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極上のディナー⑥

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「これがケロナ様が作られたメインディッシュの草食龍のステーキにございます」

 先程と同じようなステーキが目の前に出されてくるのだが...。

「もう匂いの時点で違うよね」

 と食事に疎いラカラですら分かっているようだった。

「...食べなくても分かる。ケロナの作った料理の方が数段ランクが上の料理だって事が」

 今までの俺たちの様子を見ていたシェフが怒りを露わにして俺たちに暴言を吐いてきた。

「貴様ら!!! 私を冒涜するのもその辺にしてもらいたい! これでも料理に生涯を費やしてきた私の料理を完全否定するのか!?」

 ...自分が作った料理を否定されれば誰でも怒りたくなるのは分かる。

 分かるのだが、そこに絶対的な壁が存在するのであれば話は別だ。

「...ケロナの作ったコース料理を食べてみれば嫌でも分かる」

 とだけ俺は呟いた。

「はんっ! 所詮小薄汚い魔物が作った料理だろう!? そんなもの口にできるか!」

 そんな感じで言いたい放題言ってくるシェフの口に無理やりステーキを押し込むラカラ。

「むぐっ!?」

「そこまで言うのなら食べてから判断してよ。おじさんの作った料理は私の口に合わなかった理由が分かるから」

 もぐもぐ...ごっくん...。

 ...。

 一瞬の静寂。

 彼がケロナのステージを食べた後に数秒の時間が流れた後...。

「う...美味い...!」

 と驚きの表情をと涙を流すシェフ。

 それと同時に調理室からコック達が出てくる。

「料理長! ケロナ様の作る料理は絶品ですよ!!! 我々も彼女から学ぶべき事は沢山あるはずです! どうでしょうか? この航海の間だけでも彼女に教えを乞うと言うのは」

「お前達...! だが...私はクリスティーナ王国の料理長としての威厳が...」

 煮え切らないシェフにコック達はこう言いました。

「確かに素人にプロである私たちが教えを乞うなど恥でしょう。ただそれで我々の料理の腕が上がるのであれば恥を偲んで学ぶべきだと思います! 料理長! ここは素直になってください!」

「ぐ...ぬぬ...!」

 そう呟く料理長の前にデザートを持ったケロナが現れる。

「ケロナ殿...」

「料理長、私は料理を教えてくださいと貴方達が頼んでくるのならば跳ね除けるような事はしないよ。どうする? 私を認めないでこのままの料理を続けるのか、それとも私を認めて自身の腕を上げるのか。好きな方を選ぶと良い」

 その言葉に料理長は困ったような表情を浮かべているのでした。
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