息子が悪役令嬢だった件

再び学園へ １０

　
　でも、イザベラの言ったことに、カチンとした私は思わず、

「ちょっと、やっぱりって、なんなの？そもそも、はじめから、マリーちゃんのこと、怪しいってわかってたんでしょ？ちゃんと教えてくれたっていいのに・・・」

　どうせ、マリーちゃんを、オランと一緒に、あらかじめ鑑定したに違いない。

「私、エリザベスになってから、いろいろ気をつけてたよ・・・でも、トラブルが向こうからくる場合は、どうしたらいいのよ？」

「それな」

　イザベラは、ちょっと意外そうな顔して、

「それにしても、王子がきたのか、おかしいな。それなら、どうしようもないな・・・」

　あっ、でも、そういえば・・・

「正確には、王子に生徒会室に呼び出されたのよ。しかも、王子の取り巻きにトイレで捕まって・・・王子も、取り巻きたちの様子も、かなり変だったけれど。でも、どうせイザベラは王子ルートが嫌だから、マリーちゃんに押し付けようとしているんでしょ」

「まあ、正直言って、確かに押し付けたいけどな・・・ところで、トイレって、いつ行った？」

「あっ・・・そうだ、ごめん・・・」

　そういえば、トイレは断って行けって言われてたっけ。

　もしかしたら、こうなることを予想してたってこと？

　でも、やっぱり、トイレに行ってくるって、いちいち、言いにくいよ！

「まあ、もう、いいけど。とりあえず、図書館は安全だから、ほとぼりがさめるまで、一緒にいればいい。」

　というと、また、本に目を通し始める。

「図書館が安心ってどういうこと？」

　イザベラは、本から、目を離さないまま、

「ああ、あいつら、図書館に入ってこれないから」

　と、平然な顔をして言う。

「ええっ！何で？図書館って誰でもはいれるんじゃないの？」

　私は、めちゃめちゃ、焦った。

　だって、

「ねえ、イザベラまずいよ、私、マリーちゃんに嘘、言っちゃったよ。」

「ああ、それなら大丈夫。嘘じゃないから。確かに、図書館は誰でも、入れるよ。ただ、正確には、図書館のこの場所は魔力が相当強いやつじゃないと、入ってこれない」

「へえ、そうなんだ・・・って、どういうこと？」