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この魚美味いな...【改】

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 アリカ達が帰った後、私は社内からそっと身を出して魚を貪った。

 生のまま丸呑みにしたがなかなかイケる。

「なかなか美味いな...」

 私ことケロナ=あまみん☆はアリカに作られたモンスターだ。

 だが、彼女の言いなりになるなんてまっぴらごめんである。

 私は私なりに自由に過ごし楽しく生きて行きたいのだ。

 とは言えこっちの世界のことはあまり知らないので、取り敢えずこの社内に住み着いたのであった。

 もう誰も住んでいないらしく、所々傷んでいるがモンスターである私には関係ない。

 むしろダンジョンっぽさがあるので落ち着きすら感じる始末。

 その場に寝転んで昼寝をしていると、何やら外から声が聞こえてきた。

 赤子を抱いた女性が何やら言っていたので聞き耳を立ててみる。

「ケロ次郎様...どうかこの子をお救いくださいませ...、高熱が止まらずこのままでは衰弱死してしまいます...、村の医師にはサンズ花があれば助かると言われたのですが、子供の看病をしながら東に3つ山を越えなくては行けないところに生えているらしいので取ってこれません...、どうかこの子をお救いください...」

 そう言いながら大福餅をお供えした後に帰って行った。

 全く...、こんな時に神頼みとは...、自分の子供が本当に心配なら自分で取りに行けと言いたい。

 お祈りを捧げている暇があるのであれば、その時間を看病に当ててろ...と私は思ったのだが、美味しそうな大福餅につい目が止まった。

 まあるくて白い形は食欲をそそってくる。

 いつのまにか唾液を止める事が不可能になっており、ついつい食べてしまった。

「美味い♡!!」

 思わず笑みがこぼれてしまうほど甘いその大福に心を打たれた私は、仕方なくサンズ花を取って来ることにした。

 後でまた大福を貰えると思っての行動なので、決してあの赤子が心配なわけでは無い。

「全く仕方ないなぁ...、ちょっとだけ手を貸してやるか...」

 やる気なんて全く無いが大福を食べてしまったしな...、ちょっとだけ働いてやる事にしよう。

 そうした気分の問題だが、今はあの大福餅をもう一度食べたいという欲求だけで私は動いている。

「ああ、...」

 私の頭の中は「大福」の二文字だけを写しており、そのための引き換え権であるサンズ花を探す為、ちょっとした冒険に出ることにした。
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