転生したらしい・・・

誕生

　唐突に暗闇が消え、光が見えた。

　どこだ、ここは・・・？
　周りを見ようにも目が上手く開かない。それどころか音すら上手く聞こえない。
　”怖い・・・”
　その思いに達した途端自分が泣くのが分かった。
　どういうことだ？自分が自分で律せない。高校生にもなって泣いているのが制御出来ない。これではまるで子供だ。
　子供？
　そうだ、この状態はまさに子供と同じ状態だ。俺は子供に成ってしまったのか？そういえば友人の一人がそんな小説があるって言ってたな。詳しい話はわからないが、まさかそういう小説の世界に来てしまったのか・・・？
　待て・・・。誰がそういう話をしていたって・・・？誰だ・・・？
　思い出せない！
　もし、ここが小説の世界だとしてもあの光が見えたのは覚えてる。
　だけど家族のことや俺のいた世界のことを覚えていないのはおかしい！！
　他に何を覚えている？
　・・・ダメだ！クラスメイトとの思い出とここにくるすぐ前の出来事の記憶しか思い出せない。自分の名前すら思い出せない！！
　なぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜ？？？？

　落ち着け。とにかく今の状態をしっかり確認した方がいい。
　今考えている間誰が持ち上げて俺を揺らしていた。つまり今の俺は誰だかわからないが人が持ち上げられる重さだということだ。更に今の状態が子供であると言う事が真実味を帯びてきた

　だんだん慣れてきたな。音もだいぶ聞こえてくるようになってきたし、目もそろそろ開けれそうだ。ここはいっそのこと目を開けて周りを確認してみる方がいいかもしれないな。

　そうして見た最初の光景は俺の手で、以前の俺ではあり得ないふっくらとしたてをしていた。
　今の俺の姿は赤ちゃんだった。