上 下
1 / 8

地震が起きた日

しおりを挟む
妻が好きだ。
愛しさがあふれて、たまらない。

一刻も早く仕事を終えて、妻との時間を楽しみたい。
そのために業務効率化をしているようなものだ。

何か不測の事態に対応しなくてはならない時以外、定時で真っ直ぐ帰宅する日々。
部下を飲みに誘って「パワハラ」だの「アルハラ」だの言われるリスクは、全くない。

とにかく、一刻も早く愛しい妻のもとへ帰りたい。

共同作業で料理をするのも、一緒に食事をするのも、愛に満ち溢れた時間だ。

冷蔵庫にある食材は、把握している。
いつも通り、一応、メニューを考えておきつつ、妻の希望も聞いて二人で決めよう。





地震だ!



妻は、今、どういう状況だろうか?
怖がって、震えていたりはしないだろうか?
気になる。
今すぐ帰宅したくなった。

正直、目の前に居る部下達のことよりも、妻が気になる。

私の愛妻家っぷりは社内中で有名だから、たぶん、今、妻のことが心配で心配でたまらないのが、駄々漏だだもれになっているだろう。



はっ!
無自覚に、考えていることを口に出していたらしい。

まぁ、いいだろう。
不倫願望者よけになるからな。

「愛妻家萌え」とかいう人種は、愛妻家認定取り消しに該当する言動にガンえするらしい。
危ないと思えば、ガン萎えさせればいい。
萌えネタの提供だけで済むなら、お安い御用だ。



地震がおさまった。
これで業務に集中できる。



さぁ、定時で帰宅だ。
部下が定時帰宅できる雰囲気ふんいきを作るのも、私にとっては仕事のうちだ。
未婚の部下達には、婚活の時間も作ってやらないとな。

それらは後付けの理由で、一番は「早く妻のもとへ帰りたい」からだけど。

とにかく、妻が恋しくて恋しくて、たまらない。

もう定年近い歳で、結婚生活も長いが、妻に飽きたことがない。
「愛妻家」というよりは「妻偏愛家」だろうか?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

拝啓、婚約者さま

松本雀
恋愛
――静かな藤棚の令嬢ウィステリア。 婚約破棄を告げられた令嬢は、静かに「そう」と答えるだけだった。その冷静な一言が、後に彼の心を深く抉ることになるとも知らずに。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

身分差婚~あなたの妻になれないはずだった~

椿蛍
恋愛
「息子と別れていただけないかしら?」 私を脅して、別れを決断させた彼の両親。 彼は高級住宅地『都久山』で王子様と呼ばれる存在。 私とは住む世界が違った…… 別れを命じられ、私の恋が終わった。 叶わない身分差の恋だったはずが―― ※R-15くらいなので※マークはありません。 ※視点切り替えあり。 ※2日間は1日3回更新、3日目から1日2回更新となります。

上司は初恋の幼馴染です~社内での秘め事は控えめに~

けもこ
恋愛
高辻綾香はホテルグループの秘書課で働いている。先輩の退職に伴って、その後の仕事を引き継ぎ、専務秘書となったが、その専務は自分の幼馴染だった。 秘めた思いを抱えながら、オフィスで毎日ドキドキしながら過ごしていると、彼がアメリカ時代に一緒に暮らしていたという女性が現れ、心中は穏やかではない。 グイグイと距離を縮めようとする幼馴染に自分の思いをどうしていいかわからない日々。 初恋こじらせオフィスラブ

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

一夜の男

詩織
恋愛
ドラマとかの出来事かと思ってた。 まさか自分にもこんなことが起きるとは... そして相手の顔を見ることなく逃げたので、知ってる人かも全く知らない人かもわからない。

ハイスペック上司からのドSな溺愛

鳴宮鶉子
恋愛
ハイスペック上司からのドSな溺愛

処理中です...