ゲスいお嬢様的日常(仮)

胸の轟

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お昼はカレーうどんを食べた。

カレーで制服を汚さないという難しいミッションをやり過ごし、灘流が駆けつける最悪の事態は免れた。


免れたのに…。





なんでこんなことに…。


どこで選択肢を誤ったのだろう。


ぶち当たって来た相手の足をへし折るべきだったのだろうか。

それとも三秒ルールを適用して、チョコを食べれば良かったのだろうか。


森に行くべきじゃなかった?

森でロリコン野郎を見つけなきゃ駄目だった?


歌の選曲ミス?


分からない。


考えても考えても私には分からない。




絶望に飲み込まれそうな私を見かねたかのように、去来する誰かの言葉。



そうさ今こそアドベンチャー


数ある将来の夢の中に、冒険者も選択肢に入れなさいという神の御告げかもしれない。


わかりました。


冒険者を目指します。


冒険者なんてファンタジーな生き物は、この世界に生息してませんが、なんとなく目指してみます。


目指してる風のていで、うっすら目指します。



御告げ問題はクリアされたから、最初の問題に戻ろう。


果たして私は、無事答えにたどり着けるだろうか…



ともすれば不安の波に飲み込まれそうになり、絶望に震えながら、どれ程の時を過ごしただろう。


ふと、小さな小さな光が見えた。





もしかして…




「…カレー…うどん…?」


そうだ、カレーうどんだ。

カレーうどんに違いない。

何故こんな簡単なことに気付かなかったのだろう。


全ての事柄はカレーうどんを指しているというのに。


カレーうどんさえ選択しなければ、こんな結果にならなかった。


謎は全て解けたよじっちゃん。



「カレーうどん関係ないだろ。」

「三原君、私の思考の海に勝手に入ってこないでください。なんでカレーうどん関係ないって分かるの?」

「え、なんでって聞いちゃうんだ。」

「分からないことは聞くよ。」

「いやいや、分かるよね。どう考えても、この前グースカ寝てた結果の0点だよね。何の落ち度もないのに悪者にされたカレーうどんに、謝るべきだと思う。」

「三原君、確かに何の根拠もなく、カレーうどんを疑ったのは良くなかったと思う。でもね、カレーうどんだけが被害者じゃないんだよ。強いて言うなら皆被害者だよ。今回私は試験という悪しき風習が、果たして本当に必要なのか一石を投じる為、敢えて無謀な試みをしてみたわけ。与えられたことだけを、流されるようにこなすことに疑問も抱かない人々に、考えて行動することの重要性を知ってほしかった。自分で何も考えず、目の前に提示されたことをやり、誰かの敷いたレールを行けば人生は楽だと思う。けど、私達は常に考えなければいけないよ。考えることを止めたら駄目。考えて考えて、自分の最善をみつけなきゃいけない。そうして見つけた最善も、最善と呼べるものじゃないかもしれない。それでも、それはそれで良いと思う。私は抗い、もがき苦しみながら、社会や大人達に挑み、私らしく生きていきたい。出来れば皆にも、自分らしく生きてほしいって思う。…なんて偉そうなこと言っても結局、今回の一石はなんの爪痕も残せず終わってしまった。残せないだけなら良かったけど、私は、敗れた。完膚なきまでに。…無力な自分が悔しいよ。まあ、だからといって諦めたりはしないけどね。自分らしさを失わないために。」


「0点だったけどまた寝るし、皆も寝ればいいのにってことですねわかります。」



「…三原君。」
「どうした?」


私の声が、ちょっとだけ震えていたことに気付いた三原君が、真面目な顔で私を見つめる。




私は、制服で己の存在を誇示する憎き一点を指し示す。


ミッションクリアなら…ず…


灘流、ごめん…。私、汚れてしまった…


「…」
「…」


三原君は真剣な面持ちで私を見ると




「何この無駄シリアス。」





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