幼馴染と一緒に勇者召喚されたのに【弱体術師】となってしまった俺は弱いと言う理由だけで幼馴染と引き裂かれ王国から迫害を受けたのでもう知りません

馬宿の装備品コーナー

「う～む...」

　俺はそう唸りながら装備品を吟味する。

(やっぱり聖なる装備品がこんな所に売っているわけないよな...)

　売っている物といえば頑丈そうなロープや簡易テントなどの旅に必需品ばかりだ。

(だけどまあ、役には立ちそうだな)

　一応数点欲しい物を買い揃えたが、俺が購入の為にカウンターに立つとすっごく怯えられていた。

「別に取って食ったりしないよ、いくらになるんだ？」

「1...100ラピスで結構です！」

「はあっ！？　そんな安いわけないだろう！　俺はちゃんとした適正の値段で買いたいんだよ！」

「ひっ...ひぃ！！　命ばかりご勘弁を！！！」

　とこんな感じで話にならないので自分で計算してちゃんと支払った。

(全部で15万4000ラピスじゃないか。何が100ラピスだよ。ここでちゃんと払っておかないとまた変な噂が立つだろうが！)

　俺がちゃんと計算して適正値段を支払っているのを見た他の冒険者達が騒ぎ出す。

「おいおい、ちゃんと15万ラピスっていう大金を支払ったぞ！」

「まさか！？　【弱体術師】と言えば駄菓子でさえ値切る悪党と聞くぞ！」

(駄菓子なんか値切った事ねーよ！　だいたい駄菓子なんか値切ったら5ラピスとかになるんじゃないか？　駄菓子値切るとかどんだけセコい奴なんだよ)

　俺の元いた世界でも駄菓子を値切った話なんか聞いたことがない。

【弱体術師】の印象操作がだいぶ進んでいるのをハッキリと確認した俺は大きくため息を吐く。

　なんでちゃんと金を払っているのに疑われなくちゃならないんだよ！

　俺は噂をしている冒険者達を睨みながらさっさと皆の元へ戻るのでした。