451 / 968
冥帝の称号
しおりを挟む
もちろんその誘いをわしは断った。
断ったと同時に食い殺された。
お腹から血がドバッと出て死にかけた...。
どんどん体が冷たくなっていくのを感じる中、奴はわしにこう呟いた。
「お前の愛したこの国を滅ぼそう...」
そう言われた時、わしの表情は硬直した。
そんなわしを見た奴は笑う。
「いいなその表情...、これだから人間を弄ぶのはやめられない...!」
そのまま奴はダンジョンの外に出て行った。
わしは悔しさと無力さで怒りに震えた。
そんな時になって奇跡が起きたのじゃ。
ダンジョンの奥から声が聞こえてきてこう囁いてくる...。
「指揮能力は充分、魔力と肉体の強さも人間にしておくにはおしい...、あなた...、よければ次の冥帝にならない?」
その声とは先代の冥帝じゃった。
そう...、このダンジョンの本来の姿は、冥帝の墓だったのだとこの時になって気がつく。
「冥帝になればカズラを倒せるのか...?」
「勿論...、あなたの死んだ仲間達も忠実な僕として蘇るわ...、勿論私の仲間達もね...」
そうして先代冥帝の仲間達と冥帝としての実力をつけるために、わしは数年...あるいは数十年の時をダンジョンの中で過ごした...。
貧弱な人間の体を冥帝の物に作り変えるのにはそれだけの時を必要とした。
徐々にわしの体は人間のものでは無くなり、魔物のそれにへと変化していく感覚は二度と味わいたくない...。
全身に響く激痛に耐えきったわしの風貌は変貌していた。
髪は真っ白に脱色しており、目は左右の色が違う。
更に以前には見られなかった狼の耳と猫の尻尾に戸惑いは隠せなかったが、身体中にみなぎる魔法力にだけは歓喜しておった...。
わしは急いでダンジョンから抜け出し、故郷の国へと帰還したのじゃが...。
それだけの時が過ぎれば当然...。
『砂漠の国アイシアは完全に地図から消滅し、ただの砂漠が広がるのみの領域』
そうなっているのは必然じゃった。
生まれ故郷がそうなっていたのを見た私は復讐を誓う。
何年かかろうとも笑極の魔王を討伐する...。
と。
夕日で紅く染まる、故郷だった砂海の砂を踏みしめながら、一歩また一歩と進むのだった...。
断ったと同時に食い殺された。
お腹から血がドバッと出て死にかけた...。
どんどん体が冷たくなっていくのを感じる中、奴はわしにこう呟いた。
「お前の愛したこの国を滅ぼそう...」
そう言われた時、わしの表情は硬直した。
そんなわしを見た奴は笑う。
「いいなその表情...、これだから人間を弄ぶのはやめられない...!」
そのまま奴はダンジョンの外に出て行った。
わしは悔しさと無力さで怒りに震えた。
そんな時になって奇跡が起きたのじゃ。
ダンジョンの奥から声が聞こえてきてこう囁いてくる...。
「指揮能力は充分、魔力と肉体の強さも人間にしておくにはおしい...、あなた...、よければ次の冥帝にならない?」
その声とは先代の冥帝じゃった。
そう...、このダンジョンの本来の姿は、冥帝の墓だったのだとこの時になって気がつく。
「冥帝になればカズラを倒せるのか...?」
「勿論...、あなたの死んだ仲間達も忠実な僕として蘇るわ...、勿論私の仲間達もね...」
そうして先代冥帝の仲間達と冥帝としての実力をつけるために、わしは数年...あるいは数十年の時をダンジョンの中で過ごした...。
貧弱な人間の体を冥帝の物に作り変えるのにはそれだけの時を必要とした。
徐々にわしの体は人間のものでは無くなり、魔物のそれにへと変化していく感覚は二度と味わいたくない...。
全身に響く激痛に耐えきったわしの風貌は変貌していた。
髪は真っ白に脱色しており、目は左右の色が違う。
更に以前には見られなかった狼の耳と猫の尻尾に戸惑いは隠せなかったが、身体中にみなぎる魔法力にだけは歓喜しておった...。
わしは急いでダンジョンから抜け出し、故郷の国へと帰還したのじゃが...。
それだけの時が過ぎれば当然...。
『砂漠の国アイシアは完全に地図から消滅し、ただの砂漠が広がるのみの領域』
そうなっているのは必然じゃった。
生まれ故郷がそうなっていたのを見た私は復讐を誓う。
何年かかろうとも笑極の魔王を討伐する...。
と。
夕日で紅く染まる、故郷だった砂海の砂を踏みしめながら、一歩また一歩と進むのだった...。
0
お気に入りに追加
210
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

十人十色の強制ダンジョン攻略生活
ほんのり雪達磨
ファンタジー
クリアしなければ、死ぬこともできません。
妙な部屋で目が覚めた大量の人種を問わない人たちに、自称『運営』と名乗る何かは一方的にそう告げた。
難易度別に分けられたダンジョンと呼ぶ何かにランダムに配置されていて、クリア条件を達成しない限りリスポーンし続ける状態を強制されてしまった、らしい。
そんな理不尽に攫われて押し付けられた人たちの強制ダンジョン攻略生活。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる