息子が悪役令嬢だった件

週末デート いちゃいちゃ成分 かなり多め １７

　その途端、カードの箱の表紙の絵柄が変わった。

「えっ？」

　子供の落書きのような絵から、一目でわかるぐらい芸術性の高い美しい表紙になっている。

　こんな絵なら私も芸術性を感じる。

　そして、ひらがなの字がカタカナに変わっていて、読む順番も変わってた。

　アルカナ

　ん？アルカナってどこかで聞いたことがあるような・・・でも、カードの絵柄が変わったりするのって、さすが、魔法の国っぽいなと思いきや、アリスと先生が呆然としてこっちを見ている。

「やられた」

　先生が呟いて、カードに何か呪文をかけている。

　そしてアリスに、

「魔法協会に戻る、念のためエリザベスに結界をかけておく」

　先生はそう言って目の前で消えた。

　突然の出来事に私は、おろおろしてしまった。

「ごっごめんなさい、勝手にカード触ったりして・・・」

　またやらかしたのかと思って、消え入るような声で言ったけれど、アリスが、首をすくめて、

「エリザベスのせいじゃないよ、先生も焼きがまわったね・・まあ、私もだけど・・・」

　余裕がある風に見えるけど、珍しく、アリスも焦っているみたい、テーブルの周りを落ち着かない様子でうろうろしてる。

　すると、背後から、

「仕方がないだろ、厄介なことに、あいつの方が魔力が半端なく上なんだから・・・」

「うわっ、先生もう帰ってきたの？」

　私はびっくりする。

　だって、ほんの数秒いなかっただけだよ

「とりあえず、エリザベスに判断してもらいたいものだけ、持ってきた」

「判断って？」

　テーブルに、大量の怪しい雑貨が並ぶ。

「これらの中に、もしかするとさっきのカードと同じく悪意の種と呼ばれるものがあってね」

「悪意の種って？？？」

　なんですかそれ？？？初耳ですが。

「アルカナが、ばら撒いたと言って、私達が回収しているものだ」

「ばらまいたって、何の為に？」

「さあ、理由は分からないが、悪意の種は一つずつ封印していかないといけないから大変だし、封印できる魔法使いはたった三人しかいないから」

　三人しかいないってことは、もしかしてだけど、そうなんだろうな。でも、その種って育ったらどうなる訳？

　悪意の種っていうぐらいだから碌なもんじゃないとは思うけど・・・

「悪意の種が育つと、後々、国を揺るがしかねない事態になるんだよ。例えばの話だが、戦いの種が育ったとしたら？やがて実にになったらどうなるか？」

「戦いの種はやがて戦争に発展するし、実がなるということは、各地で戦争が起きることになる」

　アリスが、説明してくれた。

　先生はため息をつきつつ、

「大魔法使いアルカナは、色んな種をまいて遊んでるのさ」

　大魔法使いって？？？遊んでるって・・・どういう事なの？

「だから天才って結局のところ天災なんだよね」

　アリスが、ポツンと言った。