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【この世全ての悪心】の能力③

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 俺は杖を振り翳しながらこう呟いた。

「【出血付与】」

 その瞬間、奴らの体から不可解な程に勢いよく血柱が噴出した。

 綺麗な赤色で夜空が染め上げられ、まるで血の花火のようでとても綺麗である。

「な...なんだ!? 急に体から血が!!!」

 驚きの声を上げる奴らに俺はこう呟いた。

「諸君らには俺が【出血】のデバフを与えた」

「なんだと!? ここまで勢いよく出血を促すデバフなんて聞いた事がないぞ!?」

「くくく...、今お前達が相手にしているのは誰だ?」

「...はっ!」

 そう、今更俺が【弱体術師】であると自覚したのだろう。

 奴らの出血状態を解除する方法は2つしかない。

 一つは魔法や回復薬による治療。

 そしてもう一つは術者である俺を殺す事だ。

「まかせてください! 俺が皆さんの出血状態を治します!」

 と優しげな青年が出血している者に状態異常回復の魔法をかける。

「これで...」

 確かに一瞬だけ傷口が塞がったのだが...。

 ブシュ!!! と言う音と共に再び出血が始まる。

「おい! とまらねぇぞ!!」

「そ...そんなはずは! では回復薬では...」

 そう言いながら回復薬を仲間にぶっかける青年だったが...。

 治した側から直ぐに出血が始まるのだ。

「馬鹿な! 一つ1万ラピスする高性能な回復薬ですよ!? 治らないはずがありません!」

 驚く青年を俺は呆れた顔で見つめる。

「単に君の回復薬や魔法が俺の妨害魔力を治し切れていないのでは? もっともっと沢山回復薬と魔法を使えば1人くらいは助かるかもしれんな~」

「ぐっ!」

 青年を嘲笑う俺に奴らは無意味な特攻を続けてくるのでした。
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