幼馴染と一緒に勇者召喚されたのに【弱体術師】となってしまった俺は弱いと言う理由だけで幼馴染と引き裂かれ王国から迫害を受けたのでもう知りません

盗賊少女②

「いいぞっ！　ラカラ！！」

　俺の掛け声に彼女は笑う。

「ヘヘッ！　また兄ちゃんと一緒に戦えるなんて思わなかったから嬉しいぞ！」

　そう言いながら彼女と連携を何度も行ったが、不思議と上手く噛み合っている。

　俺もアル子達と何回も連携の練習をしているとは言えここまで噛み合うとは驚きだ。

　まるで熟練した達人同士のような阿吽の呼吸を指示なしに行うことができるのはちょっと面白いな。

　俺が欲しいタイミングで補助がくるので戦いやすい。

　爆炎魔法の終わりに彼女が残った魔物をブーメランで処理する事で詠唱後の隙を晒さずに敵を殲滅することができるのだ。

「よっと！」

「ちっちゃいのにやるな！　ラカラ！」

「むっ...。ちっちゃいのには余計だよ！」

「それに比べてこいつらと来たら...」

　俺は町の中に転がる大人連中を見てため息を吐いた。

「大人のくせに簡単にやられてんじゃねぇ！」

　倒れている連中に説教を垂れていると、ラカラにこう言われた。

「勇者パーティの一員でもない人達にそれを言うのは酷だよ」

「...そうなのか？」

「うん、私たち勇者のパーティに入れて貰っている人たちは成長にボーナスがつくんだ。だから同じレベルでも遥かに強いの」

「それなら俺も知ってるぜ」

　俺の能力の一つに魔物育成を補助するものが多数存在している。

　それを使うのと使わないのではステータスの成長に雲泥の差が出てしまうのは事実だろう。

　積乱雲の外の人たちも結局は勇者頼みとは世知辛い世の中だねぇ。

　俺は内心ではそう笑いながら、周りの敵を一掃しておくのだった。