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【弱体の悪魔】④

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 勇者の剣を手にした教皇が俺に向かって突っ込んできた。

「食らえ弱体術師!!! 【勇者の一撃】!」

 勇者でない者でも勇者の一撃を振るえるようになるとは、流石に【勇者の剣】の模造品と言うだけのことはある。

 凄まじい光の一撃が俺にぶちあたろうとした瞬間に【デバフ】を使う。

 ドゴォン!!! と凄まじい音がして砂煙が舞う。

「はぁ...はぁ...。どうですかな? 【勇者の剣】の味は」

 勝ち誇る奴の声に俺は拍手を捧げる。

「凄いな、貴様のようなクズが使ってもこのくらいの威力が出るとはな。さてさて俺の奴隷勇者にその剣を持たせればどのくらいの戦力になるかな?」

 余裕そうな表情で現れた俺に奴は驚きの声をあげていた。

「馬鹿な!!! あれは【勇者の一撃】だぞ!? 無傷だと!?」

「いやいや、流石に無傷ではなかったさ。でもまあ【デバフ】が間に合ったからな。貴様のこざかしい【聖域】のせいで若干威力が減ったのだろうが、その様子だと予想以上にステータスダウンが決まっているようだな」

「ぐっ...! 信徒達よ! 私に最上級のバフをかけなさい!」

 教皇の言葉に信徒達はバフをかけまくる!

「【攻撃力UP・大】!」

「【防御力UP・大】!」

「【速度UP・大】!」

「【攻撃魔力UP・大】!」

「素晴らしいバフの数々! これで奴を打ち倒せる! 【勇者の一撃】!!!」

 再びとてつもないエネルギー波が俺に向かって飛んでくるのだが、このくらいならば...。

「【魔力障壁・改】からの【闇の波動】」

 奴にかかったバフを全て剥がした上で防御に徹すると、今度はノーダメージで済んだ。

「ば...馬鹿な! あれは崇高なる勇者の一撃だぞ!? なぜ貴様如き【弱体の悪魔】がそれを防げるのだ!? まさかそれも【呪い】と【闇の力】なのか!? 何というおぞましい力なのだ!」

「あぁ?」

 相変わらず反吐が出そうになるな。

 奴らは俺の力を全て【呪い】の力だとでも思っているのだろうか? まあどうでも良いか。

「...さぁて、そろそろ死ぬか?」

 俺がこつりこつりと奴に近づく度に狼狽える信徒達。

「ば...化け物だ!」

 誰かが第一声をあげてそう崩れになるのは時間も問題と思われた瞬間だった。

「鎮まりなさい!」

 教皇の一言によって持ち直したのは。
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