俺が悪役令嬢だった件

その46

　
　それに、意外にも、番つがいが結婚の決め手になることが多いらしい。

　たとえ、ハーフでも、番の意識は、やはり多少影響するらしく、伴侶を、一途に愛し抜くらしい。

　本物のエリザベスも、ものすごく愛されて、嫁ぐらしいし、浮気の心配は全くないので、両親は安心して、むしろ、喜んで嫁に行かせたらしい。

　純粋の獣人族は、番の嫁を見つけたら、一生、囲って家から出さないとか、言われてるが、最近では、そんなこともなく、そもそも純粋な獣人達がずいぶん減ったらしい。

　賢王も、王妃を囲っていると噂になってた時があったが、最近では、二人でサファイヤ王国のいろんなお店を回って立ち食いをしてるのを普通に目撃されているらしい。

　王と王妃が立ち食いって・・・本当に自由だな。

　本物のエリザベスは、まあ、囲われないとはいえ、サファイア王国で若夫婦二人で、自宅兼お店を出すので、ラブ度は高いと思う。

　俺にはわかっている・・・要は、働いているときでも、片時も離れたくないってことだろ。

　建物自体はすでに建っているらしく、俺は、ちゃっかり仕事として、お店の内装の依頼も受けたので、オランには悪いが、大忙しになる予定だ。

　ただし、とても良心的に、身分を売ってくれたお礼もかねて、ものすごく格安にした。

　オランの工房にもすでに、新規の飲食のお店に必要な家具をオーダーで注文しているし、亮の実家にも、目玉になるような新作デザートの注文も終えている。

　お店は、旦那さんになる人の趣味の多国籍の料理の店にするとのことだった。

　趣味と言っても、謙遜しただけで、かなり本格的らしい。

　スパイスや、調味料にも、かなりこだわるつもりらしいが、材料も珍しいものを、扱うらしくて、一応、材料も仕入れることができるかと、リストを渡されたが、俺にとっては、見たことも、聞いたことのないような、不思議なものばかりだった。

　もしかしたら、新しい商売につながりそうだなと思っているのだが、リストの内容を吟味して、危ないものでなければ、それらも、亮と極楽鳥に頼むことになっている。

　あいつらは、喜んで材料を探しに行くに違いない。

　最近も、俺が知らないと思っているのか、二人そろって、どこかに冒険に行ってやがる。

　でも、それをレオンに指摘されるまで、わからなかったのは、秘密にしておこう。