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悪名
悪名
しおりを挟む遊び好きな男の物語り。。博打好き、女好き、喧嘩好きな男の気ままな人生旅。。。
生まれは関東、筑波山の田舎育ち
桜川で産湯をつかり
筑波山ろくを駆け巡り
物足りずに山下り
(1)放蕩息子、、勘当となる
筑波山の麓、、冬になるとつくばおろしの寒い町、しかし、春にはつつじが満開に咲き誇る町、そして、筑波山の麓を流れる桜川が霞ケ浦に注ぎ込まれる田園風景の町。
そんな田舎町で江戸時代から商いをしていた「北条木材」は商人でありながら名字帯刀を許された豪商であった。
その北条木材の北条市左衛門は頭を抱えていた。北条材木は一代限りごとに跡取り息子は「市左衛門」を名乗ることと定められていた。
そんな由緒ある家の跡取りが、親の育て方が悪かったのか、手の付けられない「放蕩三昧」をしているのであった。
放蕩息子の名前は「北条太郎」と言う。
北条太郎が18歳を過ぎたころから、悪がきを発揮し始めた、、、地元の名門と言われた高校に入学はしたものの、喧嘩好きな暴れ者になっていたのであった。
入学当時は柔道部に入り、成績も良く、世間の評判も良かったが、柔道が強くなり、高校3年の時には黒帯、柔道3段にまで昇格していた。
そして、いつの間にか「番長」を気取って、
毎日のように、他の高校生と喧嘩をしていた上に、どこで道を踏み外したか、酒を飲み、たばこを吹かして土浦の町を流すようになっていた。
親の戒めも聞かずに、最終的は酒場で酒を飲み、それが発覚して「停学処分」を受けたのであった。それも無期停学処分を、、、
その時に親の北条市左衛門は、男だから喧嘩や酒、たばこは仕方がないかと、諦め心で許した。
そんな暴れん坊だった、太郎も大学はどうにか入学できたのであった。北条市左衛門は諦めて、ダメなら材木運びでもやらせようと考えていた。
しかし、当時は私立でも一流の早稲田大学に受かったので吃驚していた。
これで少しは前向きに進んでいくと思っていたが。。。
大学に入ってからはどうにもならない放蕩道楽な人間になった。。。
しかし、親馬鹿なものだった。。。北条市左衛門は見て見ぬ振りをしていた。
そして、卒業後は仕事もせずに、遊び歩いていた、まるで遊び人のような行動をとっていた太郎だった。
訪ねて来る友達も、人も遊び人風なような、、、
太郎には妹が一人いたので、市左衛門はそんな環境を心配していた。
息子太郎の生活が改まらずに、3年ほど続いていた。
昔から何事も「石の上にも3年」と言う様な諺もあるように、、、北条市左衛門は根の腐ってしまったようになっていく太郎に最後のつもりで、覚悟を決めていった。
「太郎、、、そろそろ仕事をしないと、お前を跡取りには出来からな、、、覚悟を決めて返事をしてくれよ、、」
父としては大分、柔らかく、優しく諭したつもりだった。
「別に俺を跡取りにしなくてもいいよ。。こんな放蕩息子だものな、、、おやじも愛想が尽きたようだから。。」
そんな会話を一人娘の「桜」は聞いていた。
(2)太郎は知っていた。
北条太郎が高校一年の夏休みに、父、市左衛門の弟が経営する木材伐採の会社で、山林の木々を伐採している現場でアルバイトをしている時だった。
北条家が代々、受け継いでいる杉山の伐採した木材を運搬していた現場で、太郎が社長の跡取りとは知らないで、休憩時間に噂話をしていた。
「今の跡取り息子は貰っ子だってな。。。」
「俺も聞いたことがあるよ、、前の戦争の時に、社長宅に親子で疎開して、そのまま母子ともに面倒見てもらったって話だよ。」
しかし、社長の市左衛門が、戦争が終わったころに嫁さんを貰い、今の跡取り息子の母親は家を出てったと、、、
その後、疎開した太郎は市左衛門の長男として育ったらしい。
その話を聞いた太郎は、目の前が真っ暗になったのであった。それから、太郎は変わっていった。
太郎はそれから、自分を生んでくれた母親の夢をみた。
高校生活を送りながら、学業に励み、柔道にも、そのことを忘れようと突進していった。
しかし、その後は父や育ててくれた母を見るたびに、心のどかで密かに抵抗心が生まれてきた。
良くして貰えれば、されるほど、自分は他人だから、遠慮されている。
その反面、妹の「桜」は実の子供だから、と言うだけで、、、太郎はどこかに嫉妬心が芽生えた来た。
何をするにしても、兄妹として育ってきたが、今までのようには接することが出来なくなっていった。太郎は愛情を込めて、育ててくれた両親には感謝をしていた。そして、妹は愛しく可愛かった。
しかし、山の中で知らされた真実が、太郎の心から離れなかった。
そのまま、高校時代はうやむやしながら、気が付けば不良と言うレッテルを張られていた。そして、なんとなくか、運よく大学にも進学が出来た。
太郎は大学在学中は、その時間を母親探しに没頭していた。
そして、つくばから疎開した後を太郎は追った。
時間はかかったが、母親の足跡を見つけ、太郎が20歳の時に突き止めた。
太郎はどうしても知りたかった、、、母親を、、、名前は「美佐子」と言う自分の母親を見つけた。
神奈川県川崎に住んでいたところまでは探し当てた、しかし、亡くなっていた。
太郎は母親「美佐子」の墓を探し、その小さな墓前に花を添えたのだった。その御墓からは寂しさを覚えた。
そして、生前の母親の生活を知りたくて、いろいろと調べた。
母親を知る人たちから聞いてた話では、苦労したようだった。太郎は顔も忘れた、逢いたかった母親を心から労り、涙した。
そして、その亭主が遊び人で、母親「美佐子」には優しかったが貧困な生活を送っていたらしいとも聞いた。
二人の間には一人の男の子供がいたのだった。
太郎は母親に逢えなかったことで、その男の子供を探した。名前は「次郎」と言う。
太郎は育ててくれた北条市左衛門のもとで、何ひとつ、不自由なく育ったことに感謝しながら、自分には弟がいたことを知り、人の生まれと言うか、環境に違って、人の幸せが違うことに心が痛んだ。
人は経済的に恵まれたことが、同じ人間でも違うんだということを知らされた。
母親「美佐子」」のもとで育った弟は、間違いなく経済的には不幸だったような。。。それは、母親の生活環境を知って、分かった事であった。
そして、母親には会えなかったが、弟「次郎」に会いたくなった。
太郎は勝手に思った。母親が「次郎」と名付けた理由が、、、きっと、母親「美佐子」も気にかけていてくれたことを、、、
本当に逢いたかった。
そんな思いで、残りの学生時代の時間を弟探しに当てた。
そして、太郎が大学4年の暮れに、弟「次郎」を見つけた。
(弟、次郎に会って)
太郎が大学の友達と暮れの新宿を歩いていた。友達も実家に帰るというので、忘年会をかねて集まった。
新宿の飲み屋街、にぎやかな街を太郎は少し気分を良くしていた、、、酒も入っていたので。
反ぐれ風の兄さんたちにすれ違った時だった、
「ちょっと、、待ていやーーー人の方にぶつかっておいて、だんまりかよ」と因縁をつけてきた。
太郎の友達は3人とも柔道の猛者ばかりで、酒も入っていたので、、喧嘩を買ってしまった。
相手は5人いたが、太郎たちの敵ではなかった。因縁をつけて来た相手は叩きのめされてしまった。
警察も来たので、反ぐれの連中は逃げるように消えてしまった。事情を説明して、警察は聞き取ってくれた。
そして、「気を付けてくださいよ、、、新宿はああいう反ぐれが多いから、、、関わらないように」」と、、、、
太郎いるが西武新宿線駅の方に歩いていると、喧嘩したばかりの反ぐれがやって来た。
そして、人数も増えていた。リーダーらしき一人が口を聞いた。
「先ほどはどうも、、、仲間を面倒見てくれたな、」と、、、言いながら絡んできた。
リーダーらしき男がナイフを持って斬りつけた来た、咄嗟の事なのでよけきれずに太郎が腕を刺された。
太郎も気が強かったので、払いのけて、その男を道路に叩きつけた。ほかの反ぐれはそれを見て逃げ出した。
リーダーらしき男は潔ぎよかった。
太郎たちに負けを認めて、酒でも飲もうかと言うことになった。
その男は次郎と名乗った。気持ちのさっぱりした反ぐれだった。なんとなく気が合い、酒を酌み交わしていく間に、太郎は身の上話を聞きだした。
その男は名前を「川崎次郎」」と言って、話を聞くうちに、母親の名前が一緒だった。「美佐子」と言い、その生い立ちや母親の過去が重なってきたのだった。
そして、太郎も名乗り、母親の名前が「美佐子」で、、、間違いなくその男、「次郎」は弟だと確信した。
その晩は次郎を含めて4人で飲み明かした。
そして、太郎は嬉しかった。会いたかった弟「次郎」を見つけたからだ。本当に心から嬉しかった。
(そして、決意した太郎だった)
太郎は母親の消息も分かり、すでに亡くなっていたことも知った。そして、母親「美佐子」の子供とも会うことが出来た。
弟、次郎とは会う約束をして別れた。そして、何度も会った。
太郎は大学を卒業して、実家に戻った。家業を継いで仕事をするでもなく、毎日を遊興三昧で過ごしていた。
太郎は家を出るつもりでいた。心に決めていたのである。
北条材木は妹の桜が継げばいい、、、いい伴侶を見つけて、市左衛門の実子が後を取ればいいと思っていた。
太郎には弟次郎が現れた、、、亡くなった母親「美佐子」の忘れ形見が出来たのであった。
どう見ても、出来そこないの半端者だ。
血の繋がった弟次郎を面倒見なくてはと思った。18歳の悪ガキが弟なのだ。
母親には何も出来ず、父市左衛門のもとで、何、不自由なく育った自分が、太郎としては許せなかった。
だから、母親に出来なかった親孝行なのかも知れない、真似事を、その分を弟次郎に情がけしたかったのかも。
しかし、父市左衛門には言えなかった。
しばらくの間、太郎はもやもやした気分で過ごしていた。
甘えかも知れない、、贅沢かも知れない。。父、市左衛門からの勘当を待っていたような。
そして、その日が来た。
太郎は家を出る前の日に、、、妹「桜」と話し合った。
妹「桜」は泣いた。
「お兄ちゃん、、その弟さんのことを、お父さんに話してみたら。。。きっと、分かる筈だよ」
しかし、太郎には話せなかった。
出ていった母親の事も。
一度は父のもとで生活をして、自分を育ててくれた父には話せなかった。
妹「桜」には理解して貰った。きっと、理解はしていなかった筈と思いながら、太郎は旅立つことを決めたのであった。
(旅たち、そして、逃亡者)
太郎は東京へ戻った。次郎と落ちあって、これからの事を相談するつもりだった。
太郎の部屋で次郎を待った。いろいろな夢を持って、兄弟二人で生きていこうと考えていた。
しかし、その晩、弟次郎は帰らなかった。
翌日、次郎たちが屯している、ゲームセンターを訪ね、
次郎の友達がいて、教えてくれた。
次郎が反ぐれをしている、上層団体のやくざ組織「新宿連合」に追われていることを知った。
次郎の反ぐれ仲間が覚せい剤を持ち逃げしたらしい、そのトラブルに巻き込まれていたのであった。
次郎の反ぐれ仲間がみんなで探していた、太郎も一緒に探したが、東京の何処にももいなかった。
次郎の友達が九州福岡なので、一緒に逃げたらしい。しかし、逃げられるものでは無い。
暴力団の追及はきつい筈だ、、、太郎は何とかしなくては考え、次郎の友達の実家を聞いて、
そして、太郎は福岡へ向かった。
福岡の友達の実家に二人で隠れてた。いずれは見つかるので、二人を連れ出した。
捕まれば殺されるまであるというので、兎に角、逃げることにした。
次郎と新しい旅たちが、、、逃亡の始まりとなってしい、おまけに次郎の反ぐれが一人増えてしまった。
その次郎の友達も19歳で、副島剛といった。
旅たちではなく、逃避行だ、一人増えても同じようなものだ。
三人の旅が始まった。
誰も知らない北海道へ、、、
悪名旅の始まりであった。
(追われる旅人、、、逃げられるか)
逃げて逃げて
守るは弟次郎
北の大地の果てまでも
太郎は弟たちを連れて北海道まで流れて来た。
太郎は大学時代の悪友、花房雄一を訪ね、彼の実家は日高で牧場を経営したいた。そして、彼は親の後を継いでいた。
競走馬の飼育牧場であったので、
とりあえず、事情を説明して、潜り込んだ。
牧場の下働きで、牧夫見習いとして、、、、
青空の下で、広々とした大地の匂いを嗅いで、三人は生き返ったようだった。
「雄一、、、面倒かけるな。よろしく頼む。。。しばらく、行く当てもないので、牧場仕事を覚えるよ」
「太郎、話は聞いてる、、、一緒に牧場経営をやろうや。
お前とは気心を知っているので、、、楽しみだよ」
「雄一、俺同様に弟たちもよろしくな。。」
北海道日高での最初の日は、雄一にご馳走になり、
太郎たちは花房牧場の社員になって働く事になった。
北海道に着いたのは10月であったが、肌寒さを感じた。
「次郎、、剛、、お前たちも男なのだから、ここで本腰を入れて頑張ろうや、、、」
「一人前になって、今までの人生を取り戻さないと。。」
太郎は、次郎も剛もこの日高で調教師の道を進んで、一人前の男にしてやろうと考えていた。
最初の夜は、二人に覚悟を決めさせた。
(3)馬と生きる道
太郎は思った。迷うな、、どんな道でも一流になれと。
弟次郎と剛に太郎の決意を語った。
人にはそれぞれの道があるように、偶然でも与えられた目の前の道、、、追われて、逃げて、たどり着いた運命の道だ、
偶然でもいい、、、突如現れた開けた道だ。
北海道の日高で、、、広々とした草原で開いた道だ。
これこそ、二人に与えられた天命かも知れない。
二人は励んだ、、、来る日も来る日も馬とともに。
そして、二人は見つけた。調教師と言う仕事に。
太郎も嬉しかった。
初めから定められていた天職のような仕事、、、そして、二人とも馬が好きだった。
太郎は悪友の花房雄一とともに牧場経営を一から学んだ。
そして、牧場にひと時の栄をもたらした。
しかし、人生とはなかなか上手くいかないものだ。
花房雄一の知らない人生の中に、落とし穴があったのだった。
父、花房寅吉が過去において、面倒を見ていた、牧場主仲間の花田構造と言う人物がいた。
その花田構造が多額の借金を背負っていたのであった、その男が社会悪の集団詐欺に騙され、、、そして、その詐欺内容に罠が仕掛けられていた。
花田構造が振り出した約束手形の裏書を、花房雄一の父がしていた。
期日は過ぎていたけれども、不渡り手形であり、商法的に責任が残っていたのである。
不渡り手形金額は「5億円」であった。
花房雄一には寝耳に水と言ったことであったが、花房雄一は亡くなった父より財産を相続しており、責任が残っていた。
その話を聞いて太郎は苦しんだ。
しかし、自分の出来る範囲で、力で能力で助けなくてはと思った。
太郎は助けられた恩義はあり、何とかしないと。。。
不渡り手形を返済しないと、法的な手続きを取られるのであった。
まずは裁判で告訴され、合法的な借金なので差し押さえをされる。
時間をかけて、罠を暴けば助かるが、父の花房寅雄も亡くなっており、不利であった。日本での裁判は時間が掛かる。
判決が出るまでは差し押さえが実行される。
不動産、特に牧場が差し抑えられる。
今、差し押さえれると困るのであった。次郎たちが調教している馬が有望なのだ。
不渡り事件は後から解決したとしても、まずは差し押さえ、牧場使用停止がされては困るのだった。
それだけは避けなければと、、、、
(太郎男をさげる、、、)
太郎は考えた。しかし、友達の花房雄一を助ける方法は一つしかなかった。太郎としては一番したくなかったことだった。いや、出来ないことだった。
それでもやらなければ、世話になった花房牧場は潰れてしまう。太郎は悩んだ末に、茨城県北条に向かっていた。
北条木材の会社の玄関に立った、太郎は入りずらかった。
先に気が付いてくれたのは妹の「桜」で、
「お兄ちゃん、どうしたの、、、暫くぶりだね、、、そんなところにいないで入りなさいよ、、、自分の家でしょう」
そう言って、妹の桜は手を引いてくれた。
そして、妹の桜が父市左衛門を呼んできてくれた。
「太郎、、、どうした、、入りなさい」
父は太郎の親不孝を咎めもせずに、心暖かく迎えてくれた。
「太郎、、、遠慮するなよ、、、お前の家だろう、、さあさあ、、上がって」
と、、父市左衛門も招いてくれた。
太郎はすまない、、、好き勝手ばかりして、、、と、心で詫びていた。
「おやじ殿、、ご無沙汰しています、、いろいろ、すいません」と,詫びながら部屋にあがった。
そこへ、義理の母親が出てきて、、「あら、太郎ちゃん、元気だった、、、さあ、、自分の家なんだから遠慮しないで、上がって、、、今夜はご馳走を作るからね」
と、優しく出迎えてくれた。
太郎は感謝した、、、なんて、優しい、、、、いい人ばかりなんだと、、、
その晩は親子水入らずの楽しい団欒を過ごした。
太郎は悩み事を頼みずらくなってしまっていた。その晩は何も言わずに、懐かしい部屋で寝た。
なんとも言えない、思い出が匂ってきた。
次の朝、父の市左衛門が太郎の部屋に入っ来た。以前にもなかったことなので、太郎もびっくりした。
「太郎、、、わしに用があって戻って来たんだろう、、、金か、、、いくら必要なんだと、、」
太郎の気持ちを知ってか、先に聞かれた。
「太郎、、遠慮しないで云ってみろ、、、わしに出来ることなら協力するから、、、いくらだ、、、」
ズバリ、父親から言われてしまった。
心からありがたいと思う、太郎だった。
話は早かった、、父親市左衛門は太郎が欲しい金額を出してくれた。
「理由は聞かない、、、お前の事だから心配はしていない。」と承諾をしてくれた。
「太郎、、、男の仕事をしろよ、、、」
そして、太郎は北海道に戻った。
(太郎、男になる)
太郎は北海道日高に戻った。
「雄一、金は用意できた、、、心配するなよ」
しかし、今回の約束手形裏書の件では、まともに支払えば「5億円」と、損害金の支払いになる。
裁判を起こして支払いを少しでも減らそうと努力していた。
太郎たちの大学の同級生の寺内浩二が東京四谷で弁護士事務所を開いているので相談をした。
民亊を得意としていたので、、、特に約束手形トラブルに関して、そして、今回の裏書保証に関して調べてもらった。
保証には商業保証と個人補償があり、今回の花房牧場に関しては商業保証の裏書だった。
本人同士は既に死亡しており、本人確認は執れない。
従って、記入されている事実に従って判断が下される。
今回の保証支払いは当然に起きて来るのであった。
しかし、花房雄一は花房牧場株式会社の相続継承はしていなかった。当時、会社経営が不況だったので、債務を引けられなかった。
それで、新規会社での登記をしたのであった、同じ名称で、、そして、事業を新規で始めたのである。
従って、外から見れば同じ会社と思われても中身形態は別であった。
そんなことで、財産相続した財産は無く、、、個人資産は消滅し、財産放棄をしていたのであった。
従って、裏書保証はしなくてよかったのである。
しかし、こまごまな問題は残った。今回の事で整理する意味で、友達の寺内弁護士に後始末を依頼した。
降って湧いたような手形問題も解決して、太郎たちは牧場経営に励んだ。
(太郎たちは北の新天地で励んだ)
北海道日高に戻った、北条太郎は弟たちと牧場経営に励んだ。大学時代の悪友の花房雄一から牧場経営を学び、弟たちには調教師の道を切り開いて行き、ともに共同経営に参加する覚悟で日々を過ごしていた。太郎にとっては充実した毎日だった。
北の新天地に夢を見つけ、己の道を進める気がしたのであった。
そんなある日、妹のさくらから連絡が入った。
「お兄ちゃん、、お父さんが交通事故で、大変なの、、直に帰って来て、、お願い、、」と云いながら電話口で泣いていたのである。
話を聞いたら、命に関わるほどの事故なので、、というのであった。
太郎は次郎たちに訳を話して、筑波に戻ることにした、札幌まで次郎が車で送ってくれた。
「兄貴、こっちは心配しないで、、言って来い」と、送り出してくれた。
その日の特急電車と新幹線を乗り継いで、筑波まで急ぎ戻った、太郎であった。
太郎は祈った、、「親父、死ぬなよ、、死なないでくれ、、」と、、念じながら筑波に気持ちだけは飛んでいた。
土浦からは北条材木店から車が迎えに来てくれたので、、兎に角、病院へ向かった。
病院はつくば市学園都市の総合病院だったので、土浦駅からは20分で着いた。途中の夜景は普段なら見る余裕もあったと思うが、今夜の太郎には何も見えなかった。真っ暗な闇ばかりだった。近い筈の病院が遠かったのであった。
連絡をしておいたので、病院の玄関まで、妹のさくらが迎えに出ていてくれた。目にはいっぱいの泪を、、拭くことも忘れて、、立っていた。
「お兄ちゃん、、、、」言葉にならず、泣き乍ら、太郎の胸に飛び込んで来た。
(太郎は予感を感じた)
「お兄ちゃん、、お父さんが、、お父さんが死んじゃいそうだよ、、助けて、、」と、、泣きじゃくて、涙が止まらなくなっていた。
「分かった、、とにかく、病室へ行こう、、」と、、妹,さくらを抱えながら歩いた。
病室には義母が付いていて、気丈に父を見守っていた。
太郎の顔を見るなり、、今まで気の張っていた義母も安心したのか、泣き崩れた。
「太郎ちゃん、、帰ってきてくれてありがとう、、今日明日が乗り越えられれば、、大丈夫だと先生は言ってくれているの、、」と云い、義母は震えながら、目には涙を貯めていた。
堪えるのがやっとのことだった。
「お母さん、、後は俺が見てるから、、少し休んでください、、」と、、言って、病室のソファに休ませた。
太郎は北条木材の専務取締役から、交通事故の詳しい話を聞かされた、、、専務取締役は北条木材の社長「市左衛門」の実弟であり、事故の現場にいたので、事情を理解出来ていた。
話によると、木材の切り出し現場で、市左衛門社長と打ち合わせをして、現場の作業車で帰る山道で事故が起きたというのであった。
現場に積んであった木材が崩れて、市左衛門の車に落ちて来て、車ごと崖下に転落したと云う、、
警察の現場検証では、縛っておいたワイヤーが切れての事故であった、、ワイヤーが錆びて、積んであった木材の重みで切れたのでは無いかということであったが、、北条専務の話では、そうではないと云うのであった。
誰かが故意に斬ったのではと、、云うのである。
その話を聞いた太郎は、市左衛門社長の快復を待って、調べようと思った。
今は市左衛門の無事を祈るだけだった。
(太郎、事故の話を聞いて、怒る、、)
市左衛門が奇跡的に助かり、太郎は心から嬉しかった。妹さくらも喜び、義母もみんなが心から市左衛門の快復を喜んだ。
目が覚めた市左衛門を家族みんなで祝福したのであった。
「親父、、良かった、、本当に良かった、、ゆっくり、休んで直して欲しい、、親父が休んでいる間は、俺が山を見るから、、安心してくれ、、、」と、、太郎は自然に山に戻ることを約束した、、、
それを聞いた市左衛門は、大きく頷いて、「ああ、、ゆっくり、休むよ、、」と、云いながら、目を閉じた。その目には薄っすらではあるが、光るものがあった。
市左衛門の様態が落ち着いてから、太郎は北条木材の山に入り、交通事故の現場に立った。
そして、太郎は北条専務から、再び、現場の説明を聞いたのであった。
現在、北条木材の山を含めた山林で、産業廃棄物処分場の建設計画があって、地元の「双葉建設興行(株)」が土地買収を進めているということであるが、、市左衛門の山林が一番面積が多く、一番反対していると云うので問題が起きていた。
市左衛門は「とんでもない、、誰がごみ山にするものか、、わしの目の黒いうちは、どんなことがあっても売る気はない、、そして、設置反対をするから、」と、正面切って啖呵を切っていた。更に、土地を手放そうとする地主から、市左衛門は山林を買収を始めたのであった。
市左衛門から言わせると「勝手に、人の山林で、ふざけた産業廃棄物処理施設の計画など相談も無く、やるな、、」と、、意気を巻いても居たのであった。
ましてや、、愚連隊上がりのやくざ同様な連中に好き勝手はさせないと思っていた。
従がって、「双葉建設興行(株)」からすれば、、市左衛門は目の上のタンコブだったのである。
「双葉建設興行(株)」はつくば市近郊の愚連隊の無法者の寄せ集めが、建設会社を作り、筑波学園都市建設の時代の波に乗って、急上昇した土建屋集団であった。しかし、時代の流れとは怖ろしいもので、規模も大きく成り、「資金力」を持つように成り、、地元の指定暴力団「秋葉会」の幹部との付き合いで、顔役に祀られて、肩を振って歩くようになった。
「金力」」に「暴力」を加て、地元の権力者になったつもりで、その行動範囲が横暴になってきたのであった。
何でも自分の思うままに出来るという「うぬぼれ」が沸き上がり、、今回の計画が起ったのである。
その計画に真っ向から反対した市左衛門が標的になったようだった。
そんな内容の話を聞いた太郎は、、考えた、、そして、「今に見てろよ、、思い知らせてやるからな、、」と、、報復を考えた。
(太郎は市左衛門の事故を調べた)
秋風が吹いて、肌寒さを感じる朝になっていた、、そんな朝に目覚めた太郎は、父、市左衛門の事故には疑問を覚え、事故当時の現場を調べることにした。そして、朝飯を食べて、病院の市左衛門を見舞い、、元気になって来た父を見て、ひと安心した太郎であった。
「お兄ちゃん、もう大丈夫だって、、先生が云っていたよ、、、でも、暫くは車椅子だって、、、」と、、付き添っている妹のさくらから云われ、、更に安心した。
そして、父、市左衛門が話して来たのだった。
「太郎、、お前の性格を知っているから、、言っておくが、、馬鹿なことは考えるなよ、、わしの事故の件は警察に任せてな、、分かったか、、」と、、釘を刺された。
「大丈夫だよ、、、馬鹿なことはしないから、、安二郎おじさんの言うことを聞いて、仕事を手伝うから心配しないでくれ、、」と、太郎は答えたが、腹の中では違うことを考えていた。
ふざけたことをした「双葉建設興行」を許すことなと、、、事故原因を調べて、必ず,故意に仕組んだ証拠を見つけてやると決めていたのであった。
父、市左衛門の元気な様子を見て、太郎はつくば山の伐採現場に向かった。
途中、北海道の次郎に連絡を取り、状況を聞いて、もうしばらく、筑波に居ることを告げた。
「兄貴、、心配しなくて大丈夫だよ、、花房社長も良くしてくれるし、相棒の剛も頑張っているから、、安心してくれ、、、」と、、元気に言ってくれたので、筑波の事故調査を擦ることにした。
太郎は北条木材の専務でもある、安二郎に事故調査の了解を貰い、仕事の合間に調査を始めた。
「安二郎おじさん、、調査をしていることは親父には内緒で、、、」と、、頼んだ。
「分かったけで、、相手はヤクザだからな、、無理するなよ、、いいな、、」と。。念を押された。
太郎は昔、遊んでいた頃の悪友、田畑剛志を土浦に訪ねた、、
「久し振りだな、、太郎、、元気でいたか、、家を飛び出したことは聞いているけど、、今は何してる、、」と、、聞かれたので、、
太郎は簡単に事情を話して、今は北海道で暮らしていることを告げて、父親が事故を起こしたので、筑波に一時、帰っていると、、
「そうか、、元気で良かった、、喧嘩相手、飲み友達が急にいなくなったので、少しだけ寂しかったぜ、、、ふふ、、あはは、、」と、、、云いながら、、
「丁度、昼時だから、、飯でも食いに行こう、、、」となり、、
田畑剛志は懐かしい「焼肉帆掛船」に、太郎を案内した。
「懐かしいだろう,,お前に惚れていた朱美は、いい女将になってるよ、、」と、、云いながら
暖簾を潜った。
「いらっしゃい、、」と、、威勢の良い、女性が出たきた、、、
「あれーあらーー太郎ちゃんじゃあないの、、、生きてたの、、死んだとか聞いたけど、、
元気でよかった、、、逢えて、嬉しい。。。剛志、連れて来てくれたの、、ありがとう、、」
と云いながら、一度調理室に入り、、注文を聞きに来た。
「太郎、、懐かしいだろう、、此処の肉は旨いからな、、食べようか、、」と、、
途中から朱美も加わって、楽しい懐かしい食事をした太郎だった。
話の中で分かったのだが、剛志は極道になっていた。それも、今回の太郎の調査相手の「秋葉会」の幹部になっていたので、太郎は聞きずらかった。
そんな話のなかで、、剛志は勘が鋭い方なので、、「太郎、、お前の親父の事故の件だろう、、俺に聞きたいことは、、中身は知っているよ、、俺も秋葉会の人間だから、言ってはいけないのだが、、太郎、お前との中だから、さわりだけは話してやるよ、、しかし、云えば俺もやばいからな、、、」と、、太郎の性格を知っている剛志だから、話してくれた。
その日は夜まで太郎は剛志に付き合ったのである。
(今のやくざは変わった)
久し振りにあった悪友「田畑剛志」も、やくざになっていたが大人になっていた。
太郎は剛志と酒を酌み交わしながら、昔話などを懐かしみなら時間の経つのも忘れて楽しく呑んだ、、、途中から幼馴染の朱美も入って、、
朱美が亭主を連れて来た、、、「ああ、、太郎、、朱美の亭主は俺の舎弟分で、堅気になって、今は二人で「焼肉帆影船」を継いでいるので、、宜しくな」と、、紹介してくれた。
「初めまして、、隆一と言います、、太郎さんの話は聞いていますので、、宜しくお願いします、、」と、、挨拶をして、一緒に飲み始めた。
「隆一、、本当に酷い奴なんだよ、、太郎は、、ある日、突然消えてしまってな、、俺との夢を壊した奴なんだから、、まったく、ふざけた野郎なんだから、、」と、、
剛志は酒の飲み過ぎか、愚痴を言い出した。
傍で聞いていた朱美までもが、、「そうだよ、、裏切って、消えてしまったんだからね、、剛志、、うんと、、言ってやれ、、阿保たれ、、」と、、二人で文句を云いだした。
「もう、、勘弁してくれ、、これからは今までの、借りは返すからな、、」と、、二人を宥めた。剛志も朱美も本気では怒ってはいなかった、、昔を懐かしむ気持から、少々、愚痴を云ったのであった。
太郎と剛志は仲の良い兄弟分であり、、将来は秋葉会を背負って,行こうとまで誓い、、会長からも期待されていた二人だったのであるが、、太郎が消えてからは、力抜けた剛志であったのであった。
「太郎、、やくざも変わったよ、、俺も今度は若頭になるけどな、、お前が居ない組には、今一なんだよな、、お前、、もう、戻る気はないよな、、分かっているから、、無理しなくて良い。。」と、、言ってくれた。
「剛志、、真っ当な商いの付き合いをしようや、、、俺も北海道で骨を埋める気でいたが、、事情が変わったので、筑波でも考えていることがある、、お前と一緒にやりたいのでな、、
これからのやくざは警察から追いかけられるようなことのない商いをしないと、、、」と、、話を勧めた。
しかし、その前に片付けないとならないことがあるので、、剛志に確認しておきたいことがあったと、、切り出した。
「剛志、、お前にはすまないが、、双葉建設興行にだけは、けじめをつけないとな、、親父があんなことになったので、、そのことで、お前に迷惑がかかるのでないかと、気になったのだが、、、」と、、尋ねた。
「いや、、気にしないで良いよ、、双葉建設興行は、秋葉会のつくば支部で面倒を見ているが、やくざ特有の資金源のひとつだから、、やばいと思えば、つくば支部も手を引くよ、、
ましてや、つくば支部の支部長は長谷川巧だから、、太郎が絡んでくれば、何も云わないから大丈夫だよ、、気の済むようにすれば良い、、、」
と、、教えてくれた。
考えて見れば、、双葉建設興行も哀れであった、、しかし、やくざとはそいうものだ。
現代やくざには「義理」だの「恩義」は無く、全て利害関係だけのようだった、
徳があれば利用して、不利益となれば切り捨てる世界のようなのは、昔も今も変わらない。
そんな汚れた、「義理も糞」も一緒な世界に嫌気が差している、剛志でもあった。
久し振りに剛志は太郎と楽しい夜を過ごした、、朱美や舎弟分の隆一とも、笑いの出る酒飲みであり、ほろ酔いで少々、錆びれた土浦の夜道を歩いた太郎も楽しかった。
(太郎は悪友、剛志と会って、、)
太郎は久し振りに剛志と会い、、幼馴染の朱美とも逢えて、心晴れやかになり、、筑波に戻った。帰りのタクシーの中で、土浦から筑波までの田園地帯が変わったことに目を見張りながら、、昔を懐かしんだ。
余りにも変貌した筑波、、特に学園都市はまるで小東京の様だった。
夜も遅かったので、父、市左衛門の入院している病院には寄らずに自宅に帰った、様態も落ち着いたので、安心していた太郎だった。
そして,剛志に土浦ヤクザの状況も聞いたので、明日は双葉建設興行へ乗り込む心積もりをしたのだった。
朝目が覚めた太郎は、義母の作ってくれた朝飯を食べながら、、
「お袋、、良かったな、、親父も元気になって、、俺も親父が許してくれたら、、親父を手伝うけど、、やらして貰えるかな、、」と、、話けたら、、、
「太郎ちゃん、、大丈夫だよ、、お父さんは初めから、その積りだから、、」と、、言ってくれた。
昔から親父よりは義母の方が話しやすかった、太郎であった。
朝食を済ませた太郎は、、「お袋,、行ってくるよ、、」と、、用意してくれた弁当を持って出かけた。
「ああ、、それから、、帰りは病院へ行ってくるから、、、親父に何か伝言はあるかな。。」と、、云いながら。
太郎は専務の安二郎おじさんに連絡をしてから、双葉建設興行へ向かった。
(太郎、双葉建設興行へ)
太郎の心は怒りで燃えていた、しかし、襲われた父親の仇討をすれば済むというだけでは、三流やくざのする事と思い、昔の悪友で有る剛志とも会い、情報を集めて、考えた上での訪問であった。
太郎は北条木材の人間としての面会を、双葉建設興行の千葉徹社長に申し込み,会うことになっていたので、約束の時間に会うことが出来た。
「初めまして、、北条です、、千葉社長には時間を執って頂き、ありがとうございます、、」と、挨拶をした。
「いえ、、そんなことはありません、、私も北条木材の若社長とは御会いしたかったので、、宜しくお願いします、、」と云うことで、話合いが始まった。
内容は北条木材所有の山林を含めた土地での、「産業廃棄物処理施設」での話し合いであり、、その事業計画を取りやめて欲しいことを太郎は申し込んだのであった。
しかし、双葉建設興行の千葉社長は、、「今更、止める訳にはいかないですよ、、資金も投入して、許可申請の根回しも終わっているので、、」と、、言葉を返して来た。
「本当にそうですか、、地上げも完了していないのに、その事業計画は出来るのですか。。」と、太郎は聞き返したのであった。
そして、「千葉社長、私たち北条木材が土地を売らないと云ったら、、出来ないでしょう」
と、、言うと、
「今更、何を云うですか、、仲介人の大和不動産(株)が話を決めているのに、、」
更に、言葉を足して来た。「若社長、今回の事業には秋葉会が後ろ建てなんですよ、、」と、、云いながら威圧を掛けたきた。
太郎は内心、面白く為って来たな、、と、思いながら、、話を聞いていた。
大和不動産は北条木材の縁石に当たるが、父、市左衛門からは相手にされてはいなかった上に、借財が増えて、会社そのものが火の車だったのであった。
「分かりました、、それでは大和不動産(株)と秋葉会の人と、一度会わせてください、、
話を聞いて、納得できることなら、再度、話合いをしませんか、、その段取りをお願いしたいのですが、、」と、、頼んで、、
土地買収の話は次回、日時を決めてすることになり、、、太郎は引き上げた。
双葉建設興行の千葉社長が後日、連絡することで、その日の話し合いは終わった。
(双葉建設興行、、慌てる)
双葉建設興行の千葉社長に、「秋葉会つくば支部の長谷川巧支部長」からの連絡であった。
「千葉社長、、あんた、攻める相手を間違ったな、、今回の北条木材に絡んだ事業計画からは秋葉会としては手を引くよ、、、一切、関りは無いと考えてくれ、、」と、通達をされた。
千葉社長とあしては、納得がいかなかったので、その訳を訪ねた。
すると、長谷川巧支部長からは「馬鹿野郎、、俺たちに話を持ってくる時には、よくよく、調査をして来いよ、、お前な、、とんでもない相手に喧嘩を仕掛けているんだからな、、
良く聞けよ、、北条太郎という人は、本来ならば、秋葉会四代目になる人で、俺たちの親分筋に当る、、だから、誰が何と云おうと出来ないのだ、、分かったか、、お前とは縁切りになるぞ、、今回の事はお前自身で、けじめをつけてな、、」と、、云われたのであった。
更に、大和不動産の大久保実社長は姿を晦まし、行方不明となったしまったいた。
そんなことで、双葉建設興行の千葉社長は、慌てた。
秋葉会から自分でけじめをつけろと云われても、どうしていいか分からなかった。
本音は逃げ出したい気持ちであり、、個人会社ではあったが、社内の幹部と相談したのであった。しかし、今までがワンマン経営であったために、誰も意見や考えなどは無かった。
北条太郎と会う日が迫った。
双葉建設興行の千葉社長は、北条木材を訪ね、、太郎に面会を求めて来た。
そして、、太郎と北条木材の事務所で会うことになったのである。
千葉社長はもともと、強いものには頭を下げ、弱者には威張る男だったので、北条木材の事務所に入り、太郎に会うなり、土下座をしたのであった。
北条木材の社員たちがびっくりした、、今までの双葉建設興行の千葉社長とは打って変わった姿に、、何が起きたかと思ったほどであった。
太郎が、、「千葉社長、、そんなことをしないで、、中へ入ってください。。」と、応接室に案内した。
「先日は失礼なことを云いまして、誠に申し訳ございません、、若社長、、何でもして、償いますので許してください、、」と、半べそをかきながら、頭を下げた。
「どうしたんですか、、、秋葉会の人や大和不動産の大久保社長は話が付きましたか、、」と、、云われて、、また又、土下座をしたのであった。
太郎は当然、結果は分かっていたので、驚きもしなかった。
同席した叔父の専務がビックリしたのである。
「若社長、、秋葉会の長谷川支部長から、話は聞きました、、そして、秋葉会は手を引くので、自分でけじめをつけて来いといわれましたが、、どうすれば、いいのか分かりません、、どうか、今回の件では何でも責任を取りますので、許して欲しいのです、、何でも、申し付けて下さい、、」と、、平身低頭、許しを願って来た。
「分かりました、、まずは手を挙げて、、座った下さい、、」と、、太郎は話を始め
(双葉建設興行の千葉社長,謝る)
今回の事業計画の件では申し訳なかったと、、千葉社長は謝りに来て、平身低頭、頭を下げた、、太郎が尋ねた、、、
北条木材の社長の木材落下事故については、どうなんですかと、、
その件に付いては知らないと言ったので、太郎は激怒した。
「千葉社長、、本当に知らないのですか、、私が調べた結果では,故意の事故だったのであったが、、本当に知らないと言い張るのですか、、、」
「はい、、天地天命に誓って、私はやっていませんよ、、」と、、云い張った。
「千葉社長、、言葉を変えて、、聞くけどな、、どうしても、シラを切るつもりかな、、俺の方では調べて、証拠も揃っているけど、、素直に謝る気はないようだな、、
」と、、云いながら、、
棚に飾ってあった「ライフル」を持ち出し、、行き成り、千葉社長の座っている椅子に銃弾を撃ち込んだ。
千葉社長は慌てたというより、、肝を抜かれて、座っている椅子が濡れて来た、、云わゆる漏らしたのであった。
傍にいた叔父の専務も驚いて、黙っていた。
「こら、、千葉、、てめえ、、いつまでもシラバクレテ居たら殺すぞ、、お前、、秋葉会から何を聞いているんだ、、ちゃんと言えよ、、」と、、云われて、初めて太郎の恐ろしさを知らされた。
「千葉、、本当のことをちゃんと話せ、、いいか、今度、嘘を云ったら、お前の心臓を撃ち抜くぞ、、二度は無いからな、、」
「お前のような外道は、どうにでも始末出来るから、、正直に話せよ、、いいな」
と、云われて、腰を抜かしたようであり、、震えながら話を始めた。
北条木材の社員たちも銃声の音でビックリして、静かにしていた。
千葉社長は「はい、、いいますから、、殺さないでください、、」と、、云いながら、
全て、自分がやりましたと白状したのだった。
「馬鹿野郎、、初めから云って,謝れよ、、あんたは男じゃないな、、秋葉会から見放された時に、覚悟を決めて、けじめを付けろよ、、、」
「千葉、、あんた、秋葉会からケジメは自分で付けろと云われていたろう、、」
そんなことで、双葉建設興行の千葉社長は改めて、腰を抜かしたままに、命乞いをしたのであった。
そして、、五郎から条件が出された。
まず、父の市左衛門に心から謝って貰うことを条件とした。
それから、、千葉社長に約束をさせたのである、、、やくざの真似事は辞めることと、、やくざ世界は甘くはなく、、利用出来なくなったら、蜥蜴の尾っぽ切りではないが、見捨てられることを教えた、、絶対に不要になった人間は助けないからと、、
今回の事では秋葉会から責任問題で普通なら責められる筈で有るが、、その件は話を付けるから心配するなと言い、、二度とやくざな振る舞いはしないと、、約束させた。
そして、建設業の専念することを誓わせたのであった。
これからは地域の為に貢献して、利益が出たなら、遊ぶ金があったら、弱者救済をすことにして欲しいと、、少しでもやくざ紛いな行動をしたら、、いつでも償って貰うから覚えておけよと云い伝えた。
(太郎、秋葉会の若頭となった田畑剛志と会う)
双葉建設興行のつば社長と話し合いが付いた後に、土浦へ出向いて剛志と会って、その結果を報告した。
「そうか、、太郎らしいな、、、許したか。良かったな、、筑波支部の長谷川巧には話してくよ、、今後、この件に付いては何もするなと、、」
「心配かけて,済まなかった、、、何の例も出来ず、申し訳ない、、いずれ、この借りは返すからな、、ありがとう、、」
と、太郎は剛志に礼を述べた。
「太郎、、寿司でも食べに行こうか、、」と云って,剛志が懐かしい「源兵衛寿司」に連れて行った行ったくれた。
懐かしい暖簾を潜ったら、、威勢の良い声が聞こえて来て、、「いらっしゃい、、あれ、、兄貴ですか、、珍しいですね、、」と云いながら、
太郎を見て、、「ええ、、筑波の兄貴ですか、、ご無沙汰しています、、どうしたんですか、、」と、、源兵衛寿司の源次は声を震わせて、懐かしんだ。
「さあ、、、どうぞ、」と、言って、余りの懐かしさにうっすらと光るものがあった。
「おう、、源次か、、本当に久し振りだな、、元気だったか、、」と、言葉を交わした。
そして、、奥の調理場に声を掛けて、、姉の幸子を呼んで来た。
出て来た幸子は言葉にならなかった、、余りの突然の事だったので、、、
やっと、声を出したような涙声で、挨拶をしたのだった。
「若頭、、人が悪いや、、黙って、筑波の兄貴を連れて来るなんて,狡いよ、、参ったな。。嬉しくて、嬉しくて、、、姉貴もあははっ、、泣いてるぜ、、」
と云いながら,再会を喜んだ姉弟であった。
源次は「兄貴たちに、今日は特別、旨い寿司を握るから、、今日入ったばかりの魚があるので、、楽しみしていてください、、」
と、、張り切って調理場に消えていった。
残った幸子は顔を赤らめて、、太郎に話しかけていた。
「太郎さん。。土浦から消えて、どうしていたんですか、、突然にいなくなったので心配していましたわ、、」と、、
「そうだよな、、こいつはいい加減だからな、、黙って消えた時には本当に、俺も面食らったからよ、、まったくふざけた野郎だからな、、幸子さん、、うんと言ってやれよ、、」と、、傍にいた剛志も口を挟んだ。
「太郎、、お前な、、幸子さんは今も、一人で源次と頑張っているんだからな、、少しは考えろよ、、」とも、、付け加えた。
そんな積話をしているところへ、源次が刺身の盛り合わせを持ってきて、、、
「さあ、、若頭も、筑波の兄貴も味見してください、、」と、、云いながら、その日は源兵衛寿司は貸し切りで、太郎の再会を祝ってくれたのであった。
「ありがとう,剛志、、」心から太郎は礼を述べて、その日は懐かしい、過去へ置き忘れた幸子たちと楽しいひと時を過ごした。
(太郎、一度、北海道へ、、)
太郎は父、市左衛門も元気に退院して、、双葉建設興行の件も一段楽したので、、次郎たちが心配になり、北海道日高を訪ねた。
札幌駅まで次郎と副島剛が迎えに来てくれていて、、「兄貴、、お帰り、、元気で何よりです、、」と。。。
「おお、、次郎たちも元気そうだな、、、良かった、、仕事は順調か、、覚えたか、、」と、云いながら日高へ向かった。
花房牧場では、、花房雄一が迎えてくれて、その日の夕食は楽しい宴になった。
「太郎、、問題は解決したのか、、、今度は本腰を入れて、牧場の仕事が出来るな、、」と、、喜んでくてたのだった。
「雄一、、その件で相談があるので、、明日、時間を空けてくれないか。。」と、太郎は話をして、、言葉を濁した。
次の日、次郎たちが調教で出掛けている間に、太郎は雄一に相談をしたのだった。
太郎はこれからの事業計画を事細かく説明をした、、、
「雄一、、俺はお前との約束通りに、牧場経営をする積りでいるが、、筑波の木材業務も見なくてはならなくなった、、」と、話をしてから、、
「ここからが相談なのだが、、」と、告げて、太郎の壮大な計画を説明したのだった。
「何、、太郎、、牧場経営を辞めるのか、、」と、、云って来た。
「最後まで、話を聞いてから、雄一、お前の考えを聞かせてくれ、、」と、云って、太郎は雄一の言葉を遮った。
そして、太郎はつくばに「調教施設」を造り、北海道日高で競争場をある時期まで育てて、競馬場施設に近い、筑波で調教をしたいと、、更に、交通状況の悪い東京ではなく、自然豊かな筑波での「場外馬券売り場」を創りたい計画を話して、、日高の牧場経営と全てを総合的に、一緒にやりたい計画を説明したのだった。
そして、土地は広大な広さで確保出来るので、付帯施設を作って行きたいことも話した。将来はレジャーランドも併設することも、、また、馬たちの頻尿処理から、ガス再生を取り入れた「温泉施設」まで、、考えていることを、太郎は雄一に力説したのだった。
話を聞いた雄一は唸った。。「そうか、、そこまで、考えているのか、、太郎は凄いな。。」と、、云いながら、、最終的には賛成してくれた。
「勿論、検討することはいろいろある、、それを、雄一、お前と相談していきたい、、、だから、、時間はかかるが、筑波に来て、、予定現場を見ながら、、一緒に考えてくれ、、」との、、相談であった。
そして、二人の壮大な事業計画は始まった。
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