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アルシェ姫の部屋

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「アルシェ様、入ります」

 そう言いながら入ってきたのは騎士団長グレイスだ。

 私は鋭い目つきで奴を睨む。

「おお~怖い怖い。姫様ともあろうお方がなんて怖い眼差しをしているんだか...」

「...私は姫様じゃない! それより兄ちゃんを何処に連れて行ったんだ!」

 その質問に奴はこう返した。

「くくく、【弱体術師】ならこの城の地下牢さ。1番深い所に優秀な騎士達によって監視されている。助け出そうなどとは思わない事だな。ここはアルシェ様の私室。武器になる物など何もないのだから...」

「くっ...」

「さてと、私はアルシェ様を殺害しに向かうとしようか。そうそう、そうやって大人しくしていれば長生きできるぞ。まあ半年から一年って所だがな。束の間の豪華な生活を楽しむと良い」

 騎士団長は高笑いしながらアルシュの私室から出て行き鍵をかけて見回りの兵士たちにこう言った。

「アルシェ様は長い監禁生活でお疲れのようだ。パニックを起こし部屋から出てしまうかもしれん。そうなった場合はお前達が責任を持ってアルシェ様をこの部屋に連れ戻すように」

「「はっ!」」

 足音的に私の部屋の前には2人の衛兵が立っているようです。

「仕方ない、こんな所にいつまでもいられないから窓を壊すか」

 私はそう思いながら窓に手をかけると...。

 バチィ!

「なっ!?」

 驚く事に窓に電流が流されていました。

(あの騎士団長。私を逃すつもりはないみたいだね。

 一度落ち着いて周りを見回す。

(...豪華な物ばっかりだな)

 明らかに貧困な生活を送っていた私からすれば羨ましい物の山がそこにはありました。

「...ちょっとくらいなら」

 と思い椅子に腰掛けてみると...。

(うわっ! 柔らか過ぎでしょ!)

 いつも固い地面かボロボロの椅子に座っていた私にとってフカフカの椅子は珍しい感覚なのでした。

 しばらくポヨンポヨンと座り心地を楽しんだ後に改めて部屋の中を見回す。

(武器もないしこの服じゃ歩きづらいな...)

 そう思った私は大きなロッカーを開いて中を確認してみましたが、綺麗なドレスしかありません。

(なんだこりゃ。胸元に宝石を埋め込んだ服まであるぞ?)

 私はちょっとした好奇心でアルシェ姫の私物を仮パクした。

 しばらく部屋の中を漁っていると...。

「んっ? これは...」

 私が見つけたのはアルシェ姫の宝石箱なのでした。
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