息子が悪役令嬢だった件

恋についての相談 １

　イザベラの衝撃の話を受けて、暫く悶々と過ごしてきたけど、やっぱり誰かに相談したいという気持ちがむくむくと湧いてきた。

　やみちゃんには、夕食時にいつも会ってるので、夕食を食べたあとのデザートタイムでこっそり聞いてみた。

　食事の後のデザートは重いって言って、イザベラ達は食べないので、毎回やみちゃんと二人きりだった。

　とりあえず質問をぶつけてみると、イザベラのいうとおり一蹴された。

「あり得ないね」

　やみちゃんは、もぐもぐさせながら呆れたようなポーズをした。

　今日のやみちゃんは人間バージョンだ。

　ちなみに今日のデザートはレモンケーキだった。

　黄色の色が綺麗にでていて、まわりにチョコレートのクッキーが花弁のように飾られている。

　向日葵の形のホールケーキだ。

　今日のデザート、凝ってるなあ・・・と思ってたら今日はリンが作ったと言ってた。

　ミントの効いた紅茶と一緒にいただく。

「でも、かなり様子が変だよ」

「イザベラが変なのはいつものことだし、そもそも、エリザベスが変なのもいつものことだけど」

　失礼な・・・

「とにかく不可能だね」

　ちょっと不機嫌のまま、そう言い残して、デザート食べ終わったやみちゃんは、猫やみになってどこかに行ってしまった。

　なるほど・・・これじゃあ、イザベラも聞かれないと話さないって言った理由が解ったわ。

　やみちゃんに否定されるとやっぱり信憑性が薄まるから。　

　そういえば、バタバタしてて忘れてたのだが、今週の週末の休みを使って、婚約者のところに行く申請が取れたと学園の事務から言われた。

　婚約者だとお泊りもオッケーが出るので、学園に入ってすぐに申請したんだった。

　正直言って、そろそろアルといちゃいちゃしたいって思ったのも否定はしないけど、もう一つは、あの理想の部屋でゆっくりしたいなぁと思っていた。

　学園に入ってから、アルとはなかなか会えてなかった。

　アルは時々、学園に来てイザベラ達のところに行って、仕事のデザインの打ち合わせしているらしい。

　お互いに忙しいのと、なかなかタイミングが難しかったみたいだ。

　オランが言ってたけど今、工房がものすごく忙しいみたいで、デザインを受け取ったら直ぐに工房に行ってるみたい。

　なので、学園で会うのは難しそうだったから、週末の休みは楽しみにしてた。

　ところが、珍しいことに、学園の廊下でアルに遭遇したので、ビックリした。

「もうすぐ、うちに来れるんだろ？」

　アルが輝くような笑顔で話しかけてきた。

「うん、週末の休み、お泊りするよ」

　久しぶりのアルに、結構ドキドキする。

「週末はずっと一緒だな、絶対お前を離さないからな」

　真顔で言われて

「うん」

　私は、赤くなりながら返事をしたけれど、赤くなった私を見て、ニヤニヤしてる。

　こういう時のアルは本当に、少年みたいだ。