幼馴染と一緒に勇者召喚されたのに【弱体術師】となってしまった俺は弱いと言う理由だけで幼馴染と引き裂かれ王国から迫害を受けたのでもう知りません

白銀の影②

「後3人...」

　そう呟く奴に佐藤が飛び出る！

「舐めるなよ！　化け物が！！！」

　電撃の魔法を放ちながら奴に向かう佐藤は一瞬でやられてしまう！

「ぐああああ！！！」

「お前が1番甘いわぁ！！」

(まずい！　攻撃要因がいなくなった！)

　攻撃の要である奴らがやられたらどうしようもない。

　どうにかして隙をついて逃げる方針を取りたいがこうなったらそれも難しいだろう。

(どうする？　どうすれば良い？)

　そう思いながらもデバフをかけ続けるが当たらない。

「遅いな！　貴様は所詮その程度なのだ！　仲間がいなければクソ雑魚の【弱体術師】の分際で私に歯向かった事を後悔しながら逝け！」

　俺では奴の動きを捉えることができず魔法を外しまくる。

(こうなったら魔力を全開にした周囲全体にデバフを...！)

　そう思った瞬間に奴が目の前に現れる！

「終わりだ、【弱体術師】！！！」

　奴の拳が俺に向かってくる！

「【幻影...」

　(まずい！　間に合わない！)

　俺の詠唱が終わる前に奴の腕が伸びてくる。

　防御力の低い俺が奴の攻撃を喰らえば恐らく....。

　最悪のシナリオに思考が何度も巡る。

(考えろ。この状況を打破する方法を...)

　この状況だと言うのに不思議と頭の中は冷静だった。

　俺の頭の中にあったのはどうやって勝・つ・か・。

　ただそれだけだった。

　万の秒が過ぎ去りし時が進む。

　ゆっくりと...確かに...。

　徐々に奴の手が俺の腹の辺りを突き刺そうとした次の瞬間！　俺のアドレナリンの放出が終わったのか時間の動きが元に戻った！

　ピチャ...。

　大量の血が俺の体に纏わりつく。

　だと言うのに俺の体に痛みは走らない。

　何故だろうか？

　その上で俺の顔に血を吐く者がいた。

「大丈夫...？　和希...」

「優樹...？」

　俺の代わりに胴を貫かれたのは優樹だったのだ。