TS系最弱な美幼女魔王ちゃんとなった俺は、何故か自分が生み出した使い魔達と無敵のダンジョンを作ることになったんだが！！

げんこつ

　ゴチン！というげんこつの音が聞こえたかと思うと、緑龍に戦いを挑む者が現れていた。

　最初は仲間の誰かが応援に来てくれたのかとも思ったのだが、実際は違っていた。

「おりゅあ！！」

　はつらつとした声と共に現れた謎の少女が緑龍と渡り合っているのを見て驚く私！！。

(えっ！？、なんであの子...、私が苦戦する程の相手と渡り合ってるに！？)

　どう考えても人間の少女の形を成している少女に視線がクギ付けになる。

　少女の容姿は髪がオレンジで黄色と黒の混じったしましまな服を着込み、なんと金棒を振り回しながら緑龍と渡り合っていた。

　裸足で駆け回るその姿は、どう見ても野生児にしか見えない。

　そんな彼女が発した言葉に私は更に驚いた。

「父ちゃん！！、早く元に戻ってくれよ！」

「父ちゃん...？」

　明らかにあの緑龍に対して少女が言い放っているようにしか見えない。

　少女とドラゴンの激しいぶつかり合いが続く中、チャンスと思った私は一度アリカの元へと戻る事にした。

　しかし、背中を向けて駆け出した私を見逃すはずも無く、ドラゴンのブレスに巻き込まれてしまう。

「がぁ！！！」

　無防備な背中に手痛い一撃を食らった私を見かねたのか、ルキィとロムパ、そしてリュアが飛び出して来た。

「ああもう！見てられない！、私も戦う！！」

「そうね、勝てる勝てないじゃない、今が戦わなくてはいけない時ってやつなのね...！」

「後は我らに任せてケロナはゆっくり休め、お前は充分によくやってくれた、後は我らに任せろ...」

　力強い三人の言葉に対し、私の選んだ言葉は冷徹そのものかもしれないが、言わずにはいられない。

「逃げろ！！、全員殺されるぞ！」

　面と向かって対峙した私だからこそ分かる。

　あの緑龍はこの三人がかりでも恐らく仕留めきれないと...。

　必死に叫ぶ私を見た3人がそっと微笑み返してくれるので心が痛い...。

「大丈夫！、私には新必殺技があるし、後ろにはロムパとルキィがいるしね！」

「そのとおりよん」

「我らの力を見くびるなよケロナ、いくら我ら全員が【極限】の力を携えていないから心配だとはいえ、戦えない訳ではないのだからな」

　優しい言葉に少しだけ心が軽くなりはするが、やはり無茶だ。

「やめろ...、無理だ！」

　そう呟く私の体を戦線から離脱させる者達がいた。

　そう、以前にアリカが誕生させていた10体の魔物たちである！。

「ちょっ！、ダメ！私も戦わないと！絶対に勝てない！」

(あ・い・つ・は・多・分・、・ま・だ・本・気・を・出・し・て・な・い・)

　そう叫ぶ私の言葉など聞く耳を持っていない魔物達に運ばれて、戦線離脱するのだった...。