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3章 王立学院編ー後編―
21<一縷の望み>
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どれくらいだったのだろう。室内はいつの間にか薄闇に覆われている。暑いのに手足が思うように動かせず、脱いだ衣服は中途半端に身体に絡みついたままだ。
相変わらず鼓動は早く、身体中はどこもかしこも熱を持っていて、立ち上がろうとすると頭がクラクラする。
下半身を鎮めるために何度か自分で慰めたのだが一向に萎えることがない。そのうち疲れてしまって、今はもうただ薬の効果が切れるまで横たわっている。
(くそ……一体どこで間違えたんだよ)
調合は完璧だったはずだし詠唱も間違えていないはずだ。それにマンドレイクから媚薬ができるなんて聞いたことがない。
シーツと擦れるだけでも背筋がゾクゾクするほどの快感を感じてしまう。時間が経過すれば治まると思っていたのに、身体はどんどん熱くなってほんの少しの刺激にも反応する。
(やばい……あたま、ぼうっとしてきた……)
誰でもいいから、助けてほしい。そう思ったとき頭に浮かんだのは彼の顔だった。朦朧とする中、必死の思いで魔伝書鳩を呼び出すと「助けて」とだけメッセージを託す。
本当はもっと今の状況を的確かつ簡潔に説明したいのだが、思考がバラバラでどうにもまとめることができなかった。
来てくれるだろうか。一縷の望みを託して、地獄のような快楽を一人じっと耐える。どれくらいそうしていただろうか。
控えめにノックされたドアの音で意識がクリアになる。
「兄さん、いるの? 大丈夫? 早退したって聞いたよ」
扉の外から聞こえてきたのは弟の声だ。返事をしたいのに、声は喉に張り付いて出てこない。だが兄のこんな姿を見たらエディはショックを受けるかもしれない。
俺はほんの少しずつ動いて、なんとか下半身をブランケットで覆い、うまく使えない魔法を必死で操作して天蓋のカーテンをすべて下ろした。
その動きだけでも今の身体には過ぎた刺激で、萎えることのない昂りからは白い液が吐き出される。
「あ……んうっ」
やっとの思いで出した言葉はなんの意味も持たない嬌声だけだ。
「兄さん? 中にいるんでしょ?」
「眠ってるんじゃねーの。いいから中、入っちまおうぜ」
どうやらウォルターも一緒にいるようだ。
エディと俺は緊急用に互いの部屋の合鍵を持っているので今も入ることができる。しばらく2人は何か話し合っていたようだったが、やがてガチャガチャと鍵を開ける音がした。
「真っ暗だぞ。明かりもつけてないってことは本当に寝てるのかもな」
「うん。あ、ベッドにいるみたい。カーテンが全部降りてる」
2人の足音がこっちに向って近づいてくる。
(ダメだ……やっぱりこんな姿、見られたくない……頼むから出てってくれ…!)
観念して強く両目を瞑った瞬間、2人は別の大きな声が部屋に響いた。
「ベッドに近づくな!」
相変わらず鼓動は早く、身体中はどこもかしこも熱を持っていて、立ち上がろうとすると頭がクラクラする。
下半身を鎮めるために何度か自分で慰めたのだが一向に萎えることがない。そのうち疲れてしまって、今はもうただ薬の効果が切れるまで横たわっている。
(くそ……一体どこで間違えたんだよ)
調合は完璧だったはずだし詠唱も間違えていないはずだ。それにマンドレイクから媚薬ができるなんて聞いたことがない。
シーツと擦れるだけでも背筋がゾクゾクするほどの快感を感じてしまう。時間が経過すれば治まると思っていたのに、身体はどんどん熱くなってほんの少しの刺激にも反応する。
(やばい……あたま、ぼうっとしてきた……)
誰でもいいから、助けてほしい。そう思ったとき頭に浮かんだのは彼の顔だった。朦朧とする中、必死の思いで魔伝書鳩を呼び出すと「助けて」とだけメッセージを託す。
本当はもっと今の状況を的確かつ簡潔に説明したいのだが、思考がバラバラでどうにもまとめることができなかった。
来てくれるだろうか。一縷の望みを託して、地獄のような快楽を一人じっと耐える。どれくらいそうしていただろうか。
控えめにノックされたドアの音で意識がクリアになる。
「兄さん、いるの? 大丈夫? 早退したって聞いたよ」
扉の外から聞こえてきたのは弟の声だ。返事をしたいのに、声は喉に張り付いて出てこない。だが兄のこんな姿を見たらエディはショックを受けるかもしれない。
俺はほんの少しずつ動いて、なんとか下半身をブランケットで覆い、うまく使えない魔法を必死で操作して天蓋のカーテンをすべて下ろした。
その動きだけでも今の身体には過ぎた刺激で、萎えることのない昂りからは白い液が吐き出される。
「あ……んうっ」
やっとの思いで出した言葉はなんの意味も持たない嬌声だけだ。
「兄さん? 中にいるんでしょ?」
「眠ってるんじゃねーの。いいから中、入っちまおうぜ」
どうやらウォルターも一緒にいるようだ。
エディと俺は緊急用に互いの部屋の合鍵を持っているので今も入ることができる。しばらく2人は何か話し合っていたようだったが、やがてガチャガチャと鍵を開ける音がした。
「真っ暗だぞ。明かりもつけてないってことは本当に寝てるのかもな」
「うん。あ、ベッドにいるみたい。カーテンが全部降りてる」
2人の足音がこっちに向って近づいてくる。
(ダメだ……やっぱりこんな姿、見られたくない……頼むから出てってくれ…!)
観念して強く両目を瞑った瞬間、2人は別の大きな声が部屋に響いた。
「ベッドに近づくな!」
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