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ごめんなさい
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家に帰るとお兄ちゃんが困った顔を浮かべたまま出迎えてくれました。
「カリン...」
「お兄ちゃん...」
気まずい雰囲気が漂いますが、意を決して自分から切り出します。
「ごめんなさい、お兄ちゃんが正しかった、エリサは輪廻教徒だったんだ...」
「分かってくれたのか!カリン!」
一気に笑顔になる彼の顔を見て少し落ち着く私。
ホッとしたのか、肩の力が抜けてその場に座り込んでしまいました。
「大丈夫か!?カリン!」
「ああうん...、ちょっと疲れちゃって...」
「待ってろ、すぐ部屋に連れて行ってやるからな!」
お姫様抱っこされながら運ばれたので、少々恥ずかしかったのですが、今はそんな事よりも休みたい...。
部屋に連れて行かれた私をベッドに寝かせてこう呟くお兄ちゃん。
「また明日話そうな、おやすみカリン...」
「うん...、お休みなさい...」
暖かく見つけてくれる彼の視線を感じながら、目を閉じてゆっくりと夢の中へと入って行く...。
~???~
「林華...」
「!?」
私はガバッと立ち上がり辺りを見つめると、そこは私の元いた世界でした。
「ここって...私の部屋!?」
突然の事に驚いていると、先程の白装束の少女が微笑みながら私を見ていました。
「何で私の夢の中にまで出てくる訳?」
「さあ?、ただ静かにその時を待っていただけなんだけどね、神さまは私達に話をさせたいみたい...とでも言っておく」
彼女は苦笑しながら私の部屋にある写真を手に取った。
「林華に正華、それにお母さんね...、確かお父さんは...」
「死んでるよ、私が中学に上がる前にね」
「ああ、そうだったね」
その写真は私が幼い時に撮られた物なので、父さんの姿もあった。
父さんは力が強くてよく笑っていたのを今でも覚えている。
そんな父さんがいなくなってから母さんの風当たりがかなり強まった気がするのは子供ながらに理解していた。
母も寂しかったのだと思う。
そんな思いを娘達にさせたくないからこそ、厳しく私たちを躾け出したのだと今なら考えられなくもない。
「でも今のあなたは...、母さんのこと嫌いでしょう?」
「うん...、父さんがいた時ならまだしも、父さんが死んでからの母さんは嫌いだよ、ほんっとうに大っ嫌い...」
「でも本心は?」
「...」
答えられない私。
確かに今の母さんが嫌いだが、昔の母さんは好きなのだ。
家族皆に優しかったあの人...。
それこそカリンの母さんであるエルカの如き人物であったと今でも思い返せる。
「本当は母親が好きだよね?」
「分からないと言っておく」
「本当に?」
何か知ったような素振りを見せる彼女に苛立った私は思わず叫んだ。
「しつこい!」
私が怒り狂った表情を浮かべると景色が歪む。
平穏な部屋の風景から戦場のような荒野に変貌した。
ここは私の深層心理。
ここでは何もかもが私の心の持ちよう次第なのである。
「お~怖いw」
「それ以上何か言うんだったら流石に怒るよ...」
彼女はふっと笑った後にこう呟いた。
「今は取り敢えずこれだけにしておこうか、でも林華、覚えておいて、あなたはカリンでも聖人でもなければ、ましてクティル王国の人間ですらないの」
「何を今更当たり前の事を...」
「あんまり肩入れしてもあなたが疲れるだけ、あなたはあなたの幸せだけを貫きなさい...、決して×××のようになってはいけない」
「それなら安心して、私は×××とはきっと違うから」
それを聞いた彼女は再びクスッと笑う。
「さあ?、それはどうだろう...、でも確かに貴方はちょっと違う道を選んだみたいだけどね...」
「それってどう言う意味?」
「言ったままの意味さ...、ほらっもうそろそろ朝だよ、貴方の目覚めを待つ今の家族の元に戻ってあげなさい、私はずっとここから貴方を見守ってるからね」
「意味深なこと言って、どうせ意味ないんでしょ?、×××なんだから難しい事なんて考えてなかったに決まってる!」
「それを言われたらお終いね、そう思うならそう思えばいい」
「あ~あ...、やっぱり貴方×××じゃないや、うん絶対に違う」
私は彼女にあっかんべ~をしながら目覚めるのでした。
「カリン...」
「お兄ちゃん...」
気まずい雰囲気が漂いますが、意を決して自分から切り出します。
「ごめんなさい、お兄ちゃんが正しかった、エリサは輪廻教徒だったんだ...」
「分かってくれたのか!カリン!」
一気に笑顔になる彼の顔を見て少し落ち着く私。
ホッとしたのか、肩の力が抜けてその場に座り込んでしまいました。
「大丈夫か!?カリン!」
「ああうん...、ちょっと疲れちゃって...」
「待ってろ、すぐ部屋に連れて行ってやるからな!」
お姫様抱っこされながら運ばれたので、少々恥ずかしかったのですが、今はそんな事よりも休みたい...。
部屋に連れて行かれた私をベッドに寝かせてこう呟くお兄ちゃん。
「また明日話そうな、おやすみカリン...」
「うん...、お休みなさい...」
暖かく見つけてくれる彼の視線を感じながら、目を閉じてゆっくりと夢の中へと入って行く...。
~???~
「林華...」
「!?」
私はガバッと立ち上がり辺りを見つめると、そこは私の元いた世界でした。
「ここって...私の部屋!?」
突然の事に驚いていると、先程の白装束の少女が微笑みながら私を見ていました。
「何で私の夢の中にまで出てくる訳?」
「さあ?、ただ静かにその時を待っていただけなんだけどね、神さまは私達に話をさせたいみたい...とでも言っておく」
彼女は苦笑しながら私の部屋にある写真を手に取った。
「林華に正華、それにお母さんね...、確かお父さんは...」
「死んでるよ、私が中学に上がる前にね」
「ああ、そうだったね」
その写真は私が幼い時に撮られた物なので、父さんの姿もあった。
父さんは力が強くてよく笑っていたのを今でも覚えている。
そんな父さんがいなくなってから母さんの風当たりがかなり強まった気がするのは子供ながらに理解していた。
母も寂しかったのだと思う。
そんな思いを娘達にさせたくないからこそ、厳しく私たちを躾け出したのだと今なら考えられなくもない。
「でも今のあなたは...、母さんのこと嫌いでしょう?」
「うん...、父さんがいた時ならまだしも、父さんが死んでからの母さんは嫌いだよ、ほんっとうに大っ嫌い...」
「でも本心は?」
「...」
答えられない私。
確かに今の母さんが嫌いだが、昔の母さんは好きなのだ。
家族皆に優しかったあの人...。
それこそカリンの母さんであるエルカの如き人物であったと今でも思い返せる。
「本当は母親が好きだよね?」
「分からないと言っておく」
「本当に?」
何か知ったような素振りを見せる彼女に苛立った私は思わず叫んだ。
「しつこい!」
私が怒り狂った表情を浮かべると景色が歪む。
平穏な部屋の風景から戦場のような荒野に変貌した。
ここは私の深層心理。
ここでは何もかもが私の心の持ちよう次第なのである。
「お~怖いw」
「それ以上何か言うんだったら流石に怒るよ...」
彼女はふっと笑った後にこう呟いた。
「今は取り敢えずこれだけにしておこうか、でも林華、覚えておいて、あなたはカリンでも聖人でもなければ、ましてクティル王国の人間ですらないの」
「何を今更当たり前の事を...」
「あんまり肩入れしてもあなたが疲れるだけ、あなたはあなたの幸せだけを貫きなさい...、決して×××のようになってはいけない」
「それなら安心して、私は×××とはきっと違うから」
それを聞いた彼女は再びクスッと笑う。
「さあ?、それはどうだろう...、でも確かに貴方はちょっと違う道を選んだみたいだけどね...」
「それってどう言う意味?」
「言ったままの意味さ...、ほらっもうそろそろ朝だよ、貴方の目覚めを待つ今の家族の元に戻ってあげなさい、私はずっとここから貴方を見守ってるからね」
「意味深なこと言って、どうせ意味ないんでしょ?、×××なんだから難しい事なんて考えてなかったに決まってる!」
「それを言われたらお終いね、そう思うならそう思えばいい」
「あ~あ...、やっぱり貴方×××じゃないや、うん絶対に違う」
私は彼女にあっかんべ~をしながら目覚めるのでした。
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