TS系最弱な美幼女魔王ちゃんとなった俺は、何故か自分が生み出した使い魔達と無敵のダンジョンを作ることになったんだが！！

ティラス

　グワッと迫り来るようなティラスの圧迫感に驚いていると顔を掴まれる私！。

「うわっ！」

　彼は叫び声をあげながら私の体をまるでスケートでもするかの如く、砂浜に擦り付けながら思いっきり投げ飛ばす！。

　ずざざざ！！！！っと全身を擦りむきながら大地を滑る私！。

　ようやく止まったかと思うと、既に奴の魔の手は私の腹を殴りつけていた。

「がぁ！！」

　私は腹部を抑えながらうずくまると、その後で頭を地面に埋められてしまうかと思うほど蹴り付けられる。

　うずくまり抵抗できない私の頭を蹴り続ける彼の姿はまさしく悪・鬼・の如し！。

　砂浜の中に顔を埋められては声も出せない。

(う～ん！！う～ん！！)

　声が出ない中、私の体を何度もサンドバッグのように蹴り続けるティラス。

　腹部に凄まじい衝撃が走り、だんだんと力が入らなくなってきた...。

(痛い...痛い...)

　そう思っていると。

「やめろぉ！！」

　トラスの声が聞こえ、腹部に走る痛みがなくなった。

　彼女がようやく追いつき、私を助けてくれたのは理解できたのだが、流石に埋められた体を救出する隙は無かったようで放置されてしまう。

　そのまま戦闘音が鳴り響き、凄まじい攻防が繰り広げられているのだと思う...。

　見えないから周りに響き渡る爆音で激しさを感じるしかない。

　どう考えても拳で殴り合っている音では出せないような音が鳴り響いているのだが、彼女の腕力とティラスの腕力がぶつかり合えばこのくらいの音が鳴るのは当然の事なのかもしれないと思うことにした。

　取り敢えずこの状態から脱するために自らの手で地面を掴み、とにかく地上に首を抜こうとしたのだが...。

(う～ん！！！抜けない！！)

　ジタバタと足を振り回し、もがいていると...。

「「リュア！！」」

　ロムパとルキィもようやく追いついたようで、私の足を掴み力の限り引っ張ってくれた。

「「うんとこしょ...、どっこいしょ...」」

　まるで大きなカブでも抜くかのような動作でリュアの体を引っこ抜こうとするその絵面えずらは、古来より伝わる昔話そのものである。

　ポンっ！。

「抜けたぁ！！」

　私はすぐさま髪に付着した砂を払いのけると、彼女達にお礼を言う。

「ありがとう、本当に助かったよ」

「お礼はいい、それよりもあの子を手助けするぞ！」

　そう叫ぶロムパは行動に移っていた。

「そうよん！、あいつは全員で力を合わせないと絶対に勝てないわ！」

　すぐさまルキィも触手を伸ばしてティラスの行動を制限している。

「私も！！」

　ブレスを吐いてトラスのヘルプに回るのだった。