TS系最弱な美幼女魔王ちゃんとなった俺は、何故か自分が生み出した使い魔達と無敵のダンジョンを作ることになったんだが！！

組手

「行くぞ！！」

(来ないで！！)

　叫ぶトラスの拳を見て俺は勢いよく屈む事により回避した。

「なにっ！？」

　明らかに動揺している彼女だがマグレである。

「さすがアリカだな、私の攻撃なんて全部見切っていると言うわけか...！」

(いえいえ全く見えてません、と言うか今のパンチ本気じゃないよね？、本気だったら全治1年くらいの重傷負うと思うんだけど...)

　何か勘違いしている彼女の攻撃をずっと避けられる訳がない。

　俺は頭をフル回転させ、この場を切り抜ける方法を考える。

「なぁ、トラス、お前は何か勘違いをしていないか？、俺はお前の父ちゃんを倒してなんかいないぞ！」

　俺は事実を語るのだが...。

「いいや、あれは確かにアリカだった、アリカが父ちゃんの攻撃を全て受け止めてから父ちゃんを倒したんだ」

　そう呟く彼女の瞳からは偽りの感情は読み取れないほど澄み切っているので恐らく嘘はついていないだろうと思えるのだが、いい迷惑である。

(ひぇぇ目がマジだよこの子、このままじゃ殺されるかも...！)

　彼女は本当に俺がティラスを倒したのだと勘違いしているのだ。

　恐らく極度の怪我と疲労により幻覚でも見て居たのだろうと俺は推察した。

(いい迷惑だよ！、俺がティラスなんか倒せるか！！)

　そう思っていると、再びいい案が浮かんできた。

「なあトラス、今の俺の魔力量を見て強いと思うか？」

「...、今は力を隠してるんだろ？、私には分かる、私如きを倒すのに魔力なんか必要ないってことだろ？」

(違う！！そうじゃない！)

　この子には俺が強キャラに見えてるのだろうけど、実際には最弱キャラなのだと理解してほしいのに分かってくれない。

「今から俺が本気で魔力を解放するから見といてくれよ...」

「もちろんだ、全力のアリカとは一度戦って見たいと思ったしな！」

　戦闘狂か！と突っ込みたくなるが、今はそんな事を突っ込んでいる場合ではない！。

「はぁぁぁぁぁ！！、どうだ？これがフルパワーになった俺の姿だ！」

　俺は某バトル漫画のように唸り声をあげながら魔力を込めたのだが...。

「へっ？それが全力？」

　明らかに拍子抜けしている様子な彼女。

「本当にこれが全力だよ！！、戦闘用の魔力はこれが限界だよ！攻撃魔法は１つも使えないけどね！」

「なんて言うか...、その...、3歳児くらいの可愛らしい魔力だね...」

(3・歳・児・！・？・)

　彼女の声質から読み取るに、俺の評価がティラスを倒せるほどの強者から3歳児にまで急降下して行く音が聞こえてくるようだ...。

　いや、これでいいのだが3歳児に見られるのはちょっぴり悔しいかも...。

　いや！いいんだけどね！。