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城下町エトランゼ

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 俺達はその後5日間程旅をした。

 その間にも薬草を集めて置いて次の町で売り捌く準備をしながら足を進めていると...。

「あっ! 私が一番遠くまで来た町にようやく着いたよ!」

 と声を上げる優樹。

「どんな町なんだ?」

 そう思い窓の外を見てみると...。

「おおっ! 凄いな!」

 クリスティアーノ王国と比べても遜色ないほど煌びやかな城が見えた事で少しテンションが上がりそうになるが、自分が【弱体術師】だと言う事を思い出すとそのテンションがガクッと下がる。

(どうせこの町でも俺はお尋ね者なんだろうな)

「ハッ! 上等だ!」

 俺はそう笑う。

 ハルカリアンのように祭り上げられるよりはマシだと思う事で自分を鼓舞する。

 本当は中間の位置が一番安心できるのだが、この際だ贅沢は言わない。

 しかし、エトランゼ王国へと近づくにつれて優樹の顔色が怪しくなってきた。

「どうしたんだ優樹?」

「いや...、なんか前来た時よりも活気がないなって思ってさ」

 確かに、彼女の言う通り全体的にくらい感じだ。

「まっ、今の俺たちには関係ないさ」

 そう言いながら宿を探してギルドに向かう。

 そしてギルドで依頼版を見ているとこんな紙が貼られていた。

『エトランゼの姫が行方不明! 有力な情報を伝えた者には100万ラピスを報酬とする!』

 やけに詳細な似顔絵付きなので分かりやすい。

「へぇ...姫様が誘拐されてんのか」

 その言葉で俺はクラールの言葉を思い出した。

(と言う事はここでも俺が悪役か...)

 そう、噂では俺が姫様を誘拐した事になってるんだよな。

 とは言えこんな面倒事に自ら首を突っ込む気はない。

 そう思った瞬間だった。

「これだっ!」

 優樹がその張り紙を指差してこう言ったのだ。

「私達で真犯人を捕まえれば和希の冤罪もかなり軽減されるんじゃない!?」

「そうだな! 優樹の考えに一票!」

「奇遇ですね。僕も同じ事を考えていました」

 いきなりそんな感じで一致団結する3人を見て「あほくさ」と呟く俺が現実を語る。

「お前らなぁ、その姫様の名前すら知らない俺達がどうやって情報を集めるんだよ」

「和希様、名前なら張り紙の下の方に書いてますよ」

「...問題はそこじゃない! 日数がある程度立っているのに王様にすら情報が行っていないと言うことはポッと出の俺たちでどうにか出来るほどの案件じゃないってことだ。夢なんか見てないで仕事に行くぞ」

 俺がこいつらを黙らせて稼げそうな仕事を選んでいると...。

(んっ? あれは...)

 見覚えのある顔が見えたので思わずそっとギルドを出るのでした。
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