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2章 王立学院編ー前編―
12<ジェラルドの想いとユージンの困惑>
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次の瞬間、再び近づいたきた美貌が噛みつくようなキスを始める。薄く開いた唇の隙間をこじ開けて、口内に厚みのある長い舌が侵入してくる。歯列、上顎、頬の内側や舌の裏側まで触れない場所はないというくらいに執拗に舐めあげられた。
「んぅ……っ、ん…、ふっ」
気持ちよすぎてもう何も考えられない。口の中に溢れ、飲みきれない唾液が口の端を伝って零れ落ちていく。
舌を擦り合わせ、絡ませ合う深いキスに身体の芯が甘く痺れていく。
「ユージン……っ、ユージンっ、ユージンっ」
「―――っ、んん……っ」
すべてを奪われるのではないかと錯覚するほどの、激しいキスの嵐に翻弄される。蠢く舌に必死に応じて快感を貪る。こんなに気持ちのいいキスは初めてかもしれない。
「ユージンっ、ユージン……俺のオメガ……好きだ……ユージンっ」
その瞬間、俺はカッと目を開いた。今、なんて……? 目の前には銀色の長く濃いまつ毛が広がっている。ジェラルドは俺の変化に気づくことなく、ユージン、好きだと繰り返しながら唇を貪り続けている。
今なら、いけるかもしれない。俺は気取られないように左の人差し指を動かし、空中に魔法文字を描く。次の瞬間、一気にジェラルドの身体から力が抜ける。覆いかぶさってきた身体をなんとか動かしてベッドに寝かせた。
やはりジェラルドはキスに夢中になって隙ができていた。いつもなら弾かれてしまう簡易的な睡眠魔法に綺麗にかかってしまった。スースーと寝息を立てるジェラルドを前に、俺は大きく息を吐く。
とにかく今は、一刻も早く一人になって頭の中を整理したい。床に散らばった服を適当に身に着けると、転移魔法の円陣をジェラルドを囲むように描いていく。
急がなければ。この睡眠魔法はとても簡単なものなので、魔力のない人間でも1時間程度しか効果がない。強大な魔力を持つジェラルドなら、10分も経たずに魔法が解けてしまう可能性は大いにある。
円陣を描き終えると、深呼吸をして目を閉じた。転移魔法は習得してからそんなに時間が経っていない。乱れた心ではどこにジェラルドを飛ばしてしまうかわからない。
集中力を総動員して詠唱し、最後に一言念じる。ジェラルドを彼の部屋へ。次の瞬間、ふっとジェラルドの姿が消えた。ようやく一人になった部屋の中、俺はベッドに顔から倒れ込んだ。
ジェラルドの声が頭の中でリフレインする。好きだ、ユージンと何度も何度もキスの合間に囁いていた声が。
「嘘だろ……」
「んぅ……っ、ん…、ふっ」
気持ちよすぎてもう何も考えられない。口の中に溢れ、飲みきれない唾液が口の端を伝って零れ落ちていく。
舌を擦り合わせ、絡ませ合う深いキスに身体の芯が甘く痺れていく。
「ユージン……っ、ユージンっ、ユージンっ」
「―――っ、んん……っ」
すべてを奪われるのではないかと錯覚するほどの、激しいキスの嵐に翻弄される。蠢く舌に必死に応じて快感を貪る。こんなに気持ちのいいキスは初めてかもしれない。
「ユージンっ、ユージン……俺のオメガ……好きだ……ユージンっ」
その瞬間、俺はカッと目を開いた。今、なんて……? 目の前には銀色の長く濃いまつ毛が広がっている。ジェラルドは俺の変化に気づくことなく、ユージン、好きだと繰り返しながら唇を貪り続けている。
今なら、いけるかもしれない。俺は気取られないように左の人差し指を動かし、空中に魔法文字を描く。次の瞬間、一気にジェラルドの身体から力が抜ける。覆いかぶさってきた身体をなんとか動かしてベッドに寝かせた。
やはりジェラルドはキスに夢中になって隙ができていた。いつもなら弾かれてしまう簡易的な睡眠魔法に綺麗にかかってしまった。スースーと寝息を立てるジェラルドを前に、俺は大きく息を吐く。
とにかく今は、一刻も早く一人になって頭の中を整理したい。床に散らばった服を適当に身に着けると、転移魔法の円陣をジェラルドを囲むように描いていく。
急がなければ。この睡眠魔法はとても簡単なものなので、魔力のない人間でも1時間程度しか効果がない。強大な魔力を持つジェラルドなら、10分も経たずに魔法が解けてしまう可能性は大いにある。
円陣を描き終えると、深呼吸をして目を閉じた。転移魔法は習得してからそんなに時間が経っていない。乱れた心ではどこにジェラルドを飛ばしてしまうかわからない。
集中力を総動員して詠唱し、最後に一言念じる。ジェラルドを彼の部屋へ。次の瞬間、ふっとジェラルドの姿が消えた。ようやく一人になった部屋の中、俺はベッドに顔から倒れ込んだ。
ジェラルドの声が頭の中でリフレインする。好きだ、ユージンと何度も何度もキスの合間に囁いていた声が。
「嘘だろ……」
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