TS系最弱な美幼女魔王ちゃんとなった俺は、何故か自分が生み出した使い魔達と無敵のダンジョンを作ることになったんだが！！

魔王が求めし者【改☆】

　俺たちが空に舞い上がるドラゴンの造形を見ていると、不意にカズラの奴が俺の肩を叩いていた。

「なんだ？、急に肩を叩かれたからびっくりしたぞ」

　俺がそう返した瞬間から彼は俺の手を取り森の中へと連れ込もうとしたので、それを見たシスティが彼を静止する。

「なんじゃ？　いきなり現れてその行動は不信感しかうまないと思うがのう...」

「システィか...、今はアリカと話があるのだ」

　とだけ言い放つと彼は俺を森の中へと引っ張り出した。

　～人気のない静かな雰囲気の森の中～

　あれだけ騒いでいても、ちょっと道を外れると静かなものだ。

「こんな所に俺を呼び出して何のようだ？」

　そう聞くと彼はこんな事を言い始める。

「アリカよ...、あの蒼い天使をもう一度見せてくれないか？」

「蒼い天使って...、もしかしてアリカナ=りみてっど☆　の事か？」

　俺の問いに彼はコクリと頷く。

「ああ、あの蒼い天使様は俺の理想にかなり近い存在だった...、勿論だが彼女を譲れとまでは言わん、だがもう一度だけで良い、見せてくれないだろうか？」

　そう言われても答えの返しようがない。

　あの状態になれたのは言わば【奇跡】のような物であり、俺自身の意思でなった訳ではないからだ。

　俺は【創世のアリカナ=蒼巫女りみてっど☆】になれた時の意識がハッキリとしていないし、どちらかと言われればケロナに体の大多数を乗っ取られていたと言っても過言ではない。

　でも...、何故かあの時の俺の頭の中にはあの状態のイメージが湧いてきていたのである。

　それに、間違いなくあの瞬間に俺とケロナを【結合リンク】させたのは俺自身である事は自覚している。

　突然その言葉が頭の中に流れ込み、2人の体を溶け合わせて一つの大きな力にしたのだ。

　多分某有名漫画のイメージが極限状態の中にあった俺の五感を刺激し、もうこれしかこの状況を脱する方法はないと勝手に解釈した故の結果だろう。

　いやはや...、転生したこの体は実はとんでもない能力を秘めているのかも知れないなと、自分でも思わざるおえない。

　すると答えに出す言葉は自然と決まる。

「...悪いがそれはできないな」

「何故だ？」

「あの力は自然と誘発した物であり俺の自由意志でなれる状態ではないからだ、恐らくだが極限まで追い詰められることによって引き出される俺の隠された力的な物だと思う」

　嘘はついていないのだが、彼は少し残念そうな表情を浮かべていた。

「そうか...、まあ良いだろう、ではもう一つの要件だが...」

　俺はぎくりと反応を示してしまう。

(まずい！！　ケロナを取られちゃう！)

　という緊迫した緊張に押し流されてしまうのでした。