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死んだ?

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「ああ、高坂和希。君は死んだよ」

 いきなりの発言に俺は怒声を浴びせた。

「はぁ!? 今こうして息をして...」

 そう言葉に出そうとして踏みとどまる。

「...嘘だろ?」

 そう、今の俺の体は息をしていない。

 いや、息をしていないどころか心臓も止まっている。

「...まじかよ」

 その言葉に彼女は笑いながらこう返した。

「気がついたようね。でも大丈夫。貴方の死亡により小鳥遊優樹、彼女という真なる勇者が誕生したからね」

「優樹...が?」

「うん。貴方の友人で私が貴方と繋げた最強の勇者だよ」

「優樹が最強の勇者だと? あいつは【回復術師】だぞ? 継続的な攻撃ができない【回復術師】が最強だとは思えないが...」

 俺の声に彼女は再び笑う。

「大丈夫。彼女はそんなやわじゃないから」

「優樹がやわじゃないのは知ってるが、それでも愛川の相手は厳しいだろ」

。後で見せてあげるから」

 意味親な事を呟く彼女に俺は思わずこう呟いた。

「さっきお前は自分の事を調停者だとか言っていたな。そんな奴なら現在の状況を知るのもお安いご要なんだろうが、お前に名前はないのか? なんかお前って言い続けるのも悪い気がしてな」

「名前...か。それは1番君がよく知っているんじゃないかな?」

「俺はお前のことなんか知らないぞ?」

「ああ、私ってよりもこの体の方かな。今は和希君と話す為に器として借りてるからね。ちなみに顔も声も私好みだったからつい...ね」

「...俺はその体の方の子も知らないぞ?」

「ううん、知ってるはずだよ。と言うか【弱体術師】のスキルの中に武装強化系のEXスキルがあったでしょ?」

 俺は思い出す。

 確かに【弱体術師】には似つかわしくない武装強化系が沢山あったような気がする...。

「それがどうかしたのか?」

「それ、愛川結美がこの体の持ち主である黒木蜜香って言う【付与術師】から奪った物だよ。だから【弱体術師】に【付与術師】のスキルが統合されちゃったんだよね。まあこの体の存在があの世界から消えたお陰で私が使えるようになったから、そこは感謝してるけど」

「黒木...蜜香?」

 なんだろう、初めて聞いた名前のはずなのに胸に引っかかるものがある。

「おっ? ちょっと思い出したかな~? まあ安心して。和希君も蜜香ちゃんも石川に佐藤も、ついでにあれだけ邪魔してくれた愛川ちゃんも私の目的が終わったらご褒美をあげた上で元の世界に返してあげるからさ。それでもお釣りが来るくらいの収穫を君たちは上げたんだから誇ってもいいよ」

「収穫...? いったいなんのことだ?」

「それは見てからのお楽しみ。じゃあ私と一緒に見届けようか。最強の勇者の誕生を...」

 彼女はそう呟くと、俺の目の前にウィンドウを開くのだった。
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