幼馴染と一緒に勇者召喚されたのに【弱体術師】となってしまった俺は弱いと言う理由だけで幼馴染と引き裂かれ王国から迫害を受けたのでもう知りません

記憶のロック

　石川が頭に手を置いてきたので、驚いた俺は慌てて彼の手を払い除けた。

「何をする気だ！？」

「...ちょっと記憶にロックがされていないか調べるだけだ。僕は【賢者】だからね。魔術で記憶をロックされているかどうかくらいなら分かるさ」

　少し考えた後に俺は頭を差し出した。

「分かった。つまりこれで記憶に障害がなければ愛川は無実だと言うことになるな」

「それで良いよ」

　俺の問いに笑みを返してくる石川が俺の頭に手を置いて呪文を唱え始めた。

　しばらくすると、石川の手に電撃が流れて弾かれてしまった！

「ツッ！！！？」

　痛そうに手を振りながら焼け焦げた自身の皮膚に回復魔法をかけている。

「やっぱり強力なプロテクションがかけられているな。僕程度の魔法じゃあこの記憶ロックは解除できそうにない」

　黒焦げになっている石川の手を見た俺は驚いていた。

「まさか...、本当に愛川の奴が俺の記憶を弄っていたというのか？」

「だからさっきからそう言っているだろう。愛川と言う女はそう言う奴なんだ。昔から君を熱狂的な信者のように慕っていたし、その異常性はパーティメンバーである僕たちも危惧していたくらいだからな」

「あっ！　それは俺も思ってたよ！　愛川って可愛いんだけどさ。なんかちょっと近寄りがたいって言う雰囲気をずっと出してた」

「...」

　信じたくはないがこいつらの言葉に信憑性が出てきた。

　愛川が俺の記憶を弄って何をしようとしていたのかは知らないが、恐らくは...。

　愛川が実はヤンデレなのかと思うと俺は少しだけ怖くなるのだった。