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【次元龍】

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「【次元龍】だと?」

【龍帝】がその名を聞いた時に少しだけ身震いしていた。

「奴に娘がいたのか?」

 そう言いながら彼女の匂いを嗅ぐ。

「...、確かに微かに香りがする」

 その言葉に笑う黒龍リュア。

「そうでしょう? 貴方はこの世界の中ではでかい顔のできるドラゴンのようだけど、私たちに比べてれば取るに足らない存在だという事を自覚した方が良いわよ」

 ふふふと笑う彼女の前に愛川が現れる。

「...貴方いいドラゴンね。どう? 私の下につかないかしら?」

「...お前は?」

 リュアにそう言われた愛川は丁寧に返す。

「これは失礼しました。私は【弱体の魔王】愛川結美と申します」

「魔王? お前が?」

 魔王という単語を聞いて笑い出す黒龍。

「お前如きが魔王? 推定100年程度しか生きていないお前が...か?」

「...そういう貴方はせいぜい20歳程度でしょう?」

「なっ!!」

「そんなに驚かなくてもいいじゃないですか。私は魔物を見る目はあるんですよ」

 ニヤニヤと笑う愛川の笑みは気味が悪い。

「...貴方からは危険な香りがするわね。今この場で殺すのは容易いかもしれないけれど、できればその顔すら2度と見たくないわ」

「そうかしら? 意外と私と貴方の相性はバッチリだと思うけど?」

「...気が変わったわ。最初はそこのドラゴンもろとも殲滅してあげようかと思ったけど、貴方みたいな気色の悪い女がいたんじゃあ気が滅入る」

 そう言いながらケロナを咥えて背に乗せるリュア。

「じゃあね。2度と会うこともないでしょうけど、もしも出会ってしまったときには容赦なく消すから」

 彼女はそう呟くと天を裂き次元の彼方へと飛んでいってしまった。

『ケロナ=あまみん☆ がパーティから抜けました』

 そうメニュー画面に記されると、俺たちを守っていた水の守りが弾け飛ぶ。

 そして愛川が俺の前に降り立った。

「さぁてカズ君、ようやく話ができそうね」

 不敵な笑みを浮かべる彼女を前に、俺は対応策を考えるのでした。
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