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2章 王立学院編ー前編―
16<腹黒ドS王子の独白※ジェラルド視点>
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身体の痛みを感じて意識が浮上した。
確かユージンの部屋にいたと思っていたが、いつのまにか戻っていたようだ。
それにしてもベッドではなくソファで着替えもせず寝るなんて、久しぶりにだらしないことをしてしまった。
今週末は公務もないし勉強も新学期を迎えたばかりでそれほど忙しい時期ではない。今日は久しぶりにゆっくりできそうだ。面倒なので魔法を使い一瞬で部屋に着替えるとベッドに横たわる。
ソファで寝てしまった俺が起きた時にはユージンも座ったまま眠っていた。その姿勢で長時間眠ったら身体を痛めてしまう。
俺はそっと彼を抱き上げるとベッドまで運んだ。そのまま帰るつもりだったのに、あどけない寝顔が可愛くてたまらなくて、ベッドに乗り上げるとしばらくそのまま寝顔を見つめてしまった。
そこから先は覚えていない。
「それにしても都合の良い夢をみたものだな」
夢の中の俺は、普段押し殺している心の中の欲望のままに行動していた。ユージンの羞恥で赤らんだ顔や潤んだ目、震えながら下着を履き替える姿、息も絶え絶えに喘ぐ声に己の嗜虐心を煽られた。
思い出すだけで下半身が兆してしまう。一国の王子らしからぬ獣そのものの自分に腹が立つ。
「……クソッ」
ユージンのことは大嫌いだった。俺の見た目にしか興味がないくせに、金にものを言わせて未来を奪った軽薄で頭の悪い、それでいて忌々しいほどの魔力を持つオメガ。それが彼に対する印象だった。
その上少しでも放っておくと騒いで自殺未遂を繰り返す。気に入らないことがあれば腕を切りつける。そんな彼を俺は心の底から嫌悪し、軽蔑していたのに。
自室から飛び降りるという最強に頭の悪い行動を起こしたと聞いたとき、俺の忍耐も限界を超えた。世の中、死ぬ死ぬと騒ぐ奴ほど伸び伸びと生きている。どんなにあいつが喚こうがしばらくは絶対に訪問しないと強く誓ったのに。
ところが久しぶりに会ったユージンはまるで別人になっていた。
目には強い意志の力が宿り、肌も髪も輝いて身体も細いが健康的になっている。小突き回していた義弟とも目を疑うほど仲良くなっていた。最初はいつもの気まぐれか、新たなバカ騒ぎの始まりかと疑っていたがユージンはその後もずっとそのままで今に至る。
強く頭を打った影響で脳が変化したらしい。連絡をしなくても多忙で訪問が延期になっても、今までのように騒ぎを起こすことは一切ない。婚約も自ら破棄したいと申し出てくれたし、素の姿を見せても幻滅せず当たり前のように自然に受け入れてくれている。
そんな彼に興味が湧き、恋愛的な意味ではなく仲良くしてもいいと思っていたはずだったのに。
いつも明るく笑顔で、自分のことより他者のことを大事にして行動するユージンに気付けば強い想いを抱くようになっていた。
まだその時ではないと思い適当に合わせているが、俺は婚約破棄などするつもりはない。ユージンには悪いが絶対にしない。俺の嫁になるのはユージンしかいない。
この一年、ユージンに恋をしているウォルターやエドワードがやってくる前に持てる力のすべてを駆使してユージンとの仲を深めてきたつもりだ。
学年が違うので、半ば強制的に彼を生徒会に所属させて共に過ごす時間を増やしに増やした。だが人誑しのユージンは面倒な奴らに気に入られてしまった。彼自身は無自覚なので質が悪い。
おかげで今ではルートヴィヒとジュリアンという新たな恋敵まで現れている。彼らはクレーニュの貴族ではなく隣国の大貴族と王子だ。こちらが隙を見せれば外交問題と絡めてユージンを奪うくらいの権力と頭脳は持っている。
婚約者としてだけでなく、ユージンの豊かな発想力と強い魔力はクレーニュの発展と繁栄のためにもとても大切だ。彼を奪われることは国としても大損失になる。
「ユージンは俺のものだ。誰にも渡さない」
いつもは奥底に沈み込ませているおぞましい欲望が増幅していく。ユージンの美しい心も身体も蹂躙したい。どこにも逃げられないように、俺以外の誰にも触れさせないように俺しか知らない場所に拘束してしまいたい。
そうして獣のような口づけをして、壊れるほど激しく突き上げて鳴かせたい。泣きながら快感に喘ぐユージンの顔が見たい。真珠色に輝く素肌のあちこちに噛み跡や紅い華を散らした姿が見たい。
彼のことを大切にしたい気持ちも確かに持っているのに、同じくらいの強さで彼を泣かせたいと思ってしまう。
想像しただけで自分の息が荒くなっているのがわかる。品行方正で誰より爽やかで穏やかな王子と言われる俺の本当の姿は、婚約者を激しく犯す妄想で興奮する異常者だ。
すでに腹につくほど立ち上がったものを処理するために、体勢を変えて目を瞑る。妄想の中で泣きながら乱れるユージンをいつか必ず現実のものにすると誓いながら俺は果てた。
確かユージンの部屋にいたと思っていたが、いつのまにか戻っていたようだ。
それにしてもベッドではなくソファで着替えもせず寝るなんて、久しぶりにだらしないことをしてしまった。
今週末は公務もないし勉強も新学期を迎えたばかりでそれほど忙しい時期ではない。今日は久しぶりにゆっくりできそうだ。面倒なので魔法を使い一瞬で部屋に着替えるとベッドに横たわる。
ソファで寝てしまった俺が起きた時にはユージンも座ったまま眠っていた。その姿勢で長時間眠ったら身体を痛めてしまう。
俺はそっと彼を抱き上げるとベッドまで運んだ。そのまま帰るつもりだったのに、あどけない寝顔が可愛くてたまらなくて、ベッドに乗り上げるとしばらくそのまま寝顔を見つめてしまった。
そこから先は覚えていない。
「それにしても都合の良い夢をみたものだな」
夢の中の俺は、普段押し殺している心の中の欲望のままに行動していた。ユージンの羞恥で赤らんだ顔や潤んだ目、震えながら下着を履き替える姿、息も絶え絶えに喘ぐ声に己の嗜虐心を煽られた。
思い出すだけで下半身が兆してしまう。一国の王子らしからぬ獣そのものの自分に腹が立つ。
「……クソッ」
ユージンのことは大嫌いだった。俺の見た目にしか興味がないくせに、金にものを言わせて未来を奪った軽薄で頭の悪い、それでいて忌々しいほどの魔力を持つオメガ。それが彼に対する印象だった。
その上少しでも放っておくと騒いで自殺未遂を繰り返す。気に入らないことがあれば腕を切りつける。そんな彼を俺は心の底から嫌悪し、軽蔑していたのに。
自室から飛び降りるという最強に頭の悪い行動を起こしたと聞いたとき、俺の忍耐も限界を超えた。世の中、死ぬ死ぬと騒ぐ奴ほど伸び伸びと生きている。どんなにあいつが喚こうがしばらくは絶対に訪問しないと強く誓ったのに。
ところが久しぶりに会ったユージンはまるで別人になっていた。
目には強い意志の力が宿り、肌も髪も輝いて身体も細いが健康的になっている。小突き回していた義弟とも目を疑うほど仲良くなっていた。最初はいつもの気まぐれか、新たなバカ騒ぎの始まりかと疑っていたがユージンはその後もずっとそのままで今に至る。
強く頭を打った影響で脳が変化したらしい。連絡をしなくても多忙で訪問が延期になっても、今までのように騒ぎを起こすことは一切ない。婚約も自ら破棄したいと申し出てくれたし、素の姿を見せても幻滅せず当たり前のように自然に受け入れてくれている。
そんな彼に興味が湧き、恋愛的な意味ではなく仲良くしてもいいと思っていたはずだったのに。
いつも明るく笑顔で、自分のことより他者のことを大事にして行動するユージンに気付けば強い想いを抱くようになっていた。
まだその時ではないと思い適当に合わせているが、俺は婚約破棄などするつもりはない。ユージンには悪いが絶対にしない。俺の嫁になるのはユージンしかいない。
この一年、ユージンに恋をしているウォルターやエドワードがやってくる前に持てる力のすべてを駆使してユージンとの仲を深めてきたつもりだ。
学年が違うので、半ば強制的に彼を生徒会に所属させて共に過ごす時間を増やしに増やした。だが人誑しのユージンは面倒な奴らに気に入られてしまった。彼自身は無自覚なので質が悪い。
おかげで今ではルートヴィヒとジュリアンという新たな恋敵まで現れている。彼らはクレーニュの貴族ではなく隣国の大貴族と王子だ。こちらが隙を見せれば外交問題と絡めてユージンを奪うくらいの権力と頭脳は持っている。
婚約者としてだけでなく、ユージンの豊かな発想力と強い魔力はクレーニュの発展と繁栄のためにもとても大切だ。彼を奪われることは国としても大損失になる。
「ユージンは俺のものだ。誰にも渡さない」
いつもは奥底に沈み込ませているおぞましい欲望が増幅していく。ユージンの美しい心も身体も蹂躙したい。どこにも逃げられないように、俺以外の誰にも触れさせないように俺しか知らない場所に拘束してしまいたい。
そうして獣のような口づけをして、壊れるほど激しく突き上げて鳴かせたい。泣きながら快感に喘ぐユージンの顔が見たい。真珠色に輝く素肌のあちこちに噛み跡や紅い華を散らした姿が見たい。
彼のことを大切にしたい気持ちも確かに持っているのに、同じくらいの強さで彼を泣かせたいと思ってしまう。
想像しただけで自分の息が荒くなっているのがわかる。品行方正で誰より爽やかで穏やかな王子と言われる俺の本当の姿は、婚約者を激しく犯す妄想で興奮する異常者だ。
すでに腹につくほど立ち上がったものを処理するために、体勢を変えて目を瞑る。妄想の中で泣きながら乱れるユージンをいつか必ず現実のものにすると誓いながら俺は果てた。
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