幼馴染と一緒に勇者召喚されたのに【弱体術師】となってしまった俺は弱いと言う理由だけで幼馴染と引き裂かれ王国から迫害を受けたのでもう知りません

勝利の余韻

「はぁ...なかなか良かったぞ。強き者よ」

　そう言いながら水の鎧が四散したケロナを見下ろす【龍帝】は彼女にとどめを刺そうと手を振り下ろす。

「やめろぉぉぉ！！！！」

　まるで最初からそこが海であったかのように水が溜まっている水面にぷかぷかと浮かんでいるケロナ。

　ほぼ水死体のようだが、どうやらまだ生きているこちがパーティ一覧のHPバーを見ればわかる。

(残りHP30！？　さすがにまずい！)

　体力が弱体化した状態でも1万を余裕で超えている彼女にとってHP30とはかなりの瀕死状態である。

「ケロナ！！！」

　俺は急いで駆け出すがどう考えても間に合わない！

「死ぬがいい、ケロナ=あまみん☆ よ」

　そう呟いた【龍帝】がブレスを撒き散らす！

　身動きの取れないケロナに炎のブレスが降り掛かろうとした時だった！

　ピキピキ....パキン！！！

　空が急に割れてそこから巨大な黒龍が現れたのだ！！！

「ケロナ！！！！」

　そう叫びながら【龍帝】の攻撃を受け止める黒龍！

　いや...、よくみると受け止めたのではない。

　彼女に攻撃が届く前に時空の裂け目に飲まれているように見えた。

　突然の妨害に驚く【龍帝】は新たに現れたドラゴンを眺めた。

「なっ！？　なんだ貴様は！？」

「私はケロナを所有するお方の妃である者。故にかのお方の所有物であるケロナを傷つけた事は万死に値する...。【ディメンジョンインパクト】」

　黒龍は拳を握りしめ、そのまま【龍帝】の顔に一撃を入れる！

「ぐぅ！？　これほどの力を誇るとは！？　貴様何者だ！？」

　その言葉に反応した黒龍は名を名乗る。

「私の名前はリュア=ふぉ～しゅん☆ あの方の名を冠する最上位竜種【黒龍種】の一種で最高位の存在である【次元龍】の娘である！」