息子が悪役令嬢だった件

帰ってこない悪役令嬢 １7

　
　興味本位に聞いてみる。

「もし仮にアルカナと戦ったら極楽鳥は強いの？それとも、アルカナの方が強いの？」

　イザベラが言ってたけど、確かこの世界の大魔法使いってすごい存在じゃなかったっけ？？？

「確かに俺は強い、だが残念なことに今は敵わない」

　ん？今はって言ったね？じゃあ、アルカナにいつか勝てる日が来るのかな？

「でも、大魔法使いでしょ？極楽鳥が勝っちゃったらまずいんじゃないかな・・・」

　大魔法使いも、極楽鳥も強すぎてそのうち国を滅ぼしたりして・・・

　極楽鳥は私の心を読んでいるわけだから、少し冗談で心の中で思ったこともわかっていると思うけど、このことについてはなぜか反応がなかった。

　でも反応がないのがちょっと怖く感じたので、慌てて話題をかえてみた。

「ねえ、アルカナの娘ってことは、レオンにとっては母方の祖父なんだね」

「そうだな」

「それならば騎士団長の方、つまり父方の祖父、祖母もどこかにいるのかな？」

　その人たちも一癖あったりして・・・

「ああ、一応いるな。騎士団長だった祖父は魔物にやられたって聞いたな、騎士団長として王宮勤めで国王と王妃の警護に当たってたらしいからな」

　また先に読まれた、でも、祖父も騎士団長だったんだ。

「それに、レオンの父方の祖母は騎士団長と結婚してから息子、つまりアルフォンスを産んでからすぐに不倫して、どこかの国の騎士と駆け落ちしたらしいが・・・」

「えっ？」

　不倫して駆け落ちって？？？またドラマチックな展開だな・・・それってまだ無事に生活できているのかな？

「ああ、運が良ければ生きているかもな。政略結婚で深窓の令嬢だったらしいし、そんなに大胆なことをするなんて当時は大騒ぎになったらしいけどな」

「そうなんだ・・・」

　けど頭の中では、深窓の令嬢が不倫して駆け落ちするかなあ？？？と思ってしまう。

　むしろものすごくアクティブじゃない？うーん、情報が過多過ぎて混乱してきたけど、整理するとレオンの家系って母方の祖父母は華麗なる魔法一家と思いきや大魔法使いなのに指名手配されてたり、父方の祖父母は騎士団長の祖父と不倫して駆け落ちした深窓の令嬢だった祖母がいたって、なんだかレオンって物凄く大変な家に生まれたんだね。

　それに今では騎士団長の自分の父親も、他人の精神が入ってるし・・・本当に申し訳ない気持ちになる。

「ところでレオンの母親って何が原因で亡くなられたの？」

　体が弱かったって聞いたことがあったような、なかったような・・・でも、それならば魔法で簡単に身体治せるんじゃないかな？