幼馴染と一緒に勇者召喚されたのに【弱体術師】となってしまった俺は弱いと言う理由だけで幼馴染と引き裂かれ王国から迫害を受けたのでもう知りません

聖水

　俺はぼ～っと甲板から海を眺めているととあることに気がついた。

「そう言えば弱い海の魔物とはエンカウントしないんだな」

　先ほどから強めの魔物とは時々エンカウントしているのだが、弱めの相手とはエンカウントしていないのだ。

　その事を疑問に思っていると、リュートが説明してくれた。

「ああっ、それならこの【サウザンド・クリスティーナ号】の先頭から常に聖水を撒き散らしているからですよ」

「わっ！　びっくりした！」

　いきなり現れたリュートに俺は「暇なのか？」と聞いてしまう。

「いえ、ですが疑問には答えるべきだと思うので答えているだけです」

「それにしてはタイミングが良すぎないか？」

「まあ、いいではないですか」

「...まあ良いか。それよりも聖水？」

「はい、これか向かうサウライッツ大聖堂に売っている代物であり、低位の魔物の接近を抑制し旅を円滑にしているのです。一応聖水を全身に塗りたくることによって魔物の攻撃をほんの少し抑制する効果もあるのですが、相手が上位になればなるほど効果は薄まりますね」

「ふむ、聖水ね...」

　少し興味が湧く。

　ゲームとかだと聖水って雑魚の魔物を寄せ付けなくなる効果とかになりがちだけど、今の俺にはアイテム合成がある。

　武器とかに聖水の効果を載せたり、聖水の効果を向上させる事が可能かもしれない。

　そう思うと大聖堂に行くのも少し楽しみになってくる。

(大聖堂か...。聖なる武器や道具が沢山あるんだろうな。ならば優樹の武器や防具を大きく強化できるかも知れない。ついでにアルシェの防具に聖なる属性を付与する事で更に防御力を上げれるかも...)

　それ以外にも武器を強化できるかもしれないし、アイテム効果を向上させるアイテムが手に入るかもしれない。

(あれっ？　これ以外と期待しても良いんじゃね！？)

　最初はクズ王の提案で始まった今回の船旅だが、こう考えると割と悪くないのかもしれないと思えるようにもなっているのでした。