128 / 361
歌
しおりを挟む
暗い闇の底。
私には何も残っていないはずだった。
妹を失い家族を全て亡くした日から私は冒険者になった。
全てを失ったあの日から、私は露骨に金を稼ぐようになった。
来る日も来る日も金を稼ぐ毎日。
今度こそ何も失わないため、1番必要な物は金と自分の生きぬく力だと思ったからだ。
冒険者となり、強くなった私は妹の弔いの為故郷クティル王国に戻ってきたはずだったのだが、そこで実の妹らしき人物に出会った。
...、もう一度彼女に会うまで死ねない...。
私はこの暗い底から這い上がるように上を目指した。
~???~
歌が聞こえる...、聞いたこともない声で綺麗な歌声を奏でているその声は美しく、そして優しい。
(...誰だろう...)
ゆっくりと目を開く。
「あっ!お姉さん起きた!?」
少女の声が聞こえたかと思うと、栗毛の優しそうな少女が白い鳥を頭に乗せているのが見えた。
「ここは...」
「ここはクティル王国だよ、お姉さんはお母さんに連れられてここにきたの」
少女は椅子に腰掛けながらわたしに回復の魔法をかけてくれた。
「はいっ、これで大丈夫なはず、何度も回復の魔法をかけたから怪我は完全に完治してると思うよ」
...、どうやら生きて帰ってこれた事に安堵しため息を吐く。
「助かったんだな...私は...」
「本当にびっくりしたんだから!、急にお母さんが私の部屋にお姉さんを置いてどこかに言っちゃうんだもん!、しかもその時に言ってくれた言葉が「回復魔法お願いね!」だけだったから本当に焦っちゃったよ~」
彼女から疲れた様子が見て取れるのは、きっと私の看病に四苦八苦してくれたからだろう。
改めてお礼を言う。
「ありがとう、あなたのお母さんにもお礼を言わないとね」
頭を掻きながら彼女に笑顔を向ける。
「ああいいの、私だって修行中の身ですし、1人だけの力じゃないから...、ねっアアル!」
「カリンはここ最近で鳥使いが荒っぽくなったよね~...、僕にもう少し休憩の時間をくれてもいいのにな~」
私は鳥が人語を話した事に驚いた。
「えっ!、今その鳥喋らなかった!?」
「鳥が人語を喋ったらダメなのかい?」
ありえない現実に頭を抱える私だったが、もしこの鳥が普通の鳥ではないとしたら?。
私は少女に視線を移し恐る恐る聞いてみる。
「もしかしてこの鳥...召喚獣か?」
「お姉さんよくわかったね、そう!私の友達でアアルって言うの!」
「よろしく~」
少女の手のひらで白い羽を広げて挨拶をしてきたのでさらに驚きである。
こんな年端もいかない少女が召喚獣を使役しているなど元来ありえないのだから...。
さすがは魔法王国クティルと言った所だろうか。
他の大陸よりも魔法に関してはかなり進んでいると思われる。
私は彼女を見やりながら、静かに笑っていた。
私には何も残っていないはずだった。
妹を失い家族を全て亡くした日から私は冒険者になった。
全てを失ったあの日から、私は露骨に金を稼ぐようになった。
来る日も来る日も金を稼ぐ毎日。
今度こそ何も失わないため、1番必要な物は金と自分の生きぬく力だと思ったからだ。
冒険者となり、強くなった私は妹の弔いの為故郷クティル王国に戻ってきたはずだったのだが、そこで実の妹らしき人物に出会った。
...、もう一度彼女に会うまで死ねない...。
私はこの暗い底から這い上がるように上を目指した。
~???~
歌が聞こえる...、聞いたこともない声で綺麗な歌声を奏でているその声は美しく、そして優しい。
(...誰だろう...)
ゆっくりと目を開く。
「あっ!お姉さん起きた!?」
少女の声が聞こえたかと思うと、栗毛の優しそうな少女が白い鳥を頭に乗せているのが見えた。
「ここは...」
「ここはクティル王国だよ、お姉さんはお母さんに連れられてここにきたの」
少女は椅子に腰掛けながらわたしに回復の魔法をかけてくれた。
「はいっ、これで大丈夫なはず、何度も回復の魔法をかけたから怪我は完全に完治してると思うよ」
...、どうやら生きて帰ってこれた事に安堵しため息を吐く。
「助かったんだな...私は...」
「本当にびっくりしたんだから!、急にお母さんが私の部屋にお姉さんを置いてどこかに言っちゃうんだもん!、しかもその時に言ってくれた言葉が「回復魔法お願いね!」だけだったから本当に焦っちゃったよ~」
彼女から疲れた様子が見て取れるのは、きっと私の看病に四苦八苦してくれたからだろう。
改めてお礼を言う。
「ありがとう、あなたのお母さんにもお礼を言わないとね」
頭を掻きながら彼女に笑顔を向ける。
「ああいいの、私だって修行中の身ですし、1人だけの力じゃないから...、ねっアアル!」
「カリンはここ最近で鳥使いが荒っぽくなったよね~...、僕にもう少し休憩の時間をくれてもいいのにな~」
私は鳥が人語を話した事に驚いた。
「えっ!、今その鳥喋らなかった!?」
「鳥が人語を喋ったらダメなのかい?」
ありえない現実に頭を抱える私だったが、もしこの鳥が普通の鳥ではないとしたら?。
私は少女に視線を移し恐る恐る聞いてみる。
「もしかしてこの鳥...召喚獣か?」
「お姉さんよくわかったね、そう!私の友達でアアルって言うの!」
「よろしく~」
少女の手のひらで白い羽を広げて挨拶をしてきたのでさらに驚きである。
こんな年端もいかない少女が召喚獣を使役しているなど元来ありえないのだから...。
さすがは魔法王国クティルと言った所だろうか。
他の大陸よりも魔法に関してはかなり進んでいると思われる。
私は彼女を見やりながら、静かに笑っていた。
0
お気に入りに追加
229
あなたにおすすめの小説
ハイエルフの幼女に転生しました。
レイ♪♪
ファンタジー
ネグレクトで、死んでしまったレイカは
神様に転生させてもらって新しい世界で
たくさんの人や植物や精霊や獣に愛されていく
死んで、ハイエルフに転生した幼女の話し。
ゆっくり書いて行きます。
感想も待っています。
はげみになります。
転生幼女は幸せを得る。
泡沫 ウィルベル
ファンタジー
私は死んだはずだった。だけど何故か赤ちゃんに!?
今度こそ、幸せになろうと誓ったはずなのに、求められてたのは魔法の素質がある跡取りの男の子だった。私は4歳で家を出され、森に捨てられた!?幸せなんてきっと無いんだ。そんな私に幸せをくれたのは王太子だった−−
このやってられない世界で
みなせ
ファンタジー
筋肉馬鹿にビンタをくらって、前世を思い出した。
悪役令嬢・キーラになったらしいけど、
そのフラグは初っ端に折れてしまった。
主人公のヒロインをそっちのけの、
よく分からなくなった乙女ゲームの世界で、
王子様に捕まってしまったキーラは
楽しく生き残ることができるのか。
王女の夢見た世界への旅路
ライ
ファンタジー
侍女を助けるために幼い王女は、己が全てをかけて回復魔術を使用した。
無茶な魔術の使用による代償で魔力の成長が阻害されるが、代わりに前世の記憶を思い出す。
王族でありながら貴族の中でも少ない魔力しか持てず、王族の中で孤立した王女は、理想と夢をかなえるために行動を起こしていく。
これは、彼女が夢と理想を求めて自由に生きる旅路の物語。
※小説家になろう様にも投稿しています。
私公爵令嬢としてこの世界を楽しみます!
神桜
ファンタジー
小学生の子を事故から救った華倉愛里。本当は死ぬ予定じゃなかった華倉愛里を神が転生させて、愛し子にし家族や精霊、神に愛されて楽しく過ごす話!
『私公爵令嬢としてこの世界を楽しみます!』の番外編を『私公爵令嬢としてこの世界を楽しみます!番外編』においています!良かったら見てください!
投稿は1日おきか、毎日更新です。不規則です!宜しくお願いします!
チートな転生幼女の無双生活 ~そこまで言うなら無双してあげようじゃないか~
ふゆ
ファンタジー
私は死んだ。
はずだったんだけど、
「君は時空の帯から落ちてしまったんだ」
神様たちのミスでみんなと同じような輪廻転生ができなくなり、特別に記憶を持ったまま転生させてもらえることになった私、シエル。
なんと幼女になっちゃいました。
まだ転生もしないうちに神様と友達になるし、転生直後から神獣が付いたりと、チート万歳!
エーレスと呼ばれるこの世界で、シエルはどう生きるのか?
*不定期更新になります
*誤字脱字、ストーリー案があればぜひコメントしてください!
*ところどころほのぼのしてます( ^ω^ )
*小説家になろう様にも投稿させていただいています
プラス的 異世界の過ごし方
seo
ファンタジー
日本で普通に働いていたわたしは、気がつくと異世界のもうすぐ5歳の幼女だった。田舎の山小屋みたいなところに引っ越してきた。そこがおさめる領地らしい。伯爵令嬢らしいのだが、わたしの多少の知識で知る貴族とはかなり違う。あれ、ひょっとして、うちって貧乏なの? まあ、家族が仲良しみたいだし、楽しければいっか。
呑気で細かいことは気にしない、めんどくさがりズボラ女子が、神様から授けられるギフト「+」に助けられながら、楽しんで生活していきます。
乙女ゲーの脇役家族ということには気づかずに……。
#不定期更新 #物語の進み具合のんびり
#カクヨムさんでも掲載しています
前世の記憶さん。こんにちは。
満月
ファンタジー
断罪中に前世の記憶を思い出し主人公が、ハチャメチャな魔法とスキルを活かして、人生を全力で楽しむ話。
周りはそんな主人公をあたたかく見守り、時には被害を被り···それでも皆主人公が大好きです。
主に前半は冒険をしたり、料理を作ったりと楽しく過ごしています。時折シリアスになりますが、基本的に笑える内容になっています。
恋愛は当分先に入れる予定です。
主人公は今までの時間を取り戻すかのように人生を楽しみます!もちろんこの話はハッピーエンドです!
小説になろう様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる