とか、「やらせた。。。」とかの供述は取れないもの
と覚悟していた。
状況話や身の上話などから心の隙を見つけて、攻めないと、、、と。
本人にあってみてよく理解できた。
今回、訪問して桜井平左衛門の話を聞いて、話してみたが彼の話には一部の
乱れも隙も無かった。桜井平左衛門の聞き取り捜査は自分が来てよかったと
思った。
明智壮一郎警部は今回の訴訟人桜井平左衛門に会って、人柄を知り、生活環
境を見て、うかつに攻め込めないことを知った。桜井平左衛門の覚悟を知っ
たのであった。

10.相竜会若頭白木大二郎と警視庁特別捜査班明智壮一郎
相竜会若頭白木大二郎と警視庁特別捜査班の明智壮一郎は早稲田大学法学部
の同期であった。若頭白木大二郎の方が学生時代は学業成績が優れていて、
将来は裁判官か検事になる夢を着ていた。誰もがそうなると思っていた。
しかし、大学三年の終わりに暴力事件を起こしてしまった。
白木大二郎の父親が経営する建設会社が談合贈収賄事件に巻き込まれ、経営
する会社が倒産し、父親が金策に追い込まれ、最終的には自殺してしまっ
た。
父親が自殺した後は借金に取り立てられて家族まで追い込まれ、家族は崩壊
した。
その取り立てをした暴力団事務所に、気の短い、短気な彼は単身で乗り込
み、組員二人を刺殺し、数人に怪我を負わせた。
その結果、逮捕され、殺人障害罪で10年の懲役刑をうけたのであった。
その結果、彼の将来の人生計画は無くなってしまった。
その後の白木大二郎の人生は、会決惣一朗から消えてしまった。再会したと
きは白木大二郎は相竜会の若頭であった。
そんなこともあって、白木大二郎は裏社会の経済トラブルを嫌い、その当事
者を憎むほどであった。自分がかつては被害者であったにも関わらず、それ
らのドロドロした金の亡者を忌み嫌った。
経済やくざと言われながら、談合贈収賄絡みの人間を軽蔑視していた。そん
事もあって、談合贈収賄絡みのトラブルは何方かというと、彼は虫唾が走
り、喧嘩両成敗という諺通りに潰してしまいたいのであった。
やくざ組織も金がかかり、必要な事項案件となり、組織は逆らえなかった。
明智壮一郎警部は今回の銃撃狙撃事件に関しては、相竜会も絡んでいるの
で、一度は白木大二郎若頭と会わなければと思い、連絡を取った。
そして、明智壮一郎警部は大学時代に通っていた喫茶店で相竜会若頭白木大
二郎と会った。まだ、当時の喫茶店がそんままであったことに二人はびっく
りした。、、
「やあ、、、」どちらからともなく声を掛け合った。
そして、昔のままに営業していた喫茶店で話した。
「白木、お前が相竜会の若頭とはびっくりしたよ。」
「いやあ、、、明智お前の方が、、、まさか警視庁の警部さんになっている
とはな、、」と、二人の久しぶりの再会の挨拶だった。
刑事とやくざと道は違ったが、学生時代の親友同士、話が弾んだ。
しばらくは思いで話や懺悔話などだったが、明智警部が白木に切りだした。
「少し、仕事の話に戻るんだが、例の談合贈収賄の件で、、、偶然にもお前
の相竜会が絡んでいるみたいなので、、、わかっていることで、差し支えな
いことだけでも、話を聞かせてくれないかな、、、」
「ああ、、なんかうちの組織が絡んだ談合贈収賄事件と、倒産した会社が一
緒みたいだな、、世の中には偶然というものがあるんだな」
そこで、その談合贈収賄事件で、今回の訴訟を起こしている桜井平左衛門は
一度判決のでた事件では訴訟が出来ないので、金銭貸借の問題で訴訟を起こ
ているのだった。
そして、桜井平左衛門の恨み、憎しみは常人を逸していたことが、一度、彼
に会った明智壮一郎警部にはわかった。彼の行動には全く素都がなく、第三
の入り込む隙を感じなかったのであった。明智壮一郎警部は、今回の銃撃狙
撃には桜井平左衛門が何らかの関与があると、捜査に踏み切ったが何の手が
かりもとれずに真っ黒な壁に突き当たっていた。
警視庁特別捜査班としては、捜査が行き詰っていた。苦肉の策ではあるが、
明智壮一郎警部は相竜会若頭の白木大二郎に会って見ようと考えた。
事件は一緒で、相竜会会長久保一機も狙撃され死亡していたので、何らかの
手がかりが掴めないかと、、
「白木、、、警察がやくざに頼んだり、相談したりしては可笑しいけ
ど、、、どうだろう、お前の方で、桜井平左衛門にゆさぶりを賭けてみては
くれないかな、、、」
明智壮一郎警部はわずかな期待だけど、その結果、桜井平左衛門がどんな動
きをするか見たいのであった。何も起こらないかも知れないが、、何もしな
いよりはましだと明智壮一郎警部は考えた。
白木は明智の頼みを聞いてくれた。その代わり情報を流せと、、、
捜査取引の相談をして二人は別れた。

11.桜井平左衛門の攻防
御影守のなんでも屋室に警視庁特別捜査班の明智壮一郎が訪ねてきた。
前もって予約を取ってのことだが、、、、
御影守は桜井平左衛門のところに警視庁特別捜査班から捜査を受けたことを
知らされていたので、いずれは自分のところにも来るとは思っていた。
意外だったのは、相竜会若頭白木大二郎が桜井平左衛門宅を訪ねていたこと
だった。桜井平左衛門からは何方も、何事もなく、応対していたということ
とだった。
御影守はそれらの報告を聞いて、警視庁も相竜会も今回の事件で的を絞って
きたと感じた。よほど慎重に応対しなければと心構えをして、明智壮一郎に
会った。
「初めまして、警視庁特別捜査班の明智です。」と言って、警察手帳を見せ
た。「御影さん初めてではないんですよ、、、お忘れでしょうか、早稲田大
学の柔道部で一緒だったんですよ。」と、、言われてみれば、どこかに、覚
えがあった。御影守は遠い昔の事だったのですぐには思い出せなかった。
「そうでしたか、記憶が薄れていて、申し訳ありませんでした。そんなこと
があったんですか、、、奇遇ですね」と、、言いながら、、、
御影守も何でもや相談室の名刺を一応差し出した。
御影守の記憶が薄れていたが、そんなこともあったような気がした。
「御影さんは強かったんですよね、私なんか補欠ばかりでしたから、本とに
あの頃の御影さんは私たちの憧れの的でしたよ、、、懐かしいです、、本当
にご無沙汰しました。」
明智壮一郎からは懐かしさのあまり、笑みさえ零れた。
「今日はある捜査の件でお伺いしたのですが、、、ご存じかもしれません
が、桜井平左衛門絡みの事件の事なんです。」
と、、前置きがあって、今回の一連の政治家、警察、検察官狙撃と相竜会会
長の狙撃などについて、なんでもいいので、知っていたことがあったら、話
を聞かせて欲しいのですが、、、
と、、、「言いますのは、桜井平左衛門の依頼で、それらの人物について踏
査をしていたことは知っています、そこで、もしかして、、、何か知ってい
るのではと思いまして、、、」
「確かに、調査の依頼は受けました、、、、その報告はすべてすまして、報
告書は提出しています、内容はすべて身上調査です。世間の一般的なもの
で、調査書は桜井平左衛門に渡しています。」
「そうですか、、、何か気が付いたことはありませんか」
御影守はその答えには十分に気を払って、何かを疑っているような気がした
ので、、、静かに話をした。
御影守としては、復讐の代行を受けている手前、内心ではみすかされないよ
うにと、充分に過ぎるほどに気を使った。
内心では冷や汗をかいていた。
二人のやり取りは、約一時間ほど続いた。
明智壮一郎警部もそれ以上に、証拠もないので、突っ込んでの話は出来な
かった。
「そうですか、、、桜井平左衛門さんについてはあまり、知らないようです
ね、、、今後、何かありましたら、また、お邪魔します、、その時にはよろ
しくお願いします。今日は懐かしい話も聞かせて頂き、ありがとうございま
した。」そして、明智壮一郎警部は帰っていった。
御影守は久しぶりに会った明智壮一郎が学生時代の面影というか、おっとり
した印象はなくなり、精悍な敏腕刑事に見えた。
これからも、ゼネコンと言われる住善建設絡みで捜査は続くので、あの明智
壮一郎警部なら、しつこくやるだろうと、御影守は感じた。
これからは慎重に、気を抜かないで、事に当たらないと、と、、
しみじみ思った。
丁度,
明智壮一郎が帰った後にスクープ記者の徳山萌から連絡が入り、久しぶりに
居酒屋呑兵衛で落ち合うことにした。
御影守と徳山萌はこのところ、しばらく会っていなかった。
スクープ記者の徳山萌が今回の事件で忙しく動き回っていたためだ。
居酒屋呑兵衛で久しぶりに二人は酒を酌み交わした。もともと二人を結び付
けたのは酒が取り持つ縁だった。5,6年前だったか居酒屋呑兵衛で徳山萌が
一人で酒を煽り、泥酔してたことがあった。ひょんなことで御影守もその日
は一人で酒を飲んでいた。そんな時に泥酔した徳山萌が半分飲みながら話し
かけてきた。
御影守も暇がらみだったので、徳山萌の愚痴交じりの話を聞いていた。
どういう訳か二人は意気投合して、その晩は御影守の事務所兼住居に、泊ま
ることになった。人生愚痴を聞きながら夜明かしをしてしまった。
その間に徳山萌の生まれから、生い立ちまで、何度も聞かされたので御影守
の心に深く刻まれた。彼は仙台に住み、家族を持っていたが、勤務先の新聞
社で問題を起こして、家族が崩壊した。
問題とは徳山萌も新聞記者になりたては熱血漢で正義に燃えていたが、仙台
きっての談合贈収賄に巻き込まれ、勇み足をしてしまったのであった。その
責任を取らされ、やめる羽目になった。その時の理不尽な会社の対応に腹が
立ち退職した。その結果、家庭生活が上手くかみ合わなくなり、一人東京に
出て、フリーのスクープ記者をしているのであった。
御影守と居酒屋で知り合い、その後の麻雀仲間になり、良き相談相手にも
なった。
「ところで、今回の事件で警視庁特別捜査班も相竜会も桜井平左衛門に的を
絞ってるみたいで、、、心配なのが相竜会若頭の白木大二郎の動きなんだ
が、何か情報は入っていないかな」
「確かに人を介して、桜井平左衛門の動きを探ってるみたいだよ。、、動き
はまだないが、、、」
「そうか、警視庁といい、相竜会といい、不気味だな」
御影守は一度、桜井平左衛門に会って見ようと思うと、徳山萌に相談し、、
勿論、注意しての話だが。。。
何か第六感ではあるが、最近、御影守は桜井平左衛門が心配になってきたの
であった。
「兎に角、一度、会ってくるよ」と、言いながら、自分では会うことを決め
て徳山萌と会った翌日、御影守はつくば市八郷町に向かった。
寒い冬の朝だった。
桜井平左衛門にあったが元気に何事もなかったように武道の鍛錬をしてい
た。剣道八段とか、老人とは思えない身体をしていた。
「ご無沙汰いています。何事もお変わりはありませんか、、、警視庁や相竜
会の動きが雲行きが悪くなってきたようですが。」
桜井平左衛門は頷いて、心配しなくていいといいなげに。。少し影を落とし
たような仕草を見せた。
御影守は何かを感じたが、、、
「そうですか、、充分に気を付けてください」と、念を押したように話した
そして、、、
「どうか身体に気を付けて、お身を大切にしてください、、、私の鳥越苦労
だったようですね、、それでは、今朝はそれだけなので、これで失礼いたし
ます。」
御影守は桜井平左衛門の無事を確認してから、岐路に着いた。なんだかわか
らないが、胸騒がしく、心配になった。車の外気は冷たく、寒かった。

12.桜井平左衛門と住善建設株式会社の戦い
御影守が桜井平左衛門を訪ねてから、三日後に事態が動いた。
桜井平左衛門が住善建設を訪問したからだった。今回の金銭貸借に関わる訴
訟事件は、以前からの談合贈収賄との関係もあることから、それらの不起訴
に関しても桜井平左衛門は意義を申し立てたのであった。今回の裁判事項と
は法律的には関係がなかったのであるが、どうしても関係していると、出来
れば認めさせたかった。
所詮、会社相手の話、弁護士も立ち合いのなかなのであり、聞いてはもらえ
ないことは分かっていた。しかし、桜井平左衛門はとしては話しておきた
かった。
桜井平左衛門から、住善建設に会う機会を設けてもらいたいと、人情的に訴
えた結果、何とか住善建設に取次ができたのであった。但し、面会時間も
30分に限られた。
しかし、桜井平左衛門としては裁判も終わり、一応結果が出たので挨拶だけ
でもとのことだったので、充分に了解した。
住善建設の応接間に通された。桜井平左衛門一人だけが今回の挨拶だけとし
常務て応接室で一人、桜井平左衛門は待った。
住善建設の談合贈収賄事件の当時の社長であった熊倉純一郎、現在は取締役
会長と当時の経理部長だった大泉宏、現在は常務取締役が、それと顧問弁護
士の杉田三郎が入ってきた。顧問弁護士の杉田三郎が挨拶してから、熊倉純
一郎と大泉宏を紹介した。
「本来なら、法的には解決しており、弊社としては何の落ち度もなく、競争
経済時代の事なので、、、、」と、話を始めた。
「桜井さん、お二人とも忙しい方なので、面会時間が少なくてすいまん」
「いいえ、、、会ってもらえただけで十分ですよ、」と、桜井平左衛門は名
乗った。
「私が熊倉です。、、この度は息子さんの会社と問題が起こり、結果的には
このような仕儀になってしまい、大変申し訳ありませんでした。私の方にも
責任はありますので、今回は短い時間ですがお目にかかった次第です」と、
いとも簡単な挨拶があった。
桜井平左衛門ははもう少し責任を感じてもらいたいものと思った。
その時、桜井平左衛門は煮えくりかえり、今にも襲い掛かり殴り倒してしま
いそうになった。
そこは、そん後に演出している芝居で我慢した。
そして、当たり前の挨拶が大泉常務取締役からもあった。
桜井平左衛門はこれ以上の誠意は求められないことを察した。
初めから、住善建設関係からは、いい結果、いい答えが得られるとは思って
いなかった。
桜井平左衛門はこの日は最初から覚悟を決めていた、和服姿で初めから実行
しようと思って行動に打って出た。彼は用意していた拳銃を取り出し、憤り
をぶっつけように二人に銃弾を放った。
銃弾は連発して6発、二人に、熊倉純一郎会長、大泉常務取締役に面前だっ
たのですべて命中した。そして、もういl丁拳銃を取り出し、顧問弁護士を
襲った。
その間の時間は数分の事だった。
三人とも即死状態で、桜井平左衛門はその状況を確認した。
彼は全身に全面にいた三人の返り血を浴びて、まるで、虎が今殺した獲物を
食いちぎったかのような形相で、三人を睨めつけていた。
彼は一瞬であるが心の中で叫んだ「やったぞ、、、」と。叫びたかった。
桜井平左衛門が我に返った時には、応接室のドアが開いて、会社の人間が何
人か飛び込んできた。拳銃の音で、恐れながらも会社の人間が応接室の周り
を取り囲みながら、大騒ぎが始まった。
事務所の中で社員たちがおろおろしながら、とにかく、警察に連絡を入れろ
と。。。会社のトップが社内の応接室で銃殺されたのだから、社内はパニッ
ク状態になっていた。
連絡を受けた警察が来るまで、少々時間があった。その間に桜井平左衛門は
自分の拳銃で眉間を撃ち抜き、自殺を図った。
警察は連絡をとりあって、警視庁特別捜査班の明智壮一郎警部が部下を連れ
てやってきた。
惨状を見て、明智壮一郎警部は、、、唸った。
彼は今までの一連の銃殺、狙撃から見て、今回の桜井平左衛門の銃殺は今ま
でと違い、あまりにもお粗末な殺し方であると思った。今までの狙撃暗殺は
別人がしたことであり、犯人探しが困難なことであると頭を抱え込んでし
まった。
しかし、見事に桜井平左衛門は三人を撃ち殺したものだ。これで、今までの
一連の談合贈収賄事件の関係者が死亡し、暗礁に乗り上げた感があった。

13。喧嘩両成敗、、、死には死を。
桜井平左衛門の行動、死にはびっくりした。
世間の報道ニュースでは、各紙が大きい、小さいはあっても談合贈収賄事件
に絡んだ「仇討ち」まがいの報道が流れた。テレビでも同じように、朝から
にぎやかだった。
桜井平左衛門は今回の事件を起こす前に談合贈収賄事件を、事細かく、始末
書を書きあげ、大手新聞社各社、テレビ局各社、週刊誌に送っていたので
あった。その資料は事細かく報道はされなかったが、世間の人々には理解が
できたようだ。
「赤穂浪士」ではないが、大手会社の理不尽な弱小会社への対応の仕方、そ
して、都合が悪いと、大物政治家や関係各所の役付きを利用して、握り潰し
をする所業。まるっきり、欲に目がくらんだ、悪徳業者の横行が罷り通って
しまう。そして、弱小会社や弱いものが蹴落とさていく社会に、起きた「仇
討ち」そのものようだ。
御影守たちも、桜井平左衛門の住善建設への行動はテレビニュースで知っ
た。
「えらいことになったな、、、」と、御影守は内心思い、、、、
今回ばかりは、スクープ記者徳山萌と新宿警察生活安全課お安田敬一郎と連
絡を取り、会うことを約束した。居酒屋呑兵衛で、、、、
絶対と言っていい連絡のない「虎の牙」からも連絡が入った。
「影の総裁、、、報道で知ったけど、えらいことになったな、、、どうした
も御影守は「しばらく、、様子を見よう」ということで、虎の牙には静
観するように伝えた。
その晩、御影守、徳山萌、安田敬一郎は居酒屋呑兵衛であった。
桜井平左衛門が今回起こした銃殺事件は三人ともびっくりした
起こした上に本人まで。。自殺してしまい、復讐の代行は終わりのよう
な、、、、
しかし、これだけの談合贈収賄事件に絡んで、政治家や、警察・検察官僚が
やくざの相竜会会長までが銃殺され、最後には住善建設の会長、常務取締
役、そして、顧問弁護士までもが銃殺されたのだから、警察としては身を引
き分けにはいかないだろう。
関係者すべては死亡して、あえて言えば、御影守たちが生残っているわけで
あり、彼らが仲介者として関わった証拠はどこにもない。
今後、三人が口をつぐみ、秘密を決して第三者に漏らさなければ、わかない
ことであり、三人とも決して話すことは無いだろう。
その晩は久しぶりに飲み交わし、御影守の事務所に泊まった。
翌朝は空も晴れ渡り、、、朝焼けはコバルトブルーだった。
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