66 / 114
第10章~Smels Like Teen Spilit~⑦
しおりを挟む
秋の終わりからは、一気に季節が進み、『シネマハウスにようこそ』の活動や二学期の中間試験と期末試験などの日程が、瞬く間に過ぎて行った。
十月末の夜の出来事以降、自分自身と、それ以上に亜莉寿の進路のことが頭から離れなかった秀明は、ただ過ぎていく日々に身を任せるのみで、年末が迫っている実感のないまま、二学期の終業式の日を迎えていた。
大講堂での全校集会を終えた生徒は、各々のクラスに戻り、各クラスでのホームルームに備えて待機する。
その待ち時間の間、教室内は、冬休みとクリスマス前の高揚感からか、いつも以上の喧騒に包まれていた。
秀明は、梅原が登校時にコンビニで購入してきたスポーツ新聞を中心にして、クラス内で、すっかり定着した名称・ボンクラーズの面々とともに、週末に行われる中央競馬の総決算・有馬記念の検討会を開催中である。
第四十回有馬記念 一九九五年十二月二十四日
中山競馬場 芝二五〇〇メートル
一枠一番 サクラチトセオー
二枠二番 タイキブリザード
三枠三番 ゴーゴーゼット
四枠四番 ロイスアンドロイス
五枠五番 ナイスネイチャ
五枠六番 ジェニュイン
六枠七番 ヒシアマゾン
六枠八番 ナリタブライアン
七枠九番 イブキタモンヤグラ
七枠十番 マヤノトップガン
八枠十一番 アイルトンシンボリ
八枠十二番 アイリッシュダンス
♤「梅ちゃん、資料提供ありがとう!今年も、一番楽しみな季節がやってきたな!」
◆「どういたしまして!やっぱり、有馬記念は、みんなで検討会しないとな」
♧「しかし、今年は難解やな~。一番人気は、やっぱりヒシアマゾンか?」
◇「ナリタブライアンとヒシアマゾンくらいしか名前を知らん自分には、サッパリわからへんわ」
♤「まあ、伊藤の知ってる、その二頭が人気の中心になるのは間違いないと思うけど、今年は四歳馬も古馬も戦績がパッとしないというか……」
◆「ヒシアマゾンも、押し出された一番人気って感じやしな~」
♧「ホンマ、去年はナリタブライアンから、どの馬に流すかだけ考えれば良かったのに……」
◇「去年は、ブライアンとヒシアマゾンで決まったんやろ?今年も、その二頭ってことはないん?」
♤「個人的には、ブライアンの復活に期待したいけど……。どうやろ、梅ちゃん?」
◆「いや、あの馬は、もう終わってるやろ。秋天十二着、ジャパンカップ六着でも二番人気とか有り得へんわ~。結局、ブライアンって、早熟やったんちゃう?」
♧「かと言って、ヒシアマゾンが勝ちきるかというと疑問やなぁ。あと、有馬記念は、連覇自体が少ないしな」
♤「ブライアンの血統的に早熟ってことはないと思うけど……。有馬連覇は、十年前のシンボリルドルフ以来、達成ナシか……。今のブライアンにルドルフの強さを求めるのは酷やなぁ」
◇「ヒシアマゾンは、牝馬やのに、名前が可愛くないのが、気にいらへんのやけど、それはオレだけ?」
♧「名前としては、男勝りで相応しいんちゃう(笑)?」
♤「やっぱり、ヒシアマゾンの前走ジャパンカップ二着は評価すべきかな?でも、ジャパンカップと有馬記念を連続して好走するのって、相当チカラが抜けてないと難しいよな?」
♧「それも、ルドルフ以来、例が無いんちゃう?」
♤「八十八年のオグリキャップとタマモクロス以来かな?どちらにしても、前例は少ないな」
◆「う~ん、やっぱり、今年は全くワカラン!」
♧「じゃあ、今年の世相から占って見るか?スポーツ界の話題と言えば、野茂のメジャーリーグでの活躍とオリックスの優勝やけど……」
♤「野茂の背番号は、十六!パ・リーグのMVPは、イチロー!馬連一・六の一点勝負!」
◆「サクラチトセオーとジェニュインか~。秋天の一・二着馬やし、有り得るかも?でも、二頭とも距離にカベがある気がするな~」
♧「ブライアンが伸びず、アマゾンの末脚が不発に終わって、ジェニュインが粘れる展開の中、チトセオーだけ追い込んで来るとか、ちょっと、都合が良すぎちゃうか?」
♤「もう、こうなったら、馬名から考えよう!今年の有馬記念は、クリスマス・イブ開催やし、イブ来たモン櫓=イブキタモンヤグラで、どうでしょう?」
♧◆◇「「「大喜利予想か!?」」」
♤「いや、皐月賞の時は、梅ちゃんも推してたやん、イブキタモンヤグラ」
などと、クリスマス前の季節になっても、春先から全く進歩のない会話を続けていると、秀明たちの周りに、柑橘系とローズの交じった甘い香りが漂った。
十月末の夜の出来事以降、自分自身と、それ以上に亜莉寿の進路のことが頭から離れなかった秀明は、ただ過ぎていく日々に身を任せるのみで、年末が迫っている実感のないまま、二学期の終業式の日を迎えていた。
大講堂での全校集会を終えた生徒は、各々のクラスに戻り、各クラスでのホームルームに備えて待機する。
その待ち時間の間、教室内は、冬休みとクリスマス前の高揚感からか、いつも以上の喧騒に包まれていた。
秀明は、梅原が登校時にコンビニで購入してきたスポーツ新聞を中心にして、クラス内で、すっかり定着した名称・ボンクラーズの面々とともに、週末に行われる中央競馬の総決算・有馬記念の検討会を開催中である。
第四十回有馬記念 一九九五年十二月二十四日
中山競馬場 芝二五〇〇メートル
一枠一番 サクラチトセオー
二枠二番 タイキブリザード
三枠三番 ゴーゴーゼット
四枠四番 ロイスアンドロイス
五枠五番 ナイスネイチャ
五枠六番 ジェニュイン
六枠七番 ヒシアマゾン
六枠八番 ナリタブライアン
七枠九番 イブキタモンヤグラ
七枠十番 マヤノトップガン
八枠十一番 アイルトンシンボリ
八枠十二番 アイリッシュダンス
♤「梅ちゃん、資料提供ありがとう!今年も、一番楽しみな季節がやってきたな!」
◆「どういたしまして!やっぱり、有馬記念は、みんなで検討会しないとな」
♧「しかし、今年は難解やな~。一番人気は、やっぱりヒシアマゾンか?」
◇「ナリタブライアンとヒシアマゾンくらいしか名前を知らん自分には、サッパリわからへんわ」
♤「まあ、伊藤の知ってる、その二頭が人気の中心になるのは間違いないと思うけど、今年は四歳馬も古馬も戦績がパッとしないというか……」
◆「ヒシアマゾンも、押し出された一番人気って感じやしな~」
♧「ホンマ、去年はナリタブライアンから、どの馬に流すかだけ考えれば良かったのに……」
◇「去年は、ブライアンとヒシアマゾンで決まったんやろ?今年も、その二頭ってことはないん?」
♤「個人的には、ブライアンの復活に期待したいけど……。どうやろ、梅ちゃん?」
◆「いや、あの馬は、もう終わってるやろ。秋天十二着、ジャパンカップ六着でも二番人気とか有り得へんわ~。結局、ブライアンって、早熟やったんちゃう?」
♧「かと言って、ヒシアマゾンが勝ちきるかというと疑問やなぁ。あと、有馬記念は、連覇自体が少ないしな」
♤「ブライアンの血統的に早熟ってことはないと思うけど……。有馬連覇は、十年前のシンボリルドルフ以来、達成ナシか……。今のブライアンにルドルフの強さを求めるのは酷やなぁ」
◇「ヒシアマゾンは、牝馬やのに、名前が可愛くないのが、気にいらへんのやけど、それはオレだけ?」
♧「名前としては、男勝りで相応しいんちゃう(笑)?」
♤「やっぱり、ヒシアマゾンの前走ジャパンカップ二着は評価すべきかな?でも、ジャパンカップと有馬記念を連続して好走するのって、相当チカラが抜けてないと難しいよな?」
♧「それも、ルドルフ以来、例が無いんちゃう?」
♤「八十八年のオグリキャップとタマモクロス以来かな?どちらにしても、前例は少ないな」
◆「う~ん、やっぱり、今年は全くワカラン!」
♧「じゃあ、今年の世相から占って見るか?スポーツ界の話題と言えば、野茂のメジャーリーグでの活躍とオリックスの優勝やけど……」
♤「野茂の背番号は、十六!パ・リーグのMVPは、イチロー!馬連一・六の一点勝負!」
◆「サクラチトセオーとジェニュインか~。秋天の一・二着馬やし、有り得るかも?でも、二頭とも距離にカベがある気がするな~」
♧「ブライアンが伸びず、アマゾンの末脚が不発に終わって、ジェニュインが粘れる展開の中、チトセオーだけ追い込んで来るとか、ちょっと、都合が良すぎちゃうか?」
♤「もう、こうなったら、馬名から考えよう!今年の有馬記念は、クリスマス・イブ開催やし、イブ来たモン櫓=イブキタモンヤグラで、どうでしょう?」
♧◆◇「「「大喜利予想か!?」」」
♤「いや、皐月賞の時は、梅ちゃんも推してたやん、イブキタモンヤグラ」
などと、クリスマス前の季節になっても、春先から全く進歩のない会話を続けていると、秀明たちの周りに、柑橘系とローズの交じった甘い香りが漂った。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
【R15】【第一作目完結】最強の妹・樹里の愛が僕に凄すぎる件
木村 サイダー
青春
中学時代のいじめをきっかけに非モテ・ボッチを決め込むようになった高校2年生・御堂雅樹。素人ながら地域や雑誌などを賑わすほどの美しさとスタイルを持ち、成績も優秀で運動神経も発達し、中でもケンカは負け知らずでめっぽう強く学内で男女問わずのモテモテの高校1年生の妹、御堂樹里。親元から離れ二人で学園の近くで同居・・・・というか樹里が雅樹をナチュラル召使的に扱っていたのだが、雅樹に好きな人が現れてから、樹里の心境に変化が起きて行く。雅樹の恋模様は?樹里とは本当に兄妹なのか?美しく解き放たれて、自由になれるというのは本当に良いことだけなのだろうか?
■場所 関西のとある地方都市
■登場人物
●御堂雅樹
本作の主人公。身長約百七十六センチと高めの細マッチョ。ボサボサ頭の目隠れ男子。趣味は釣りとエロゲー。スポーツは特にしないが妹と筋トレには励んでいる。
●御堂樹里
本作のヒロイン。身長百七十センチにIカップのバストを持ち、腹筋はエイトパックに分かれる絶世の美少女。芸能界からのスカウト多数。天性の格闘センスと身体能力でケンカ最強。強烈な人間不信&兄妹コンプレックス。素直ではなく、兄の前で自分はモテまくりアピールをしまくったり、わざと夜に出かけてヤキモチを焼かせている。今回新たな癖に目覚める。
●田中真理
雅樹の同級生で同じ特進科のクラス。肌質や髪の毛の性質のせいで不細工扱い。『オッペケペーズ』と呼ばれてスクールカースト最下層の女子三人組の一人。持っている素質は美人であると雅樹が見抜く。あまり思慮深くなく、先の先を読まないで行動してしまうところがある。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました
フルーツパフェ
大衆娯楽
とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。
曰く、全校生徒はパンツを履くこと。
生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?
史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる