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第3部
【8】因縁の再会②(~逃げた?姉貴)
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【8ー②】
ーー橘家ーー
「ーーただいま、母さん。姉ちゃんは?」
「お帰り、あら? 奏くんも。いらっしゃい」
「おはようございます。朝からすいません。お邪魔します」
橘家では丁度 母が居間で掃除機をかけているところへ息子の康介が奏を連れて帰ってきた。 そんな母は掃除機をかけるのを止めると二人の方にやって来る。
「ちょっと! 康介。昨日 何があったの? お姉ちゃんがまた何かやらかしたみたいじゃない」
それを聞いて康介は自分の頭をポリポリと掻く。
「あ~ まあ、ちょっとな。 ーー姉ちゃんから聞いてねーの?」
すると母は首を横に振る。
「もう、あの子ったら超恥ずかしいからって言わないのよ。昨晩の電話では『下着』がどうとか言っていたけど、どういう事なの?」
「ああ、いや、そんな大した事じゃねーよ。ちょっとした手違いってヤツだから」
康介が片手を振って「何でもない」と示すも母は更に食い下がって聞いてくる。
「大した事じゃないって、そんなわけないでしょ! 昨晩の あの子の動揺っぷりから見ても、ただ事じゃなかったわ。
しかも奏くんに「会わせる顔が無い」だの「もうお嫁に行けない」とか言って半泣き状態だったのよ? お父さんが心配して一生懸命宥めてたけど」
それを聞いた康介は呆れ顔で大きく ため息をつく。
「はああぁ~『二次元』の男しか愛せねーヤツがどこに嫁に行く気なんだよ。姉貴のヤツ、たったアレしきの事で いちいち反応が大袈裟だっつーの。
ーー母さん、姉貴のいつもの大ボケかましただけだから放っておいても大丈夫だ。気にすんな」
「気にすんなって言われても、それが恥ずかしい事だったら親としても恥ずかしいじゃない。しかも来年から社会人になるっていうのに少しは自覚して欲しいわ。
はあぁ~ 康介。本当に あの子、一体 何やらかしたの?」
「本人が言いたくねーっつうのを俺が言えるわけないだろ? それは姉ちゃん本人に直接聞いてくれ」
母は康介に聞いても無理だと判断すると、今度は一緒にいる奏に話しかける。
「もう康介ったら。 ーーねえ、奏くん。昨日珠里が奏くんにまた何か迷惑を掛けたんでしょう? 本当にいつもいつもごめんなさいね。
しかもあの子、奏くんと会わせる顔が無いとか言って、よっぽどお馬鹿な迷惑を掛けたのね? それでなくてもあの子の方が年上なのに困ったお姉さんで恥ずかしいわ。
だけど出来ればこれからも見捨てないでやって? あの子の性格に根気よく付き合えるのは奏くんしかいないと思うの」
そんな橘母の言葉に奏はフッと柔らかく笑う。
「大丈夫です、友里さん。僕は珠里さんから全然迷惑なんて掛けられていないです。寧ろ僕の方が珠里さんに沢山お世話になっていて、すごく感謝しています。
これからも僕の方が珠里さんから頼ってもらえるような男になれる様、日々精進しないと駄目だと思っていますから」
すると橘母は片手で自分の腰に手を添え下を向いたまま、もう片方の手で息子の康介の肩をバンバンと叩く。
「ちょい、痛ってェーだろ!って、母さん。何すんだ!」
そんな康介が母の手を避けるように後退する。
「………はあぁ、さすがは紗菜ちゃんの自慢の息子。すごく性格が良い子な上、しかも目茶苦茶カッコいいときてる。これは女の子達に大人気なのも分かるわあ。
それなのに珠里ったら、こんなにカッコいい男の子が身近にいるっていうのにゲームの中の男の子にしか興味が無いだなんて、あの子の女性としての感覚は一体どうなっているのかしら?
一応 女の子として普通に育ててきたはずなんだけど、どこをどう間違ったのかしらね。 はあ………やっぱり珠里に奏くんは勿体無いわ。
ーー紗菜ちゃん、ごめん。我が娘ながら多分無理。期待には添えないわ。
………康介、あんただけは、まっとうに人生を送って普通に結婚して頂戴。そして孫の顔を私達に見せてね。珠里には とても期待出来そうにもないから」
「おいおい、今から諦めんのはまだ早えぇーから! しかも俺に全てを託すんじゃねぇよ。俺だって、まだ16になったばっかだゼ?
それなのに結婚とか孫とか何言ってんだ! そんな未来の事なんか誰にも分かるわけねーだろうが」
「………はあぁ、本当にあんたは可愛くないくらいに大人よね。子供の珠里と足して二で割れば丁度いいのにーーー」
「は、冗談だろ? 俺はあんなのと一緒にされたかねーわ!」
そんな橘親子の家族問題に揺れる?中、奏が周囲を一周見渡しながら口を開く。
「友里さん。康介との話の途中で ごめんなさい。あの、珠里さんの姿が見えない様なんですけど、部屋にいますか?」
続けて康介も居間の扉の方に向かい二階の階段を覗く。
「母さん。姉ちゃんって部屋にいんの? もう9時になるのに、まだ寝てるってわけねーよな?」
その問いに母が掛け時計を見て答える。
「ああ、珠里ならもう出掛けていないわよ?」
「はあ? 姉貴のヤツ、やっぱ逃げやがったな! 間が開くと気不味くなると思って、こっちは今日の予定を後回しにして来たってんのに、しかも部屋に下着すら脱ぎ散らかしている女が今更何ビビってんだって。 馬鹿だなアイツ」
康介がやれやれと言わんばかりに深い ため息をつくと母が片手を振る。
「康介、珠里が逃げたかどうかはさておき、あの子、今日11時から結婚パーティーがあるんだって。それで一時間くらい前に出掛けたのよ」
「あ? 結婚パーティーだって? そんなのあるなんて姉ちゃん今まで全然言ってなかっただろ。だからやっぱ俺達から逃げる為の嘘の口実じゃねーの? しかも8時くらいから出掛けるってんのも、どう考えても早すぎるしな」
「それが昨日のバイトに行った時に、そこで招待状を貰ったんですって。どうやらパーティー会場もバイト先で行うらしくて、昨日はそのお手伝いだったらしいの。そうしたら新婦の身内が珠里の昔の知り合いだったみたいで、それでお招ばれされんですって」
「ふぅん? 姉ちゃんの昔の知り合いってどんなヤツ?」
「それがねえ~ あの子ったら、すっかり忘れてしまっていて相手を覚えていないんだって。だから思い出す為にも出席するって言ってたのよ?
そんな知り合いの顔も忘れるって、あり得ないわよねぇ。まあ、ある意味あの子らしいけど」
「おい、母さん、マジか。 いくらなんでも顔も覚えてねーヤツの所に行かせるなんて、それってヤベぇーだろ!」
「それはそうなんだけれど、まあ、会場がバイト先だっていうし、いつも お世話になっているマスターさんもいるからそこは大丈夫でしょ。
それに相手は同じ学校のあんた達と同じ一年生の男の子らしいわよ? 珠里はもしかしたら康介の知り合いじゃないかって言ってたけどね」
「ああ? 同じ学校で俺達と同学だって? ソイツの名前なんて言ってた?」
「う~ん、なんだったかなあ。あの子、後で康介に聞いてみるって言ってたから、そこまではっきりとは聞いてないのよね」
「母さん、そこは一番に聞くところじゃね? でも姉ちゃんのヤツ、さっきから電話しても全然 繋がらなねぇんだよな。メール入れても返信すらよこさねーし。まだ電車の中だからなんかなあ?」
「康介、その事なんだけど、あの子、携帯 充電したまま持っていくの忘れて出掛けちゃったのよ。だからいくら鳴らしても無駄よ」
そんな母が指差す方向には、充電したままの珠里のスマホが寂しく残されていた。
「………マジか。充電したまま忘れるのは誰にでもある事だからしょうがないにしても、やっぱアイツ『ヌケサク』だな。ーーなあ、奏、どうする?」
康介が奏に視線を送ると、奏が小さく息をついた。
「行くに決まってる。ーー悪い、康介。予定は変更させてもらう」
すると康介も奏の背中をポンと叩いて同じく息をついた。
「ーーだろうな。それに全然悪かねーよ。自分の姉貴の事だしな。しかも その一年の男っつーのも気になるし、放っておけねーだろ。
それにしても、なんだって姉貴のヤツ、あんなんでいて意外にも男の交友範囲が広いんだよ。そんで逆に女の友人は殆んどいねーんだもんな。
姉貴は女には嫌われるけど男には好かれるタイプってヤツなのか? だとしたら色々面倒クセー事になりそうだな。
奏、退く気がないなら出遅れんなよ? 今のところ、お前が一番“有利”で一番“不利”かもしんねぇんだからな」
「…………ああ、分かってる」
【8ー続】
ーー橘家ーー
「ーーただいま、母さん。姉ちゃんは?」
「お帰り、あら? 奏くんも。いらっしゃい」
「おはようございます。朝からすいません。お邪魔します」
橘家では丁度 母が居間で掃除機をかけているところへ息子の康介が奏を連れて帰ってきた。 そんな母は掃除機をかけるのを止めると二人の方にやって来る。
「ちょっと! 康介。昨日 何があったの? お姉ちゃんがまた何かやらかしたみたいじゃない」
それを聞いて康介は自分の頭をポリポリと掻く。
「あ~ まあ、ちょっとな。 ーー姉ちゃんから聞いてねーの?」
すると母は首を横に振る。
「もう、あの子ったら超恥ずかしいからって言わないのよ。昨晩の電話では『下着』がどうとか言っていたけど、どういう事なの?」
「ああ、いや、そんな大した事じゃねーよ。ちょっとした手違いってヤツだから」
康介が片手を振って「何でもない」と示すも母は更に食い下がって聞いてくる。
「大した事じゃないって、そんなわけないでしょ! 昨晩の あの子の動揺っぷりから見ても、ただ事じゃなかったわ。
しかも奏くんに「会わせる顔が無い」だの「もうお嫁に行けない」とか言って半泣き状態だったのよ? お父さんが心配して一生懸命宥めてたけど」
それを聞いた康介は呆れ顔で大きく ため息をつく。
「はああぁ~『二次元』の男しか愛せねーヤツがどこに嫁に行く気なんだよ。姉貴のヤツ、たったアレしきの事で いちいち反応が大袈裟だっつーの。
ーー母さん、姉貴のいつもの大ボケかましただけだから放っておいても大丈夫だ。気にすんな」
「気にすんなって言われても、それが恥ずかしい事だったら親としても恥ずかしいじゃない。しかも来年から社会人になるっていうのに少しは自覚して欲しいわ。
はあぁ~ 康介。本当に あの子、一体 何やらかしたの?」
「本人が言いたくねーっつうのを俺が言えるわけないだろ? それは姉ちゃん本人に直接聞いてくれ」
母は康介に聞いても無理だと判断すると、今度は一緒にいる奏に話しかける。
「もう康介ったら。 ーーねえ、奏くん。昨日珠里が奏くんにまた何か迷惑を掛けたんでしょう? 本当にいつもいつもごめんなさいね。
しかもあの子、奏くんと会わせる顔が無いとか言って、よっぽどお馬鹿な迷惑を掛けたのね? それでなくてもあの子の方が年上なのに困ったお姉さんで恥ずかしいわ。
だけど出来ればこれからも見捨てないでやって? あの子の性格に根気よく付き合えるのは奏くんしかいないと思うの」
そんな橘母の言葉に奏はフッと柔らかく笑う。
「大丈夫です、友里さん。僕は珠里さんから全然迷惑なんて掛けられていないです。寧ろ僕の方が珠里さんに沢山お世話になっていて、すごく感謝しています。
これからも僕の方が珠里さんから頼ってもらえるような男になれる様、日々精進しないと駄目だと思っていますから」
すると橘母は片手で自分の腰に手を添え下を向いたまま、もう片方の手で息子の康介の肩をバンバンと叩く。
「ちょい、痛ってェーだろ!って、母さん。何すんだ!」
そんな康介が母の手を避けるように後退する。
「………はあぁ、さすがは紗菜ちゃんの自慢の息子。すごく性格が良い子な上、しかも目茶苦茶カッコいいときてる。これは女の子達に大人気なのも分かるわあ。
それなのに珠里ったら、こんなにカッコいい男の子が身近にいるっていうのにゲームの中の男の子にしか興味が無いだなんて、あの子の女性としての感覚は一体どうなっているのかしら?
一応 女の子として普通に育ててきたはずなんだけど、どこをどう間違ったのかしらね。 はあ………やっぱり珠里に奏くんは勿体無いわ。
ーー紗菜ちゃん、ごめん。我が娘ながら多分無理。期待には添えないわ。
………康介、あんただけは、まっとうに人生を送って普通に結婚して頂戴。そして孫の顔を私達に見せてね。珠里には とても期待出来そうにもないから」
「おいおい、今から諦めんのはまだ早えぇーから! しかも俺に全てを託すんじゃねぇよ。俺だって、まだ16になったばっかだゼ?
それなのに結婚とか孫とか何言ってんだ! そんな未来の事なんか誰にも分かるわけねーだろうが」
「………はあぁ、本当にあんたは可愛くないくらいに大人よね。子供の珠里と足して二で割れば丁度いいのにーーー」
「は、冗談だろ? 俺はあんなのと一緒にされたかねーわ!」
そんな橘親子の家族問題に揺れる?中、奏が周囲を一周見渡しながら口を開く。
「友里さん。康介との話の途中で ごめんなさい。あの、珠里さんの姿が見えない様なんですけど、部屋にいますか?」
続けて康介も居間の扉の方に向かい二階の階段を覗く。
「母さん。姉ちゃんって部屋にいんの? もう9時になるのに、まだ寝てるってわけねーよな?」
その問いに母が掛け時計を見て答える。
「ああ、珠里ならもう出掛けていないわよ?」
「はあ? 姉貴のヤツ、やっぱ逃げやがったな! 間が開くと気不味くなると思って、こっちは今日の予定を後回しにして来たってんのに、しかも部屋に下着すら脱ぎ散らかしている女が今更何ビビってんだって。 馬鹿だなアイツ」
康介がやれやれと言わんばかりに深い ため息をつくと母が片手を振る。
「康介、珠里が逃げたかどうかはさておき、あの子、今日11時から結婚パーティーがあるんだって。それで一時間くらい前に出掛けたのよ」
「あ? 結婚パーティーだって? そんなのあるなんて姉ちゃん今まで全然言ってなかっただろ。だからやっぱ俺達から逃げる為の嘘の口実じゃねーの? しかも8時くらいから出掛けるってんのも、どう考えても早すぎるしな」
「それが昨日のバイトに行った時に、そこで招待状を貰ったんですって。どうやらパーティー会場もバイト先で行うらしくて、昨日はそのお手伝いだったらしいの。そうしたら新婦の身内が珠里の昔の知り合いだったみたいで、それでお招ばれされんですって」
「ふぅん? 姉ちゃんの昔の知り合いってどんなヤツ?」
「それがねえ~ あの子ったら、すっかり忘れてしまっていて相手を覚えていないんだって。だから思い出す為にも出席するって言ってたのよ?
そんな知り合いの顔も忘れるって、あり得ないわよねぇ。まあ、ある意味あの子らしいけど」
「おい、母さん、マジか。 いくらなんでも顔も覚えてねーヤツの所に行かせるなんて、それってヤベぇーだろ!」
「それはそうなんだけれど、まあ、会場がバイト先だっていうし、いつも お世話になっているマスターさんもいるからそこは大丈夫でしょ。
それに相手は同じ学校のあんた達と同じ一年生の男の子らしいわよ? 珠里はもしかしたら康介の知り合いじゃないかって言ってたけどね」
「ああ? 同じ学校で俺達と同学だって? ソイツの名前なんて言ってた?」
「う~ん、なんだったかなあ。あの子、後で康介に聞いてみるって言ってたから、そこまではっきりとは聞いてないのよね」
「母さん、そこは一番に聞くところじゃね? でも姉ちゃんのヤツ、さっきから電話しても全然 繋がらなねぇんだよな。メール入れても返信すらよこさねーし。まだ電車の中だからなんかなあ?」
「康介、その事なんだけど、あの子、携帯 充電したまま持っていくの忘れて出掛けちゃったのよ。だからいくら鳴らしても無駄よ」
そんな母が指差す方向には、充電したままの珠里のスマホが寂しく残されていた。
「………マジか。充電したまま忘れるのは誰にでもある事だからしょうがないにしても、やっぱアイツ『ヌケサク』だな。ーーなあ、奏、どうする?」
康介が奏に視線を送ると、奏が小さく息をついた。
「行くに決まってる。ーー悪い、康介。予定は変更させてもらう」
すると康介も奏の背中をポンと叩いて同じく息をついた。
「ーーだろうな。それに全然悪かねーよ。自分の姉貴の事だしな。しかも その一年の男っつーのも気になるし、放っておけねーだろ。
それにしても、なんだって姉貴のヤツ、あんなんでいて意外にも男の交友範囲が広いんだよ。そんで逆に女の友人は殆んどいねーんだもんな。
姉貴は女には嫌われるけど男には好かれるタイプってヤツなのか? だとしたら色々面倒クセー事になりそうだな。
奏、退く気がないなら出遅れんなよ? 今のところ、お前が一番“有利”で一番“不利”かもしんねぇんだからな」
「…………ああ、分かってる」
【8ー続】
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