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魔物少女と騎士団長の決闘④

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「...」

 ゴウゴウと音を立てて燃えるケロナの姿を冷静な表情で眺めているリュート。

「おいおいおい、さっきよりも数段上の火力だったぞ! あの技!」

 本気でケロナを殺す気があるんじゃないかと思うほどの火力に俺は忠告したのだが...。

「問題ありません! その証拠にケロナ様はほとんどダメージを受けていませんから!」

 彼の言葉を信じて極炎の中を見ていると...。

 ブシュゥゥゥゥ!!! と言う音と共に水柱が出現した。

「水の無い場所でこれほどの水魔法を使えるとは...」

 ニヤリと笑う騎士団長に俺は言ってやる。

「いや、ここ海の上だから! 水の無い場所どころか大量にあるからな!」

 そう叫ぶ俺にリュートはこう返した。

「いえ、ですがケロナ様が使った防御用の水魔法は全て自身の魔力で作り上げた物ですよ。海水を使ったのならもっと軽く止められていると思います」

「えっ? そうなのか?」

 正直言って俺は属性魔法の使用感など分からない。

 デバフなんて言う地味な魔法しか使っていないから当然ではあるのだが...。

 多分俺にはその属性魔力の質を感じる資質がないのだろう。

 現に優樹は「和希は分からなかったの?」とか言っているし、水属性に適性のあるアルシェなんかは「凄い! 自身の魔力だけであれだけの水を展開できるなんて! 私なら周りの微妙な水分を集めて展開しないと行けないのに!」と、一歩踏み込んだ事を言っている。

「細かすぎて違いが分からん」

 思わず俺はそう呟いていた。

 自然の物を利用した魔術と自身の魔力のみで扱う魔法の差がいまいち分かっていないのだ。

 魔力の質がわかる人には相当面白い瞬間だったのだろうが、お生憎様、俺にはそれが分からないのだ。

(デバフって何属性になるんだ? もしかして無属性とか無分類とかになるんだろうか? そもそもデバフに属性なんかあるのか?)

 なんて言うどうでもいいことに頭を使ってしまっているのでした。
 
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