息子が悪役令嬢だった件

帰ってこない悪役令嬢 ５

「まあ、アルフォンスは分かりやすいからね、私も、騎士団長がおかしいのは、すぐにわかったよ。何なら本人が言ってたし・・・でもイザベラは知らなかった・・・」

　アリスは少し、ショックを受けたようだった。

　まあ、イザベラったら、自分の貞操の危機となればさすがに身近で守ってくれそうなリンには話さないといけなかったんだろうな。

　アリスは女の子だから、話すの遠慮したんだと思う。

「そっちより俺がびっくりしたのは、エリザベスのことがイザベラが前いた世界では自分の母親だったっていってたし、騎士団長は父親だって言ってた」

　びっくりしたっていうのは、多分、リンはきっと私達が親らしくないって思ったのかな？　確かに私達家族は、親子逆転しているようなところがあるからなあ。

「うん、私達家族全員がなぜかこの世界に来たんだよ、でも身体は前と違って、この世界の住人の中に入ってそれも人によっては、選べたり、選べなかったりしたけどね、因みに亮も私の息子だよ」

「えっ、そうだったんだ・・・」

　しきりにアリスがびっくりしているけど、リンは動じなかった。

　私としても、一応、確認をしとこうかな。

「アリスとリンはこの世界の住人なんだよね？」

「そうだよ、もちろんレオンもだ」

　リンが答える。

「そっか・・・私達がいた世界？からきている人もいるって、イザベラが前にちらって言ってたから、ちょっと気になっていた」

　するとリンが少し考えて、

「言われてみれば、この世界とは違う価値観を持っていると言えば、サファイア王国の王妃だな、サファイヤ王国は王妃をもらってから政治が激変したっていうので有名だったからな」

　へえ、サファイヤ王国って獣人族じゃなかったっけ？王妃は違うのかな？

「そうなんだ、だからイザベラはサファイア王国に亡命しようかと思ったのかしら？？？」

　つい、ぽろっと言ってしまった。

「亡命？」

　リンが訝しげに聞いたので、

「うん、アルに聞いたんだけれど・・・知らないの？」

　失敗した。

　アルが知っているぐらいだから、隠したりしているわけじゃあないと思っていたけど、レオンに言ってないってことは当然リンにも言ってなかったのか・・・

「えっ？それってまさか、イザベラやっぱり、本気でこのまま帰ってこないんじゃ・・・だから、レオンがあんな顔をしたのかしら？」

　アリスが言ったので、慌てて、

「まさか、みんなで亡命しようとしてるって言ってたから私としては、隣の国にみんなで引っ越し？みたいに考えているんだと思ってた・・・」

　リンは呆れた顔で、亡命じゃなくて、引っ越し・・・と呟く。