TS系最弱な美幼女魔王ちゃんとなった俺は、何故か自分が生み出した使い魔達と無敵のダンジョンを作ることになったんだが！！

【冥帝】サイド㉚【改☆】

「【ディストレア...バースト...】」

　奴が魔法を唱え終わる瞬間にわしは叫んだ！。

「【魑魅魍魎！！　死者達のワンダーナイツ！！】」

　わしの言葉と共に踊り狂う死者たちが姿を表し、わしとトラスの壁になってくれた。

(すまぬ...)

　こういう使い方はしたくなかったが、こうでもしないとギサラの魔法を食い止める事ができないと踏んだのだ。

「システィ...お姉ちゃん？」

　わしは不安がるトラスをぎゅっと抱き寄せては爆発から守る。

　背中に魔力を込めて少しでもダメージを防ごうとしたが無駄だった。

　わし程度の魔力壁では足止めにもならず、せっかく呼び出した死者の肉壁も簡単に吹き飛ばされてしまったのだ。

「ぐぁぁぁぁぁ！！！！」

「お姉ちゃん！！」

　この世のものとは思えないほどの激痛が背中を襲い、焼き焦げるような痛みを伴う。

　背中に痛みが走るたびに絶叫を起こし続けて早１分。

　ついにギサラの魔法持続時間が切れて止まる。

　と同時にわしは崩れ落ちた。

「姉ちゃん！！」

　わしの体を揺するトラスの声が聞こえる...。

「よかった...、無事じゃったか...」

　わしは小さな声でそれだけ呟くと、少しだけ笑みを浮かべた。

　妹分を守れたという事に充足感を感じながらも、自分の時間が残り少ない事を悟る。

「トラスよ...、わしも分まで生き抜け...」

「誰か！　誰かお姉ちゃんを助けて！！」

　悲痛な少女の声が頭の中に何度もこだまする。

「よしっ！！　こう言う時は俺に任せろ！！」

　とアリカが来てくれているが、どうしようもないだろう...。

「へっへ～ん！、こんな傷くらい俺がすぐさま治してやるよ！！　【キャラカスタム】！！」

　彼女は何やら呪文を唱えたらしいのだが...。

「...へっ？、なんだこれ...、こ・の・世・界・に・深・く・干・渉・す・る・者・へ・の・キ・ャ・ラ・カ・ス・タ・ム・は・行・え・ま・せ・ん・だと...？」

　わしには効果がないらしい。

「そんな...！　お姉ちゃん！！」

　両目に涙を溢れさせ、絶望する妹分を眺めながらも、チュリアの方を見つめる。

　どうやらギサラの攻撃を食い止めるのに必死なようだ。

　リウもそちらに気を取られているのでもう助かる見込みは無いだろう。

　わしはそっとトラスを抱き寄せてはこう呟いた。

「わしのために泣いてくれてありがとう...」

　と。

　そこで一旦わしの記憶は途切れた...。