上 下
349 / 574

ゲフィラ盗賊団②

しおりを挟む
 奴の体が砕け散り、そこを中心に爆発が巻き起こる!!!

「うわっ!!!」

 俺は奴の自爆魔法に巻き込まれて大ダメージを受けてしまった。

 いくら俺の方がレベルが高いとは言え、至近距離でこの威力の魔法をぶっ放されては堪らない。

「くそっ! いてぇ!!!」

 すぐさま【回復薬】で回復する俺だったが...。

「ぐわぁぁぁ!!!」

 と騎士団の悲鳴と爆発音がそこら中で聞こえてきた。

(まさか!?)

 俺が後ろを振り向くと、そこは地獄だった。

 騎士団の立てたテントが爆発によって吹き飛び、そこら中に爆発の跡が残っている。

 しかも...だ。

「うおぉぉぉぉ!!!! 【弱体術師】死すべし!!!」

 などと言いながら俺以外にも向かっていく盗賊団の群れが凄く鬱陶しい。

 しかも「ゲフィラ盗賊団バンザーイ」などと言いながら嬉々として自爆してくるので余計に疑わしくなってくる。

(おいおいおい、盗賊団ってやつらがこんなふうに命をかけて特攻してくるか?)

 俺は一度優樹達の元に戻り急いで服を着るように叫ぶ。

「優樹! 早く着替えろ! 敵襲だ!」

「分かってる! ちょっとだけ待って!」

 そうこうしている間にも俺たちのテントに無数の盗賊団が走ってきた。

「【束縛+9】!!」

 俺の声と共に100人単位で盗賊団を縛り付ける。

「ぐぬぬ!! 汚らわしい鎖だ!」

「敵は目の前だ!! 命をかけて滅せよ!」

 などと言ってくる奴らの目はどう見ても野盗の瞳ではない。

(チラホラ盗賊以外の人間も混じっているような気がするのは気のせいか?)

 確かに盗賊っぽい奴も沢山いるのだが、たま~に絶対違うだろうと思える人物も混じっている。

 なんなら多少負傷した者の傷を瞬時に魔法で治してしまうほどの実力者も混じっているようだった。

(まずいな、流石に敵の数が多い)

 俺が必死に【束縛】の魔法で動きを止めている間に第二陣第三陣と休みなく突っ込んでくるので鬱陶しい。

「くそっ! きりがないぞ!」

 そう叫んだ瞬間だった。

「死ねぇ!!」

 と勢いよく近づいてきた盗賊に片手を斬られる。

「ぐっ! くそっ!」

 俺はすぐさま鞭に持ち替えてそいつを弾き飛ばした。

「グワっ!!!」

「隙あり!!!」

「全員で一斉にかかれ!!!!」

(嘘だろ!? 一体何人連れてきたんだ!?)

 1000人...いや1万人ほどいるだろうか? まるで戦争クラスの物量に俺は身震いした。

(これ...本当にただの野盗の仕業なのか? それにこのままじゃテントの中にいる優樹達が...!)

 無駄に回復力の高い魔法使いにまるで俺を殺す為に命さえも投げ出さんとする狂った者達。

 これではまるで...。

「狂信者達の特攻隊だな...」

【弱体術師】を絶対悪とする宗教の傘下の者達が俺を殺そうと迫ってきているのだと思うことで躊躇いがなくなる。

「ははっ、そうだな。こう言うピンチの時に使わないでいつ使うんだよ...」

 俺はそう呟くと自身の中にある深き闇を覚醒させるのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!

芽狐
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️ ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。  嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる! 転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。 新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか?? 更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!

追放された美少女を助けた底辺おっさんが、実は元”特級冒険者”だった件について。

いちまる
ファンタジー
【毎週木曜日更新!】 採取クエストしか受けない地味なおっさん冒険者、ダンテ。 ある日彼は、ひょんなことからA級冒険者のパーティーを追放された猫耳族の少女、セレナとリンの面倒を見る羽目になってしまう。 最初は乗り気でなかったダンテだが、ふたりの夢を聞き、彼女達の力になると決意した。 ――そして、『特級冒険者』としての実力を隠すのをやめた。 おっさんの正体は戦闘と殺戮のプロ! しかも猫耳少女達も実は才能の塊だった!? モンスターと悪党を物理でぶちのめす、王道冒険譚が始まる――! ※本作はカクヨム、小説家になろうでも掲載しています。

キャンピングカーで往く異世界徒然紀行

タジリユウ
ファンタジー
《第4回次世代ファンタジーカップ 面白スキル賞》 【書籍化!】 コツコツとお金を貯めて念願のキャンピングカーを手に入れた主人公。 早速キャンピングカーで初めてのキャンプをしたのだが、次の日目が覚めるとそこは異世界であった。 そしていつの間にかキャンピングカーにはナビゲーション機能、自動修復機能、燃料補給機能など様々な機能を拡張できるようになっていた。 道中で出会ったもふもふの魔物やちょっと残念なエルフを仲間に加えて、キャンピングカーで異世界をのんびりと旅したいのだが… ※旧題)チートなキャンピングカーで旅する異世界徒然紀行〜もふもふと愉快な仲間を添えて〜 ※カクヨム様でも投稿をしております

ズボラ通販生活

ice
ファンタジー
西野桃(にしのもも)35歳の独身、オタクが神様のミスで異世界へ!貪欲に通販スキル、時間停止アイテムボックス容量無限、結界魔法…さらには、お金まで貰う。商人無双や!とか言いつつ、楽に、ゆるーく、商売をしていく。淋しい独身者、旦那という名の奴隷まで?!ズボラなオバサンが異世界に転移して好き勝手生活する!

異世界でお金を使わないといけません。

りんご飴
ファンタジー
石川 舞華、22歳。  事故で人生を終えたマイカは、地球リスペクトな神様にスカウトされて、異世界で生きるように言われる。  異世界でのマイカの役割は、50年前の転生者が溜め込んだ埋蔵金を、ジャンジャン使うことだった。  高級品に一切興味はないのに、突然、有り余るお金を手にいれちゃったよ。  ありがた迷惑な『強運』で、何度も命の危険を乗り越えます。  右も左も分からない異世界で、家やら、訳あり奴隷やらをどんどん購入。  旅行に行ったり、貴族に接触しちゃったり、チートなアイテムを手に入れたりしながら、異世界の経済や流通に足を突っ込みます。  のんびりほのぼの、時々危険な異世界事情を、ブルジョア満載な生活で、何とか楽しく生きていきます。 お金は稼ぐより使いたい。人の金ならなおさらジャンジャン使いたい。そんな作者の願望が込められたお話です。 しばらくは 月、木 更新でいこうと思います。 小説家になろうさんにもお邪魔しています。

ぽっちゃり女子の異世界人生

猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。 最強主人公はイケメンでハーレム。 脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。 落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。 =主人公は男でも女でも顔が良い。 そして、ハンパなく強い。 そんな常識いりませんっ。 私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。   【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】

いらないスキル買い取ります!スキル「買取」で異世界最強!

町島航太
ファンタジー
 ひょんな事から異世界に召喚された木村哲郎は、救世主として期待されたが、手に入れたスキルはまさかの「買取」。  ハズレと看做され、城を追い出された哲郎だったが、スキル「買取」は他人のスキルを買い取れるという優れ物であった。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

処理中です...