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第3部
【8】因縁の再会⑪(~策士の桃華)
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【8ー⑪】
廉さんのぶっ飛び発言に私と暁さんが同時に声を上げると、早智さんが手を重ね合わせて賛同する。
「あ、それいいかも! 二人は年齢的にも釣り合うし、なんか暁を見ていたら、タマちゃんへの愛情が もう半端ないっていうの? あまりの溺愛っぷりに呆れーーいや、感心するわぁ。
だからもうこの際、結婚しちゃえばいいんじゃないの? そうすれば いつも手元にタマちゃん置いておけるし、そうなったら暁も安心でしょ?」
「は? 早智まで何言ってーーー」
すると暁さんの言葉に被せるように綾乃さんの声も重なる。
「うんうん、それ私も同じ事 思ってた。暁ってさ、絶対タマちゃん中毒だよね。学校でもタマちゃんの話ばっかりだし、もう可愛くて仕方ないって感じ?
しかもさっきから惚気られているとしか思えないラブラブっぷりまで見せつけられて、目のやり場に困るったら。それにマスターさんに食って掛かるのも、それって完全に男の嫉妬でしょ?
わあ~暁にもそんな可愛い一面があったんだ。もう外見だけのチャラ男なんか卒業してさ、桃華達に続いてタマちゃんと結婚すれば? もたもたしてたら本当にマスターさんに取られちゃうよ~?」
「そうそう、どう見てもマスターさんの方が大人で経済力もあって、しかもイケメンでカッコいいし、すごく魅力的だものね~
私は暁なんかよりマスターさんの方が好みだけど、マスターさんはホントに暁にタマちゃんを渡してもいいの? マスターさんが本気出せばタマちゃんだってイチコロだと思うけど?」
早智さんが言うと、廉さんはニッコリ笑って暁さんの背中をポンと#叩く。
「うふふ、ありがとう。だけど私はやっぱり男にしか恋愛感情が動かないの。だからタマちゃんに家族愛はあっても女としては愛してあげられないから、それだと私はともかくタマちゃんが可哀想でしょ?
それで私は最初の結婚に失敗したのだもの。自分を偽った生活はそう長くは持たないものよ? でも暁ならタマちゃんを託しても安心出来るし、なんといっても私の可愛い甥っ子だもの。
だから暁がタマちゃんと結婚してくれれば、必然的にタマちゃんとは身内同士になれるから私は すごく嬉しいし、私はタマちゃんが暁を選ぶなら それで構わないと思っているわーーね、暁? どうかしらね?」
それを聞いた暁さんは大きなため息をついた。
「はああ………当人無視して勝手に話を盛り上げてからに、今更こっちに「どうかしら?」とか聞くなよな。 しかも俺が どうとか以前に珠の意思が何より尊重すべき最優先事項だろうが。
それに珠はまだ高校生だ。話題にはもっと気を遣えよ。それでなくとも今の一連の話自体、未成年の前でする話じゃねーからな?」
すると今度は桃華さんが自分の弟の緋色くんの背中を強めに叩く。
「痛っ、なんだよ」
「なんだよ、じゃないわ! 緋色! なんであんたは黙って聞いてるの?「ちょっと待ったあぁぁ!!」とか、あんたも参戦しないとダメじゃない! そんな悠長に構えてたら、あんたのタマちゃんが取られちゃうよ!?」
途端、緋色くんの眉間に不機嫌な皺がよる。
「はあ? なんで俺が参戦しなきゃならないんだよ。それに橘先輩は俺のでもなんでも無いから。しかも、こういう事は部外者が口を挟まない方がいいだろ?」
「おバカさんね。さっきも言ったけれど、こういう『恋の鞘当て』は先手必勝、早い者勝ちなんだよ? 後手に回れば回るほど不利になるんだから!
あんたは二人に比べたら昨日の今日で かなり出遅れハンデがあるけれど、それでも断然若くて、しかもタマちゃんは年下好みなのよ?
それにあんたの外見はタマちゃんの好みにドストライクなんですって。それにつけ込まない手はないでしょ!
あんたは我が弟ながらイケメンで頭も賢い方だし習い事のスキルも充実してるし、一見 無愛想だけれど、それだって異性にしてみればギャップ萌えの要因なんだから! それを証拠に中学でも女の子達にかなりモテてたじゃないの」
「だからなに? そんなの今、関係ある話? はあ………桃華姉、なんでもかんでも恋愛に結びつけるのやめてくれない? こっちはその気すら全くないのに、すごい迷惑」
「ううっ、顔は すごく可愛いのに性格が可愛くない。少しくらい素直になりなさいよ。そんなんじゃ、いくらイケメンでも女の子に相手にされないんだから」
「別に女にモテたいわけじゃないし、向こうが勝手に騒いでいるだけだろ? しかも待ち伏せしたり、あげく後までついて来られるとか、ストーカーと大差ない。所詮女なんて自己中の馬鹿ばっかりだ」
「はあ………あんたの女嫌いにも困ったものね。まあ、されてきた仕打ちを考えれば仕方ないかもしれないけれど、全ての女がそんなのばっかりだと思われるのは心外よ。中にはまともな子だっているんだから」
そんな姉弟の会話を聞いて、私はギクリとする。もしや彼の女嫌いというのは、私が『原因』だったりする?
ストーカーは私じゃないにせよーーあ、昨日帰ろうとした緋色くんを追っかけてって、エレベーターのドアを足で止めたんだっけ………があぁん、私って、ス、ストーカー!?
しかも過去にトラウマを植え付けたっていうし、もし彼の女嫌いが私のせいなら責任重大だよ! 頭が爆発しただの、生きてるか? だの自分の心配してるどころじゃなかった!!
【8ー続】
廉さんのぶっ飛び発言に私と暁さんが同時に声を上げると、早智さんが手を重ね合わせて賛同する。
「あ、それいいかも! 二人は年齢的にも釣り合うし、なんか暁を見ていたら、タマちゃんへの愛情が もう半端ないっていうの? あまりの溺愛っぷりに呆れーーいや、感心するわぁ。
だからもうこの際、結婚しちゃえばいいんじゃないの? そうすれば いつも手元にタマちゃん置いておけるし、そうなったら暁も安心でしょ?」
「は? 早智まで何言ってーーー」
すると暁さんの言葉に被せるように綾乃さんの声も重なる。
「うんうん、それ私も同じ事 思ってた。暁ってさ、絶対タマちゃん中毒だよね。学校でもタマちゃんの話ばっかりだし、もう可愛くて仕方ないって感じ?
しかもさっきから惚気られているとしか思えないラブラブっぷりまで見せつけられて、目のやり場に困るったら。それにマスターさんに食って掛かるのも、それって完全に男の嫉妬でしょ?
わあ~暁にもそんな可愛い一面があったんだ。もう外見だけのチャラ男なんか卒業してさ、桃華達に続いてタマちゃんと結婚すれば? もたもたしてたら本当にマスターさんに取られちゃうよ~?」
「そうそう、どう見てもマスターさんの方が大人で経済力もあって、しかもイケメンでカッコいいし、すごく魅力的だものね~
私は暁なんかよりマスターさんの方が好みだけど、マスターさんはホントに暁にタマちゃんを渡してもいいの? マスターさんが本気出せばタマちゃんだってイチコロだと思うけど?」
早智さんが言うと、廉さんはニッコリ笑って暁さんの背中をポンと#叩く。
「うふふ、ありがとう。だけど私はやっぱり男にしか恋愛感情が動かないの。だからタマちゃんに家族愛はあっても女としては愛してあげられないから、それだと私はともかくタマちゃんが可哀想でしょ?
それで私は最初の結婚に失敗したのだもの。自分を偽った生活はそう長くは持たないものよ? でも暁ならタマちゃんを託しても安心出来るし、なんといっても私の可愛い甥っ子だもの。
だから暁がタマちゃんと結婚してくれれば、必然的にタマちゃんとは身内同士になれるから私は すごく嬉しいし、私はタマちゃんが暁を選ぶなら それで構わないと思っているわーーね、暁? どうかしらね?」
それを聞いた暁さんは大きなため息をついた。
「はああ………当人無視して勝手に話を盛り上げてからに、今更こっちに「どうかしら?」とか聞くなよな。 しかも俺が どうとか以前に珠の意思が何より尊重すべき最優先事項だろうが。
それに珠はまだ高校生だ。話題にはもっと気を遣えよ。それでなくとも今の一連の話自体、未成年の前でする話じゃねーからな?」
すると今度は桃華さんが自分の弟の緋色くんの背中を強めに叩く。
「痛っ、なんだよ」
「なんだよ、じゃないわ! 緋色! なんであんたは黙って聞いてるの?「ちょっと待ったあぁぁ!!」とか、あんたも参戦しないとダメじゃない! そんな悠長に構えてたら、あんたのタマちゃんが取られちゃうよ!?」
途端、緋色くんの眉間に不機嫌な皺がよる。
「はあ? なんで俺が参戦しなきゃならないんだよ。それに橘先輩は俺のでもなんでも無いから。しかも、こういう事は部外者が口を挟まない方がいいだろ?」
「おバカさんね。さっきも言ったけれど、こういう『恋の鞘当て』は先手必勝、早い者勝ちなんだよ? 後手に回れば回るほど不利になるんだから!
あんたは二人に比べたら昨日の今日で かなり出遅れハンデがあるけれど、それでも断然若くて、しかもタマちゃんは年下好みなのよ?
それにあんたの外見はタマちゃんの好みにドストライクなんですって。それにつけ込まない手はないでしょ!
あんたは我が弟ながらイケメンで頭も賢い方だし習い事のスキルも充実してるし、一見 無愛想だけれど、それだって異性にしてみればギャップ萌えの要因なんだから! それを証拠に中学でも女の子達にかなりモテてたじゃないの」
「だからなに? そんなの今、関係ある話? はあ………桃華姉、なんでもかんでも恋愛に結びつけるのやめてくれない? こっちはその気すら全くないのに、すごい迷惑」
「ううっ、顔は すごく可愛いのに性格が可愛くない。少しくらい素直になりなさいよ。そんなんじゃ、いくらイケメンでも女の子に相手にされないんだから」
「別に女にモテたいわけじゃないし、向こうが勝手に騒いでいるだけだろ? しかも待ち伏せしたり、あげく後までついて来られるとか、ストーカーと大差ない。所詮女なんて自己中の馬鹿ばっかりだ」
「はあ………あんたの女嫌いにも困ったものね。まあ、されてきた仕打ちを考えれば仕方ないかもしれないけれど、全ての女がそんなのばっかりだと思われるのは心外よ。中にはまともな子だっているんだから」
そんな姉弟の会話を聞いて、私はギクリとする。もしや彼の女嫌いというのは、私が『原因』だったりする?
ストーカーは私じゃないにせよーーあ、昨日帰ろうとした緋色くんを追っかけてって、エレベーターのドアを足で止めたんだっけ………があぁん、私って、ス、ストーカー!?
しかも過去にトラウマを植え付けたっていうし、もし彼の女嫌いが私のせいなら責任重大だよ! 頭が爆発しただの、生きてるか? だの自分の心配してるどころじゃなかった!!
【8ー続】
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