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第3幕・Empowerment(エンパワーメント)の章〜⑩〜
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この日の試合が終わったあとのヒーローインタビューで、逆転の2ランホームランと追加点のタイムリーを放った大山悠輔は、
「スタンドまでヨコ(横田さん)が運んでくれたんじゃないかな、と思います」
と語り、スタンドを大いに沸かせた。
Twitterから『X』へと名称が変更になったばかりのソーシャルメディアでも、「#横田慎太郎」がトレンドワード入りして、
「今日は特別な日。大山くんがヘルメット掲げたのはほんま涙」
「マジで涙が止まらん 横田くん…」
「横田見てくれてたよな?」
「泣いた 大山、天を仰いでた 横田に届け、届け」
などのポスト(サービスの名称変更に伴い、呼び慣れたツイートという表現は消滅した)が見られる。
当然のことだが、横田さんへの想いに胸が熱くなっているは、僕だけではないようだ。
そんな熱に煽られるように、スポーツ新聞のネット配信記事や球団の公式動画を夜遅くまで閲覧する。
最初に目を通したのは、試合当日の早朝に更新されていた横田さんと同期入団の岩貞祐太のインタビュー記事。
(「」内の言葉は、スポーツニッポン社の下記の記事より引用)
https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2023/07/25/kiji/20230725s00001173054000c.html
「半旗を掲げて、喪章をつけてプレーするんですよね。プレーはもちろんですが、ヨコのためにも(これからの試合は)自分たちが気持ちを示していかないといけない。ここ数日間はそんなことをずっと考えていました」
「亡くなったという記事を見てずっと涙が止まらなかった。身近な人が亡くなってこれだけこたえるのも、あまり経験がないです」
7回から登板した岩貞が、試合前から特別な想いで臨んでいたことが伝わってくる。
彼が、忘れられない試合として挙げたのが、2016年4月16日(土)のナゴヤドームのドラゴンズ戦だった。
1番 遊撃 鳥谷
2番 二塁 西岡
3番 右翼 江越
4番 一塁 ゴメス
5番 三塁 ヘイグ
6番 中堅 横田
7番 左翼 陽川
8番 捕手 梅野
9番 投手 岩貞
6番打者から9番打者までは、2013年のドラフトで指名された同期の選手たちだ。
「あの試合、6番の横田から9番の僕まで下位打線がみんな同期だったんですよね。ヨコが元気だったら今、何番打ってるのかなとか考えたり…」
岩貞は、今シーズンのチームを支える岩崎、梅野とともに、1軍ではチーム最年長となった同期3人だから背負えるもの、体現できるものがあると考えているようだ。
「僕らは10年目としてやっていて、1軍でも最年長。1人で背負えるほどヨコの気持ちは軽いものでもないですし、3人で3等分して背負っていく」
「今まで以上にユニホームを着てプレーできる時間を濃いものにしていかないといけない」
この日の追悼試合は、そんな決意を秘める同期入団の三選手が、気持ちを新たにして臨んだ試合だったことが伝わってくる。
試合後に公開されたチーム公式動画には、ヒーローインタビューを受けた、大山・岩貞・岩崎と同期入団の梅野が、横田さんの遺影と一緒に写真撮影を行い、ベンチ裏で梅野と岩貞が、横田さんへの想いを語る姿が収められていた。
(「」内の言葉は、YouTube阪神タイガース公式チャンネルより引用)
https://www.youtube.com/watch?v=PW9PUc9xhAU
「ブルペンで(肩を)作っているときは、ビハインドだったんですけど、大山が2ランを打ってくれて、いい展開にしてくれるなと思いながら……」
「悲しむだけ悲しんだんで、あとは一緒に戦おうという気持ちでいけたと思います」
と、岩貞は語っている。
すぐに、様々なメディアで報じられたが、この試合のウイニングボールは、横田さんのご家族のもとに届けられたそうだ。
配信された記事や動画からは、チームメイトや球団の横田さんに対する想いが感じられ、スマホの画面を見ながら、目頭が熱くなるのを抑えられない。
そんな自分の想いは、横田さんが遺した著作『奇跡のバックホーム』を読んだ時と、まったく変わらないということに気づく。
人生を賭けたプロ野球選手として活躍するという夢を断たれながらも病気と戦い、講演や病院への訪問で、生きることの尊さを伝えようとしていた懸命な姿と、誰からも愛される純朴で生真面目な横田さんの人柄は、ただの一ファンでしかない僕のような人間にも、強く訴えてくるものがあると感じた。
横田さん本人や彼を見送った周囲の人たちのことを思うと、自分は、なんて小さなことで悩んでいるんだ――――――と、感じざるを得ない。
先月末から、一月近くも、ウジウジと思い悩んでいる自分にも、いい加減、ケリをつけるときだろう。
それでも――――――。
情けない話だけど、自分ひとりでは、どうすれば、奈緒美さんとの関係を進展させることが出来るのか、一向に良いアイデアが出てこない。
そこで、僕は、学生時代の友人たちに連絡を取ることにした。
「スタンドまでヨコ(横田さん)が運んでくれたんじゃないかな、と思います」
と語り、スタンドを大いに沸かせた。
Twitterから『X』へと名称が変更になったばかりのソーシャルメディアでも、「#横田慎太郎」がトレンドワード入りして、
「今日は特別な日。大山くんがヘルメット掲げたのはほんま涙」
「マジで涙が止まらん 横田くん…」
「横田見てくれてたよな?」
「泣いた 大山、天を仰いでた 横田に届け、届け」
などのポスト(サービスの名称変更に伴い、呼び慣れたツイートという表現は消滅した)が見られる。
当然のことだが、横田さんへの想いに胸が熱くなっているは、僕だけではないようだ。
そんな熱に煽られるように、スポーツ新聞のネット配信記事や球団の公式動画を夜遅くまで閲覧する。
最初に目を通したのは、試合当日の早朝に更新されていた横田さんと同期入団の岩貞祐太のインタビュー記事。
(「」内の言葉は、スポーツニッポン社の下記の記事より引用)
https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2023/07/25/kiji/20230725s00001173054000c.html
「半旗を掲げて、喪章をつけてプレーするんですよね。プレーはもちろんですが、ヨコのためにも(これからの試合は)自分たちが気持ちを示していかないといけない。ここ数日間はそんなことをずっと考えていました」
「亡くなったという記事を見てずっと涙が止まらなかった。身近な人が亡くなってこれだけこたえるのも、あまり経験がないです」
7回から登板した岩貞が、試合前から特別な想いで臨んでいたことが伝わってくる。
彼が、忘れられない試合として挙げたのが、2016年4月16日(土)のナゴヤドームのドラゴンズ戦だった。
1番 遊撃 鳥谷
2番 二塁 西岡
3番 右翼 江越
4番 一塁 ゴメス
5番 三塁 ヘイグ
6番 中堅 横田
7番 左翼 陽川
8番 捕手 梅野
9番 投手 岩貞
6番打者から9番打者までは、2013年のドラフトで指名された同期の選手たちだ。
「あの試合、6番の横田から9番の僕まで下位打線がみんな同期だったんですよね。ヨコが元気だったら今、何番打ってるのかなとか考えたり…」
岩貞は、今シーズンのチームを支える岩崎、梅野とともに、1軍ではチーム最年長となった同期3人だから背負えるもの、体現できるものがあると考えているようだ。
「僕らは10年目としてやっていて、1軍でも最年長。1人で背負えるほどヨコの気持ちは軽いものでもないですし、3人で3等分して背負っていく」
「今まで以上にユニホームを着てプレーできる時間を濃いものにしていかないといけない」
この日の追悼試合は、そんな決意を秘める同期入団の三選手が、気持ちを新たにして臨んだ試合だったことが伝わってくる。
試合後に公開されたチーム公式動画には、ヒーローインタビューを受けた、大山・岩貞・岩崎と同期入団の梅野が、横田さんの遺影と一緒に写真撮影を行い、ベンチ裏で梅野と岩貞が、横田さんへの想いを語る姿が収められていた。
(「」内の言葉は、YouTube阪神タイガース公式チャンネルより引用)
https://www.youtube.com/watch?v=PW9PUc9xhAU
「ブルペンで(肩を)作っているときは、ビハインドだったんですけど、大山が2ランを打ってくれて、いい展開にしてくれるなと思いながら……」
「悲しむだけ悲しんだんで、あとは一緒に戦おうという気持ちでいけたと思います」
と、岩貞は語っている。
すぐに、様々なメディアで報じられたが、この試合のウイニングボールは、横田さんのご家族のもとに届けられたそうだ。
配信された記事や動画からは、チームメイトや球団の横田さんに対する想いが感じられ、スマホの画面を見ながら、目頭が熱くなるのを抑えられない。
そんな自分の想いは、横田さんが遺した著作『奇跡のバックホーム』を読んだ時と、まったく変わらないということに気づく。
人生を賭けたプロ野球選手として活躍するという夢を断たれながらも病気と戦い、講演や病院への訪問で、生きることの尊さを伝えようとしていた懸命な姿と、誰からも愛される純朴で生真面目な横田さんの人柄は、ただの一ファンでしかない僕のような人間にも、強く訴えてくるものがあると感じた。
横田さん本人や彼を見送った周囲の人たちのことを思うと、自分は、なんて小さなことで悩んでいるんだ――――――と、感じざるを得ない。
先月末から、一月近くも、ウジウジと思い悩んでいる自分にも、いい加減、ケリをつけるときだろう。
それでも――――――。
情けない話だけど、自分ひとりでは、どうすれば、奈緒美さんとの関係を進展させることが出来るのか、一向に良いアイデアが出てこない。
そこで、僕は、学生時代の友人たちに連絡を取ることにした。
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