4 / 23
やまないで、
しおりを挟む
激しい雨がもう何時間も続いている。天気予報ではあと数日は雨が降り続けるらしい。というのに、天音といったら雨が止むまでここにいると言って聞かなかった。一体いつまでその遊びを続けるつもりだろう。昨日の夜から、もう丸一日経ってしまった。
「天音、明日も明後日も雨だって」
天気予報を表示した携帯電話の画面を見せてやると、天音は特に興味もなさそうにふーんと答えた。明日の朝はやく天音はこの家を出て仕事に行く。そして夜もまだ雨が降っていたら帰ってくるのだろうか。それともここには来ないのだろうか。
「もう寝ていい?」
天音は眠そうに言ってベッドに潜り込む。雨のせいで少し肌寒い。ベッドはゆとりがあるとはいえ二人寝ることは想定されていないサイズだ。ぎゅうぎゅうとくっついてもやはり狭い。地場も意見することを諦めて隣に入った。電気を消せば暗い部屋にひたひたと雨音が聞こえている。部屋の空気は湿っていて少し冷たい。
「雨やまないね」
地場が呟く。雷の音が遠く鳴っていた。天音の呼吸に合わせて背がゆったりと動いている。屋根を叩く雨音を聞きながら目を閉じた。
「…………やんでほしいの?」
十分な沈黙をもって天音が問う。そんな質問は卑怯だ。ここにいて欲しいかいて欲しくないか、選べと言っているようなものだ。やんでほしいと言えば天音は明日もうここに帰ってこないのだろうか。
「……明日雨だって言ったじゃん」
咎めるような口調で言い、地場は布団を引っ張り上げた。取られそうになって天音は慌てて端を掴む。地場、と呼び掛けられても知らないふりをしていれば天音は笑って背を向けた。
「はいはい、おやすみ」
そう言った声は少し優しい。雨音が弱まり始めていた。携帯電話の天気予報はなぜだか外れることが多い。それでも地場が望めば明日は雨が降るのだ。青空の下でも、二人の間でだけは。
「天音、明日も明後日も雨だって」
天気予報を表示した携帯電話の画面を見せてやると、天音は特に興味もなさそうにふーんと答えた。明日の朝はやく天音はこの家を出て仕事に行く。そして夜もまだ雨が降っていたら帰ってくるのだろうか。それともここには来ないのだろうか。
「もう寝ていい?」
天音は眠そうに言ってベッドに潜り込む。雨のせいで少し肌寒い。ベッドはゆとりがあるとはいえ二人寝ることは想定されていないサイズだ。ぎゅうぎゅうとくっついてもやはり狭い。地場も意見することを諦めて隣に入った。電気を消せば暗い部屋にひたひたと雨音が聞こえている。部屋の空気は湿っていて少し冷たい。
「雨やまないね」
地場が呟く。雷の音が遠く鳴っていた。天音の呼吸に合わせて背がゆったりと動いている。屋根を叩く雨音を聞きながら目を閉じた。
「…………やんでほしいの?」
十分な沈黙をもって天音が問う。そんな質問は卑怯だ。ここにいて欲しいかいて欲しくないか、選べと言っているようなものだ。やんでほしいと言えば天音は明日もうここに帰ってこないのだろうか。
「……明日雨だって言ったじゃん」
咎めるような口調で言い、地場は布団を引っ張り上げた。取られそうになって天音は慌てて端を掴む。地場、と呼び掛けられても知らないふりをしていれば天音は笑って背を向けた。
「はいはい、おやすみ」
そう言った声は少し優しい。雨音が弱まり始めていた。携帯電話の天気予報はなぜだか外れることが多い。それでも地場が望めば明日は雨が降るのだ。青空の下でも、二人の間でだけは。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
肌が白くて女の子みたいに綺麗な先輩。本当におしっこするのか気になり過ぎて…?
こじらせた処女
BL
槍本シュン(やりもとしゅん)の所属している部活、機器操作部は2つ上の先輩、白井瑞稀(しらいみずき)しか居ない。
自分より身長の高い大男のはずなのに、足の先まで綺麗な先輩。彼が近くに来ると、何故か落ち着かない槍本は、これが何なのか分からないでいた。
ある日の冬、大雪で帰れなくなった槍本は、一人暮らしをしている白井の家に泊まることになる。帰り道、おしっこしたいと呟く白井に、本当にトイレするのかと何故か疑問に思ってしまい…?
膀胱を虐められる男の子の話
煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ
男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話
膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)
三限目の国語
理科準備室
BL
昭和の4年生の男の子の「ぼく」は学校で授業中にうんこしたくなります。学校の授業中にこれまで入学以来これまで無事に家までガマンできたのですが、今回ばかりはまだ4限目の国語の授業で、給食もあるのでもう家までガマンできそうもなく、「ぼく」は授業をこっそり抜け出して初めての学校のトイレでうんこすることを決意します。でも初めての学校でのうんこは不安がいっぱい・・・それを一つ一つ乗り越えていてうんこするまでの姿を描いていきます。「けしごむ」さんからいただいたイラスト入り。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる